「V型や水平対向エンジンでは、オイルがうまく回らない?」

2007.03.17 クルマ生活Q&A 松本 英雄 エンジン
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「V型や水平対向エンジンでは、オイルがうまく回らない?」

エンジンの潤滑について、ちょっと気になったことがあるのでご質問します。
垂直に設置されている直列エンジンだと、シリンダー壁のオイルがオイル溜めに落ちていくのは直感的にわかります。でも、V型や水平対向エンジンだと、うまくオイルが回るのか心配になるのです。何かうまい工夫がされているのですか?

お答えします。普通の自動車はエンジンの下部にオイルパンがあります。そこに溜まっているオイルをポンプで吸い上げ、ピストンの裏側に向けて噴射するんですね。
噴射されたオイルはピストンリングで掻き取られ、シリンダー壁を伝って落ちていき、クランクケースの下へと落ちていきます。

確かに、ピストンが上部にある直列エンジンだと、その情景が直感的に想像しやすい気がしますね。

シリンダーが傾いたり水平になったりしていると、オイルが全体に行き渡らずに偏ってしまうように思われるかもしれませんが、オイルはかなり強い勢いで噴出し、ピストンも高速で動いていますから、シリンダー全体に均一に広がるのです。
油膜というのは、そんなに簡単に切れてしまうものではありません。

クランクケースに下がってからも、オイルが下へうまく通っていくように、最初から道筋を考えて設計されています。

もちろん、直立した直列エンジンのほうがオイルの通り道を作るのは簡単で、水平対向などの場合はいろいろ工夫をしています。

レース用のエンジンではオイルが落ちやすくなるようにクランクケースの内側を磨くこともありますが、乗用車であればそこまでやらなくても十分に潤滑性能を保つことができるのです。

松本 英雄

松本 英雄

自動車テクノロジーライター。1992年~97年に当時のチームいすゞ(いすゞ自動車のワークスラリーチーム)テクニカル部門のアドバイザーとして、パリ・ダカール参加用車両の開発、製作にたずさわる。著書に『カー機能障害は治る』『通のツール箱』『クルマが長持ちする7つの習慣』(二玄社)がある。