DTM(ドイツツーリングカー選手権)第5戦ノリスリンク
2012.07.02 画像・写真ドイツをメインに欧州各国で開催される“ハコ車”のレース「DTM(ドイツツーリングカー選手権)」。ドイツ・ノリスリンクで行われた第5戦の模様を、写真とともにリポートする。(文と写真=廣本泉)

2012年のDTMは、ベース車両をこれまでの4ドアモデルから2ドアモデルに変更。「A4」で2011年のチャンピオンを手にしたアウディも、マシンを「A5」にスイッチしており、参戦2年目となるルドアルド・モルタラが第4戦のレッドブルリンクで今シーズン初勝利を獲得した。
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2012年のDTMは、ベース車両をこれまでの4ドアモデルから2ドアモデルに変更。「A4」で2011年のチャンピオンを手にしたアウディも、マシンを「A5」にスイッチしており、参戦2年目となるルドアルド・モルタラが第4戦のレッドブルリンクで今シーズン初勝利を獲得した。
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クーペになってもDTM特有のエアロフォルムは健在だ。リアファンダーのカナードこそ廃止されたものの、前後ともに、エアアウトレットを設けたワイドフェンダーを装着。デザインを担当したステファン・アイチャー氏によれば「エンジン以外は全てが新しい」とのことだ。
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2度にわたってDTMのチャンピオンに輝いているマティアス・エクストローム(写真)が、アウディ勢のエースとして活躍。「A5」での勝利こそないものの、これまでの4戦全てでポイントを重ねており、アウディ勢の最上位ドライバーとしてチームをけん引している。
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アウディのライバルであるメルセデス・ベンツは、レギュレーションの変更に合わせて、それまでの「Cクラス セダン」から「Cクラス クーペ」にベース車両を変更した。タイヤ幅のワイド化に合わせて前後のフェンダーは拡大。ボンネットにエアダクトが設けられるなど、マシンのフォルムは攻撃的だ。
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レギュレーションの変更に合わせて、リアウイングも2枚タイプから1枚タイプに変更。ディフューザーはシンプルな形状だ。とはいえ、エアアウトレットが大きく口を開けるフェンダーが備わるなど、リアビューの迫力は満点。ちなみに、タイヤはハンコックのワンメイクとなっている。
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メルセデスの主力チーム「HWA」でエースを務めるのが、2005年のチャンピオン、ゲイリー・パフェットだ。「Cクラス クーペ」を武器に開幕戦のホッケンハイムを制するや、第3戦のブランズハッチでは今季2勝目をマーク。ランキング首位でシリーズをけん引している。
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2006年を最後にオペルが撤退したことから、ここ数年のDTMは「アウディ vs メルセデス」の2メーカーの争いになっていたのだが、2012年シーズンは、1992年までDTMで活躍していたBMWが復帰。「M3クーペ」を武器に各ラウンドで活躍している。なお、DTMのマシンが搭載するパワーユニットは4リッターのV8エンジンである。
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BMWは、エアアウトレットを省いたリアフェンダーを採用。最もシンプルなデザインながら、リアフェンダーにつながるサイドレールの後端はカナード的な役目を果たしているようだ。他のモデルと同様に、両サイドのドア後端付近には、排気口が見受けられる。
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「アウディA4」を武器に2011年のチャンピオンに輝いたマーティン・トムチェク(写真)が今年はBMWに移籍。さらにメルセデス・ベンツを駆って活躍してきたブルーノ・スペングラーもBMW陣営に加わり、第2戦のラウジリンクを制覇。BMWに、DTM復帰後初の勝利をもたらした。
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DTMには数多くのトップドライバーが集結。1997年から2007年までF1で活躍したラルフ・シューマッハーも2008年からメルセデスの主力チーム「HWA」で、DTMにチャレンジしている。開幕戦のホッケンハイムでは7位入賞。ポイントを獲得した。
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1992年から2008年までF1で活躍したデイヴィッド・クルタードも2010年からDTMに参戦。今季もメルセデスの主力チーム「ミュッケ・モータースポーツ」で「Cクラス クーペ」をドライブしており、開幕戦のホッケンハイムでは8位入賞を果たしている。
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BMWのエースとして2005年〜2007年のWTCCでチャンピオンに輝いたアンディ・プリオールもDTMに参戦。有力チーム「BMWチームRBM」で「M3」を駆るものの、これまでの最高位は開幕戦ホッケンハイムの6位にとどまっている。
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第5戦の舞台はノリスリンク。ニュルンベルクにある“ストリートコース”だ。エスケープゾーンがないため、わずかなコースアウトでもクラッシュに直結する。今回もまた、フリー走行から赤旗が続出するサバイバルな展開となった。
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ピットも仮設のガレージを使用する。常設のサーキットの施設に比べ、スペース的には狭くなっているものの、各チームのメカニックはスピーディーなピットワークを披露した。
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日本のSUPER GT選手権とは違い、DTMではドライバーの交代や給油は行われない。ただし、タイヤ交換は実施されるため、迅速なピットワークが勝利の行方を左右することになる。
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レースに臨むにあたって、いずれのメーカーも巨大なホスピタリティーを用意する。そこでは、最新の市販車とともに、メルセデス・ベンツはF1マシン、アウディはルマン24時間のプロトタイプスポーツカーなどを展示。まるでモーターショーのような、華やかな雰囲気となっていた。
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6月30日の予選でトップタイムをマークしたのは、今季2勝を挙げているメルセデスのゲイリー・パフェット(写真中央)。2位はチームメイトとして「Cクラス クーペ」を駆るジェイミー・グリーン(写真右)で、「M3」を駆るBMWのアウグスト・ファルファス(写真左)が予選3位につけた。
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7月1日の決勝は、雨の中での開催。ポールのパフェットが好スタートを切るものの、第1コーナーで後続に押し出され、大きく後退する。代わってBMWのトムチェクがトップへ浮上。同じく「M3」を駆るスペングラーが2番手に浮上した。
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序盤で抜け出したトムチェクがレースを支配。スペングラーも2番手につけ、BMWが1-2体制を形成する。しかし、最終ラップでメルセデスのグリーンがオーバーテイク。劇的な逆転で今季初勝利を手にした。2位はトムチェク、3位はスペングラーと、BMW勢が表彰台の両端を分け合った。