フィアット・グランデプント 1.4 デュアロジック テラ【試乗記】
フィアット・グランデプント 1.4 デュアロジック テラ 2007.06.01 試乗記 ……224万円“いろいろな輸入車にとっかえひっかえ乗れる”JAIA試乗会。 2人の『CG』編集者が、インプレッションをお届けします!
ヨーロッパでは大人気
ひところ騒がれた「フィアットの経営危機」も今は昔の物語である。ニュー「パンダ」の爆発的人気でひと息ついたイタリアの巨人は、2005年に「グランデプント」を放つとさらにセールスを伸ばし、2006年は6年ぶりに営業利益が黒字に転じたのだ。2005年はGMとの提携解消で潤った格好だったが、2006年の黒字は純粋に販売増が生み出した結果であり、彼らの製品が広く人気を博している証拠である。フィアットの業績回復は本物だ。
というわけで、ヨーロッパで好セールスを記録しているグランデプントだが、日本では2006年6月にまず6MTの1.4 16V スポーツを発売、秋にはセミAT版をリリースした。今回試乗したのは、セミATを積む1.4 デュアロジックの最上級モデルである。
これは以前テストしたランチア・イプシロンでも感じたことだが、最近のフィアット系セミATは進化が著しい。発進やギアチェンジでの身のこなしが明らかにスムーズになっており、微妙なコントロールも実に容易。
エンジンは回せば回すほど元気になる16V スポーツとは違って、トップエンドで穏やかなデクレッシェンドに転じる。4000rpm+が心理的な上限か。ただし、中低速域は16V スポーツと互角かやや上回るほど活発で、市街地走行でも痛痒は覚えなかった。
乗り心地は重厚というよりはさらっとした手触りで、記憶のなかにある16V スポーツと遜色がないほど、硬質かつソリッドな印象を与える。おかげでワインディングロードは得意中の得意、相対的にパワー不足となる上り坂が退屈で仕方ないくらい、そのポテンシャルは高い。ボディ剛性の高さも見事。
大人4人が無理なく乗れる室内スペースといい、日本でもっと人気が出ても不思議でないBセグメントカーといえる。
(文=大谷達也/写真=田村弥/『CG』2007年4月号)

大谷 達也
自動車ライター。大学卒業後、電機メーカーの研究所にエンジニアとして勤務。1990年に自動車雑誌『CAR GRAPHIC』の編集部員へと転身。同誌副編集長に就任した後、2010年に退職し、フリーランスの自動車ライターとなる。現在はラグジュアリーカーを中心に軽自動車まで幅広く取材。先端技術やモータースポーツ関連の原稿執筆も数多く手がける。2022-2023 日本カー・オブ・ザ・イヤー選考員、日本自動車ジャーナリスト協会会員、日本モータースポーツ記者会会員。
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