日産エクストレイル Xtt(4WD/4AT)【ブリーフテスト】
日産エクストレイル Xtt(4WD/4AT) 2007.04.19 試乗記 ……285万2115円総合評価……★★★★
デビューから6年半が経ち、新型の発売を目前にひかえる「日産エクストレイル」。長く人気をえた、初代「若者向けSUV」の実力を再検証する。
色褪せない魅力
今となってはやや時代を感じさせる部分もあるが、正統派の奇を衒わないデザインは素直に受け入れることができる。
横置きエンジンFFベースの4WDは、この手のSUVのハシリともいえる。乗用車と貨商車の中間的な位置づけはユニークであったが、現代ではさらに乗用車寄りにシフトしており、そこだけを較べるとやや旧さも感じられる。
とはいえ、自動車の魅力という意味ではけして色褪せておらず、長期間乗って気に入ったクルマをもう一度新車で欲しい……というような情緒安定型のひとには向く。
希望する点や細かな不満はたくさんあるが、これはこれで開発当時に考えられた価格などの条件下でまとめられたものであり、納得ずくで乗ればよい。
たとえばセンターデフを追加してフルタイム4WDにすれば日常性は向上するが、デフロックを使って泥遊び程度(岩場は?だが)を楽しむならばこのまま十分いける。
【概要】どんなクルマ?
(シリーズ概要)
2000年10月に発表された日産の小型ヨンク。「スポーツとユーティリティのハイレベルな融合」を謳う。
サニーのフロアパンをベースに、リアサスペンションをストラット式の独立懸架に変更。4WDモデルの駆動システムは、テラノと同等のスペックをもつ本格派で、多板クラッチを電子制御する「オールモード4×4」だ。
エンジンは、2リッターNAが新型「QR20DE」ユニット(150ps/6000rpm、20.4kgm/4000rpm)、同ターボが「SR20VET」(280ps/6400rpm、31.5kgm/3200rpm)。組み合わされるトランスミッションは、前者が4ATと5MT、後者はオートマのみとなる。
2003年6月にマイナーチェンジ。バンパーやインパネなどのデザインを変更し、ランプ付きの「ハイパールーフレール」を新たにオプション設定した。「保冷機能付きマルチボックス」や「ポップアップステアリング(AT車のみ)」などユーティリティ性能も向上させた。
2007年3月のジュネーブショーで新型がデビュー。日本では今夏の発売が予定されている。
(グレード概要)
2リッターNAモデルは、ベーシックな「S」と本革ステアリングホイールなどを備える上級グレード「X」がラインナップ。
今回の試乗車は「Xtt」。すでにカタログからは外れるも、スペック上は現行の「X」に同じ。専用装備だった「ハイパールーフレール」や「キセノンヘッドランプ」などは、「X」のメーカーオプションとして選ぶことができる。
【車内&荷室空間】乗ってみると?
(インパネ+装備)……★★★
3眼のセンターメーターや観音開きのクーラーボックスなど、登場当時から意欲的ではあったが、空調のルーバーなど処理手法としてはクラシックな手堅さも見られ、いま改めてみると時の流れを感じさせる。それが落ちついた雰囲気を醸し出している。
ボンネットが見える風景など、いまでは望めない。薄くえぐらず断崖的に垂直方向に長いダッシュゆえ、棚部分が視野の中で無駄な空間を占めずによい。
ステアリングホイールは別々な調整ながら、チルト(上下)とテレスコピック(前後)2方向に備わる。
(前席)……★★★
オフロードを意識したせいか、シート表皮は今では珍しいビニール! 平板なデザインゆえ滑りやすく、おまけに座面の前後長が短く傾斜角も緩いので前にずれやすい。典型的な「短距離用簡易腰かけ型」ではあるが、座面が比較的高く(更に高さ調整機構もあり)フロアまでの距離があるため膝が曲がり姿勢は整えやすい。ヘッドクリアランスも十分。
長距離走行を考えると座面後部を落とし込む装置(ハイトコントロールの反対)が欲しい。
(後席)……★★★
折り畳めるタイプの割りにはクッションは厚め。表皮のビニールをはじめ平板で座面前後長が短く……と状況は前席と変わらない。
ここでも足元の空間やヘッドクリアランスは十分で、立ち気味に座る。垂直に近いサイドウィンドウ設定により、横方向の空間も十分広い。
現代の技術をもってすれば大幅な前後スライドが可能だろう。荷物がない時のトランクスペースが勿体ないように思える。
(荷室)……★★★★
四角い箱状のものがすっぽり納まる形状ゆえか、外観から予想するより容量は大きい。フロアも平ら。
しかし床までの高さは高めだから重いものの積み卸しはやや難。もちろんリアシートは畳めフラットにもなるから、その分さらに荷室は広がる。センター部分だけ倒して長尺物も積めるし、その幅はひじ掛け程度よりは広い。
フロアには樹脂ベルトが6本引かれ、ダンボール箱のような物のスライドを助ける。貨商車的ではあるがボックス型SUVなりの良さがあるトランク。
【ドライブフィール】運転すると?
(エンジン+トランスミッション)……★★★
QR20型は実用性を重視したチューンがなされており、街中で過不足なく加速する使いやすい特性。4ATは適度にワイドなレシオであり、目的に応じた役目をまっとうする。これは、多段化により小まめにシフトしてエンジン回転を上下させない最近の設定とは違うが、それなりにエンジン回転を上げて使う仕事感があり、自動車らしい感覚もある。
エンジン音もそれなりに高まるが不快な音質ではない。
(乗り心地+ハンドリング)……★★★
乗り心地は硬めだが姿勢は比較的フラットで良好。ハーシュネスなど小入力は215/60R17のオールシーズンタイヤの細かなサイピングが吸収してくれる。バネ下の重さはそれなりに感じるが煽られることは少ない。
フロントはアルミ鋳造のガッシリしたアームで支えられるが、リアのパイプで構成されたリンク類はいかにも細い。耐久強度はクリアするのであろうが、剛性は疑問。
オフロードの荒技用にはできていないが、SUVとしては骨太なハンドリングをみせる。
(写真=峰昌宏)
【テストデータ】
報告者:笹目二朗
テスト日:2007年3月13日
テスト車の形態:広報車
テスト車の年式:2006年型
テスト車の走行距離:12028km
タイヤ:(前)215/60R17(後)同じ(いずれも、ダンロップST20グランドトレック)
オプション装備:カーウィングス対応TVナビゲーションシステム+ETC(31万5000円)/フロアカーペット(2万7615円)
形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(1):高速道路(7):山岳路(2)
テスト距離:300.5km
使用燃料:36リッター
参考燃費:8.35km/リッター

笹目 二朗
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