シボレー・トレイルブレイザー(4AT)【海外試乗記】
『エンジンオリエンテッド』 2001.02.13 試乗記 シボレー・トレイルブレイザー(4AT) 深刻さを増す環境問題とはうらはらに、自動車の最大市場たる北米では、巨大なSUVがまっさかり。トヨタ、ホンダ、メルセデスベンツ、BMW、そしてポルシェまでが参入するヨンク(風)マーケットで、シェアの低下に歯止めをかけたいGMが、ブランニューのSUVを送り出した!! ジャーナリスト河村康彦が、シボレー・トレイルブレイザーにメキシコで乗った。まったく新しいSUV
21世紀最初のビッグショーとして米国で開催された「2001年デトロイトショー」。この晴れの舞台でベールを脱いだのが、GMが気合いを入れて開発したSUV(Sports Utility Vehicle)「シボレー・トレイルブレイザー」だ。
ここで敢えて「気合いを入れて」といったのは、トレイルブレイザーのシャシーが、既存のモデルとは一切コンポーネンツを共有しない完全なる新作だから。プラットフォームのみならず、搭載されるエンジンも新設計。そのうえ、専用工場まで新設して生産を行なうという極めて大胆なトライを、GMは、ブランニューSUVのために敢行したのだ。
トレイルブレイザーのボディサイズは、全長×全幅×全高=4870×1894×1826mm。現行のブレイザーよりひとまわり大きく、しかしそれでも、GMラインナップ中では「ミドルサイズトラック」の一員に数えられる。
エンジンは、4.2リッターの4バルブDOHCユニット。日本人の常識からすれば8気筒化するのが当たり前の排気量だが、GMは敢えて6気筒ユニットとしてリリースした。V8搭載の、さらに大型のSUVとの差別化のためである。しかもトレイルブレイザーの心臓には、何と!! BMWを除くあらゆるメーカーが見切りをつけようというストレート6のシリンダーレイアウトが選ばれたのだ。
セダン風テイスト
エンジン担当のエンジニアは、「V6よりスムーズで、ドライバビリティや燃費に優れる。そのうえV8以上のパフォーマンスを持つ」と絶対の自信をもって、新型ストレート6をアピールした。確かにこのエンジン、6000rpmまで滑らかに回る。パワーフィールも良好だ。
組み合わされるオートマチックトランスミッションが、旧態依然の4段というのがちょっと惜しいが、動力性能は、どこをとってもなかなかのものである。
ニューSUVのフットワークも、やはり最新型らしい印象だった。
路面の凹凸を乗り越えると、ラダーフレーム車体特有の、わずかにブルブルとした振動を感じる。が、それを除けば、全般的にはまさに「セダン風テイスト」。
SUVで一流ホテルのエントランスに乗り付けるのも当たり前、という国の生まれらしい味付けなのだ。
驚かされたのは、小まわりのよさ。
決して小さいとはいえないサイズのボディながら、最小回転半径5.5m。実は、これはインラインユニットのお陰。シリンダーがまっすぐ並んだエンジンゆえ、幅方向に狭く、そのため前輪の切れ角を極めて大きくとることができた。
それにしても、内燃機関の終焉がささやかれるこの期に及んで、「エンジンオリエンテッド」のSUVがアメリカから誕生するとは驚きだ。
このトレイルブレイザー、日本にも近い将来の導入が予定されている。
(文=河村康彦/写真=日本ゼネラルモーターズ /2001年2月)

河村 康彦
フリーランサー。大学で機械工学を学び、自動車関連出版社に新卒で入社。老舗の自動車専門誌編集部に在籍するも約3年でフリーランスへと転身し、気がつけばそろそろ40年というキャリアを迎える。日々アップデートされる自動車技術に関して深い造詣と興味を持つ。現在の愛車は2013年式「ポルシェ・ケイマンS」と2008年式「スマート・フォーツー」。2001年から16年以上もの間、ドイツでフォルクスワーゲン・ルポGTIを所有し、欧州での取材の足として10万km以上のマイレージを刻んだ。
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