マツダCX-5 20S(FF/6AT)/CX-5 20S(4WD/6AT)【試乗記】
走り、さわやか 2012.02.27 試乗記 マツダCX-5 20S(FF/6AT)/CX-5 20S(4WD/6AT)……235万8750円/256万8750円
マツダの次世代技術を詰め込んだ、新型クロスオーバー「CX-5」が登場。その仕上がりを、ガソリンエンジン車の「20S」で試した。
SUVでファン・トゥ・ドライブ!?
マツダのスタッフいわく「フル・スカイアクティブの第一弾」が新型SUV「CX-5」である。
スカイアクティブとは、エコと“走り”のために、マツダがクルマづくりを一から見直した、その技術の総称だ。先発の「デミオ」や「アクセラ」では、追加モデルに低燃費のパワーユニットや高効率の変速機を搭載した。それが、今度のCX-5はオールニューモデルである。シャシーやボディーも新しい思想でつくられた「初のフル・スカイアクティブ」というわけだ。
CX-5の目玉は、疑いもなくクリーンディーゼル搭載の「XDシリーズ」である。しかし、発表会の翌日に開かれたこの試乗会には姿を見せなかった。今回乗れたのはガソリンのFFと4WDである。
新しいプラットフォーム(車台)のおかげで、直噴2リッター4気筒に4-2-1で集合する“タコ足”排気マニフォールドが採用されたというニュースはあるものの、CX-5のエンジンや6段ATは、基本的にアクセラのものと同じである。となると、ガソリンCX-5のお初的ハイライトは“それ以外”のところということになる。
「新世代高性能軽量シャシー」と説明される足まわりが目指したのは、簡単に言うと「SUVでも人馬一体」のファン・トゥ・ドライブだという。“人馬一体”といえば、「ユーノス・ロードスター」の昔から使われてきたうたい文句である。マツダのクルマづくりの大きなテーマといってもいい。それをスカイアクティブ・シャシーでSUVにも実現した、というのがCX-5である。乗る前から期待させるではないか。
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大きさを感じさせない
CX-5はカタマリ感の強いスタイリングも自慢だ。発表直前、別府大分マラソンのオフィシャルカーとして走っているのを見たときは、フグに似ているなあと思ったのだが、イメージしたのはチーターだという。カタチだけでなく、0.33のCd値もSUVとしては異例にすぐれている。「RX-8」に近いそうだ。
CX-5は、日本では事実上、「CX-7」の後継モデルにあたる。車名からすると、2.3リッターのCX-7からダウンサイジングした印象だが、CX-5もボディー全幅は1840mmある、ということを乗ってから知って驚いた。サイズのわりに大きさを感じさせないSUVである。
CX-5で狙ったファン・トゥ・ドライブは、「意のままに操れること」だという。「1」の入力をしたら、正しく「1」の出力が返ってくる。反応が「1.2」になるような過度なレスポンスはあえて狙わなかった。不足もお釣りもない、ドライバーが予測したとおりの反応を示す気持ちのいいシャシー性能。それが「人馬一体の進化」なのだ、というレクチャーを試乗前にチーフエンジニアから受ける。
そう言われてみると、1.5トン近いSUVとしては、走りがさわやかである。今回はお台場のフラットエリアをぐるぐる走っただけだが、飛ばせば飛ばすほどクルマがコンパクトに感じられるタイプである。あらためてちゃんとしたワインディングロードを走らせてみたいと思った。
逆に言うと、都内のチョイ乗りでは「フォルクスワーゲン・ティグアン」のようなストレートなファン・トゥ・ドライブは感じなかった。そのことを試乗後に開発スタッフに話したら、なんとベンチマークがティグアンだったと教えてくれた。しかし、マツダの見立てによると、CX-5はティグアンをすべての点でしのいでいるはずだという。
ディーゼル版も気になる仕上がり
155ps(4WDは154ps)のスカイアクティブ2リッター4気筒は、CX-5にも力強い走りを与えている。i-stopを標準装備するエコエンジンのはずだが、パンチもけっこうある。ただ、タコ足付きのスポーツユニットと捉えると、エンジン音がもうちょっとスイートであったら、と感じた。13.0という超高圧縮のせいか、高回転では音質がわりとガーガーいう。
一方、実用域の回転数ではむしろ静かだ。アイドリング音も低いから、i-stopが働いてエンジンが止まっても、違和感がない。再始動のスピーディーさは国内外のアイドリングストップ車のなかでもトップクラス。始動にセルモーターも使う方式としては、ぼくの知る範囲では世界一かもしれない。まったく邪魔にならないアイドリングストップ機構である。
というように、見るべきところも多かったCX-5だが、ないものねだりでこの日話を聞けば聞くほど、ディーゼルモデルへの期待が高まった。
CX-5の売りのひとつは“走り”だが、2.2リッター4気筒ツインターボは、42.8kgmという4リッターガソリンV8並みの特大トルクを誇り、0-100km/h=8.8秒の加速は、ガソリンモデルをかるくしのぐのである。それで燃費もSUVトップとなると、ガソリンCX-5の立場はどうなるのか、人ごとながら心配だが、それでもマツダは販売比率を半々と見込んでいる。
(文=下野康史/写真=小河原認)

下野 康史
自動車ライター。「クルマが自動運転になったらいいなあ」なんて思ったことは一度もないのに、なんでこうなるの!? と思っている自動車ライター。近著に『峠狩り』(八重洲出版)、『ポルシェよりフェラーリよりロードバイクが好き』(講談社文庫)。
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