マイクラC+C Sport1.6(FF/4AT)【試乗記】
お転婆さん(死語) 2007.03.27 試乗記 マイクラC+C Sport1.6(FF/4AT)まもなく日本に導入される(であろう)「日産マーチ」のクーペ・カブリオレ「マイクラC+C」。試乗する機会を得たリポーターが走り出してみると……。
マーチカブリオレに乗る
2002年のパリサロンで展示された……と書くと、ずいぶん古いハナシに感じられる「日産マーチCC」こと「マイクラC+C」。
欧州では2005年末に市販モデルがリリースされ、ようやくわが国にも導入されることとなった。……といっても、明らかにされたのは、07年度中ごろに販売が開始されるということだけ。
価格は……、1.4と1.6リッターがある英国で、後者が約1万4000ポンド(約330万)。マイクラC+C、けっこう高いクルマなのである。日本では、がんばって250〜300万円くらいになろうか?
NDE(日産デザインヨーロッパ)がデザイン、NTCE(日産テクニカルセンターヨーロッパ)が開発し、NMUK(英国日産自動車製造会社)サンダーランド工場でつくられるマイクラC+C。英国のサイトでは、“nothing but sky”なんてシャレたコピーが踊るマイクラC+C。テスト車が用意されたので、乗ってみた。
駐車場から公道に出ようと左にウィンカーを……、ワイパーが動いた。ウィンカーレバーは左。スピードメーターはマイル表示。ナンバーは付いているものの、乗ったクルマは英国生産車そのものだった。
折り畳み可能な屋根は、ショーモデルのメタル製トップ(仏ユーリエ製)から独カルマン社の手になるグラストップに変わった。クーペ・カブリオレの常として、天井は前後に短い。ガラスがはめられ、サンシェードが備わる。
快晴に恵まれたテスト日には、それでも陽光が漏れ落ちてきて、室内は十二分に明るかった。小ぶりなキャビンを広く感じさせる、という実利面より、ハッピーな気分にさせる精神的効果大。
楽しいクルマ
エンジンはマーチ最大の1.6リッター(110ps/6000rpm、15.6kgm/4400rpm)。日本導入予定のモデルは、CVTならぬトルコン式4段ATを組み合わせる。重いルーフおよびボディの補強で、ノーマルの3ドアハッチより130kgほどウェイトを増しているが、スロットルペダルを踏み込めば、4気筒は健康なエンジン音をたててC+Cを元気よく走らせる。ルックス通り、走りも“お転婆さん”(死語)といった感じだ。電動パワステは、人工的に重め。
前席左右に設置されたボタンを押すだけで開閉できるルーフは、カタログ上22秒ということだが、サイドウィンドウの開閉を入れると実測30秒前後。赤信号の間に慌てて稼動させるのはやめたほうがよさそうだ。
オープン時には、これまたAピラーを寝かさざるを得ないCCボディの常として、開放感はあまりない。左右の後席ヘッドレストの間に可愛らしい風よけがわたされるが、それでも窓を開けていると、髪が風になぶられる。
新しいマーチカブリオレは、スポーツカーよろしくオープンエアに身を浸すというより、サイドウィンドウを上げて、見られる自分を楽しむといった類のクルマである。
屋根を下ろすと、自動車専門誌記者の職業的な観察からすると、わずかながらフロントスクリーン付け根あたりがワナワナするが、このクルマの場合、目くじらを立てて指摘することではあるまい。
意外だったのが、高速巡航を得意とすること。国内用マーチと比較すると、明らかに“硬め”にセッティングされた足まわりと大きめの排気量の恩恵で、落ち着いた気分でハイスピードクルージングを楽しめる。
さっぱり実用的ではないが、それでもリアシートが備わる小さなカブリオレ。オープン時にはいささか容量が頼りない荷室は、それでも「プジョー307CC」を上まわるスペースが確保されたという。ことさらエクサイティングなハンドリングはもたないけれど、それでも運転していて楽しいクルマである、マイクラC+Cは。
発売が待ち遠しい。
(文=NAVIアオキ/写真=小河原認、高橋信宏/『NAVI』2007年4月号)

青木 禎之
15年ほど勤めた出版社でリストラに遭い、2010年から強制的にフリーランスに。自ら企画し編集もこなすフォトグラファーとして、女性誌『GOLD』、モノ雑誌『Best Gear』、カメラ誌『デジキャパ!』などに寄稿していましたが、いずれも休刊。諸行無常の響きあり。主に「女性とクルマ」をテーマにした写真を手がけています。『webCG』ではライターとして、山野哲也さんの記事の取りまとめをさせていただいております。感謝。
-
DS N°8エトワールAWD(4WD) 2026.8.22 DSオートモビルから登場した、新時代の旗艦モデル「N°8」。完全新設計のシャシーにアクティブサスペンションを組み合わせた電気自動車(BEV)は、往年の“ハイドロ”を思わせる乗り味と人車一体の走りを備えた、稀有(けう)なサルーンに仕上がっていた。
-
メルセデス・ベンツCLA220(FF/8AT)【試乗記】 2026.8.21 メルセデス独自のオペレーティングシステムと、フル電動化を見据えた最新プラットフォームを組み合わせて開発された新型「CLA」。その先鋒として発売されたハイブリッドモデルの仕上がりを、セダンの上級グレードに試乗して確かめた。
-
マツダCX-5 L(4WD)【試乗記】 2026.8.19 マツダの販売の中軸を担うミドルクラスSUV「CX-5」が、3代目にフルモデルチェンジ。その完成度にはどうしても期待してしまうところだが、実車の仕上がりはどうだったのか? 絶対に失敗の許されない、マツダの基幹車種の実力に触れた。
-
トヨタbZ4XツーリングZ(FWD)【試乗記】 2026.8.18 クルマの進化か、充電インフラの進化か、それともCEV補助金拡充の効能かは定かではないが、ようやく日本の電気自動車(BEV)も普及期を迎えつつある。ことに「bZ4Xツーリング」は豊かな一充電走行距離と優れたドライバビリティーが自慢のトヨタの最新作だ。FWDモデルの仕上がりをリポートする。
-
BMW iX3 50 xDrive Mスポーツ(4WD)【試乗記】 2026.8.17 BMWの新世代電気自動車の第1弾である「iX3」がいよいよ日本の道を走り始めた。さすが「ノイエクラッセ」をうたうだけあって、内外装だけではなく、運転感覚もまた新しい。「Mスポーツ」グレードの仕上がりをリポートする。
-
トヨタRAV4アドベンチャー(前編)
2026.8.23思考するドライバー 山野哲也の“目”レーシングドライバー山野哲也が新型「トヨタRAV4」に試乗。ご存じのとおり今やトヨタの屋台骨を支えるSUVであり、先代モデルではグローバルでの年間販売台数が100万台に到達。世界で最も多く販売されるトヨタ車の6代目だ。箱根のワインディングロードでの印象を聞いた。 -
DS N°8エトワールAWD(4WD)
2026.8.22試乗記DSオートモビルから登場した、新時代の旗艦モデル「N°8」。完全新設計のシャシーにアクティブサスペンションを組み合わせた電気自動車(BEV)は、往年の“ハイドロ”を思わせる乗り味と人車一体の走りを備えた、稀有(けう)なサルーンに仕上がっていた。 -
メルセデス・ベンツCLA220(FF/8AT)【試乗記】
2026.8.21試乗記メルセデス独自のオペレーティングシステムと、フル電動化を見据えた最新プラットフォームを組み合わせて開発された新型「CLA」。その先鋒として発売されたハイブリッドモデルの仕上がりを、セダンの上級グレードに試乗して確かめた。 -
これは“ヨーロッパ版軽自動車”か? 欧州の新自動車規格「M1E」とニッポンの軽の可能性
2026.8.21デイリーコラム欧州で検討されている、新たな小型電気自動車(BEV)規格「M1E」。手ごろなBEVの普及と域内自動車産業の保護を目的としたこの規格は、軽自動車という独自の小型車を育んできた日本にとってもチャンスとなるのか? 新たな自動車規格の展望と可能性を考察する。 -
FCEVで世界一の販売台数 「ヒョンデ・ネッソ」にみる水素の可能性と普及へのカギ
2026.8.20デイリーコラムフルモデルチェンジしたヒョンデの燃料電池車(FCEV)「ネッソ」は、1014km(参考値)の一充填走行距離を実現したという。進化したゼロエミッションの走りを味わいながら、ヒョンデが目指す水素社会の可能性とFCEVの未来について考えてみた。 -
第292回:350SEが運ぶのは幸福か、それとも究極の不幸か…… 『星の時 4K』
2026.8.20読んでますカー、観てますカーブラジルの女性小説家クラリッセ・リスペクトルが1977年に発表した小説を、女性監督スザーナ・アマラウが1985年に映画化した伝説の作品。「メルセデス・ベンツ350SE」がもたらす運命の瞬間を謎めいた手つきで描き出す。






































