レクサスLS600h(4WD/CVT)/LS600hL(4WD/CVT)【海外試乗記(前編)】
さすがはLSのハイブリッド(前編) 2007.05.15 試乗記 レクサスLS600h(4WD/CVT)/LS600hL(4WD/CVT)レクサスのフラッグシップ「LS」のハイブリッドモデル「LS600h」が間もなく国内発表される。フランクフルトで行なわれた試乗会での第一印象は、意外に……。
レクサスの秘密兵器
アメリカで育まれてきた「レクサス」が、2005年夏に故郷の日本に“里帰り”をしてから間もなく丸2年。そのラインナップのトップとして投入された「LS」の、そのまた頂点にポジショニングされるのが、「レクサスLS600h」「LS600hL」である。後者は、“ノーマル”LSより全長、ホイールベースをそれぞれ120mmずつ延長し、「すべてを後席居住性向上のために費やした」というロング・ボディ版。
車名の“600”が示すのは、5リッターエンジンを積むこのモデルの加速力が“6リッター級ガソリン車に匹敵する”という自信の表れ。末尾に加えられた“h”は、いうまでもなく、そんなハイパフォーマンスを生み出す秘密兵器「ハイブリッド・システム」の搭載を意味する。
LS600h/hLが用いるハイブリッド・システムは、5リッターV8のエンジンや新開発のモーター、そして駆動用バッテリーケースの形状などを除けば、「初のFR車用システム」としてすでに「GS450h」に搭載済みのユニットに近い。
すなわち、リアシート背後に積まれたニッケル水素電池の288Vという電圧を、コンバーターで最大650Vまで昇圧。静粛性をより向上させるべく永久磁石の配列が最適化されたモーターがその電流を受けて、最大300Nmのトルクを発生する。
その回転力は、2段式のリダクション機構を経てアウトプット・シャフトへと出力され、「動力分割機構」が必要に応じて分配するエンジンからの直接トルクと混合されて、駆動力として用いられる、という仕組みだ。
4WDシステム
レクサス・ラインナップのトップモデルを強調するためもあり、LS600h/600hLは全モデルが4輪駆動を採る。4WD化の要は、新開発のアイシンAW社製トランスファー・ユニット。
センターデフに純機械式のプラネタリー・ギア式トルセンLSDを用いるのは、電子制御満載、ハイテク・メカの塊たるこのクルマではちょっと意外にも思える。が、「下手な電子制御モノを用いるよりも、こちらの方がずっとトルク分配のレスポンスに優れる」というのが開発者の弁。
イニシャル状態での40:60という前後輪間の配分から、走行状況に応じて50:50〜30:70まで可変制御。当初からトランスファーの構成要素のひとつとして設計を行うことで、デフケースを持たない超小型・軽量化を実現させたのもこのトルセンLSDの大きな特徴。トランスファー全体ではGS350AWD用と比較して、50%の強度容量アップと5kgの重量低減を果たしたという。
第一印象は……
世界の各マーケットでの発売を目前に国際試乗会が開催されたのは、ドイツを代表する国際都市フランクフルト。アウトバーン網が張り巡らされると同時に、郊外には様々なスケールのワインディング・ロードも待ち構える。ニューモデルのテストフィールドとしては申し分のないロケーションだ。敢えてこうした場所を選択したという点に、このモデルの開発陣の自信のほどがうかがえる。
1泊2日の日程で開催されたプレス試乗会。イベント初日のスケジュールが終わった時点で、僕のLS600h/600hLに関する感想は、しかしあまり芳しいものではなかった。そして、そうした印象は、ハイブリッド・システムを含むパワートレインに起因するものではなかった。
とにかく高速走行域での直進性、トレース性が曖昧で、200km/hを超えるゾーンではまさに“手に汗握る”という感覚さえある。「この点では、並いる競合車を寄せ付けない」という開発陣のコメントとは、どうにも相容れない。日本のフラッグシップ・モデルの実力はこの程度のものなのか!? (後編へつづく)
(文=河村康彦/写真=トヨタ自動車)

河村 康彦
フリーランサー。大学で機械工学を学び、自動車関連出版社に新卒で入社。老舗の自動車専門誌編集部に在籍するも約3年でフリーランスへと転身し、気がつけばそろそろ40年というキャリアを迎える。日々アップデートされる自動車技術に関して深い造詣と興味を持つ。現在の愛車は2013年式「ポルシェ・ケイマンS」と2008年式「スマート・フォーツー」。2001年から16年以上もの間、ドイツでフォルクスワーゲン・ルポGTIを所有し、欧州での取材の足として10万km以上のマイレージを刻んだ。
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