フィアット・グランデプント1.4 16V スポーツレザー(FF/6MT)【試乗記】
理屈抜きでカッコいい 2006.08.10 試乗記 フィアット・グランデプント1.4 16V スポーツレザー(FF/6MT) ……224.0万円 フィアット・プントの“後継車”となる新型コンパクトカー「グランデプント」。デザインは、初代同様、ジウジアーロ率いるイタルデザインが手がけるが、その方向性は変わったようだ。 3ドアのスポーツモデルに試乗する。
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見かけはアルファ、中身は……
このクルマのデザインは、ジウジアーロ率いるイタルデザインが担当した。
イタルデザインは、初代「パンダ」、初代「ウーノ」、初代「プント」など、これまでもコンパクト・フィアットのキーポイントになるモデルを手がけてきた。でもグランデプントはそれらとは、デザインの方向性が違うように感じられる。
日本ではプントの後継車として販売されるグランデプントだが、イタリアなどではプントも併売されている。だからグランデと頭につけたのだろう。
ボディサイズはその名のとおり、プントより大きい。幅は5ナンバー枠に収まっているが、長さは欧州Bセグメントのボーダーラインといわれてきた4メートルをオーバーしてしまった。
でもそのわりに、室内は広くなっていない。リアシートのスペースは、プントとほとんど変わらないという印象だ。しかも試乗車が3ドアだったこともあって2人掛けで、折り畳みは左右一体でしかできない。
フロントシートも、右ハンドルでありながらペダルのオフセットがないのはほめられるが、解放感はあまりない。いや、スポーティというホメ言葉を使ったほうが正しいかもしれない。
ウインドスクリーンの傾きはかなり強く、インパネは奥行きがたっぷりとられていて、メーターパネルはその奥からドライバーにせまってくるような造形。ステアリングやシートのデザインも挑戦的。クーペのようなコクピットなのだ。
そういえばエクステリアデザインも、クーペだ。とくに顔は、同じイタルデザインが手がけた「マセラティ・クーペ」そっくり。当然ながら、フロントのオーバーハングは長い。スポーツカーノーズのために、全長がオーバー4メートルになったといってもいい。
グランデプントのパッケージングは、ファンクショナルからエモーショナルにシフトしたのだ。いうなればプント・クーペ。フィアットは「アルファ・ロメオ156」のようなクルマを出したといいかえてもいい。
ところが走り出すと、グランデプントは典型的なフィアットだった。
いまどき珍しい高回転高出力型
日本にまず上陸したのは、3ドアボディに1.4リッター直列4気筒DOHC16バルブエンジンと6段MTを組み合わせた「1.4 16Vスポーツ」のレザー仕様だ。なお、5ドアモデルは秋に導入予定。1.4リッター直4SOHC8バルブに、パンダにも使われているシーケンシャル式2ペダル5段MT「デュアロジック」を組み合わせたモデルが4グレード用意される。
1.4リッター16バルブエンジンは、いまどき珍しいぐらいの高回転高出力型。3000rpm以下のトルクは薄く、思ったような加速が得られない。もともとなめらかだった吹け上がりが勢いづき、サウンドが心地よくなるのは、なんと5000rpmあたりからだ。
しかもシフトタッチは軽く確実で、ギア比は適度にクロスしているから、左手を小刻みに動かして高回転をキープするというドライビングスタイルに、自然となってしまう。うれしいぐらいにイタリアンな性格の持ち主だった。
見ても乗ってもスポーティ
乗り心地は、低速では小刻みな揺れが目立つが、これもまたフィアットらしい。速度を上げていくとこの硬さが取れ、フラットなフィーリングになっていくが、試乗車のタイヤサイズが205/45R17と、車格を考えればかなり太く扁平だったことにも原因はありそうだ。ホイール/タイヤが15インチになるという5ドアも試してみたいと思った。
試乗は街なかメインだったが、そのステージで判断すれば、ハンドリングはこのタイヤのおかげで、少しペースを上げたぐらいでは切ったとおりに曲がってくれる。といっても、タイヤに支配されている感はなく、素直に向きを変えていく。電動パワーステアリングの操舵感も自然。フィアットらしい、ふだん着感覚のコーナーさばきだった。
グランデプントは、見ても乗ってもスポーティだった。アルファ156と同じで、わかりやすいイタリア車だった。ヨーロッパではかなりの人気で、フィアットの販売台数を回復させる立役者になっているようだが、日本でもこのわかりやすさを武器に、そこそこウケるのではないだろうか。なにしろ理屈抜きでカッコいいから。
(文=森口将之/写真=峰昌宏/2006年8月)

森口 将之
モータージャーナリスト&モビリティジャーナリスト。ヒストリックカーから自動運転車まで、さらにはモーターサイクルに自転車、公共交通、そして道路と、モビリティーにまつわる全般を分け隔てなく取材し、さまざまなメディアを通して発信する。グッドデザイン賞の審査委員を長年務めている関係もあり、デザインへの造詣も深い。プライベートではフランスおよびフランス車をこよなく愛しており、現在の所有車はルノーの「アヴァンタイム」と「トゥインゴ」。
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