シトロエン・サクソVTS(5MT)【試乗記】
ソフトな体育会系 2003.05.07 試乗記 シトロエン・サクソVTS(5MT) ……198.0万円 「C3」の登場で、やや影の薄くなってきた感のある、シトロエンのコンパクカー「サクソ」。ラリーフィールドにおいても活躍するホットハッチに、webCG記者が試乗した。ノホホーンとしてる
1996年にデビューしたシトロエンのコンパクトハッチ「サクソ」は、同じPSAグループのプジョー「106」と、シャシーコンポーネントの多くを共有する兄弟車である。日本では98年まで「シャンソン」というローカルネームが与えられていたが、99年から本国と同じ、サキソフォンからの造語「サクソ」に変更。同時に、ラインナップを1.6リッター直4DOHC16バルブを積む、3ドアのホットモデル「VTS」一本に絞った。左ハンドル、5段MTのみの設定で、価格は198.0万円。106S16より27.0万円も安い!
サクソは、ボディ骨格やサスペンション、エンジンなどをプジョー「106」と共用する。しかし、サスペンションセッティングの変更や、フロアパンにZ型の補強を入れて側面衝突に対応するなど、独自のチューニングが施された。ボディサイズは、全長が106より45mm長い、全長×全幅×全高=3735×1620×1360mm。トレッドは前後とも106より長く、フロントが1400(+15)mm、リアは1365(+10)mmとなる。
テスト車は、「ジョーヌ エリオドール」と呼ばれる金色に塗られた1台。デビュー当時は「AX」や「エグザンティア」のようなシャープなヘッドライトだったが、1999年のフェイスリフトで「クサラ」や「C5」と同じ顔に変更された。カタログには「精悍なフロントマスク」と記載されるが、実際目にした印象は“カワイイ系”。プジョー106のハンサムっぷりと較べると、だいぶおとなしくてノホホーンとしている。
実用車としても十分
ボディサイズが小さいので、室内はそれほど広くないが、グラスエリアが大きいおかげで圧迫感はない。シートは、しっとりした手触りのベロアと「ブヴロイユ」という生地のコンビネーション。ホットハッチを謳うにしては座り心地がホワっと柔らかいが、サイドサポートが体をホールドする。
後席に座ると、シートバック裏に膝があたってしまう。とはいえ、大人でも、短時間なら十分使える広さである。後席は6:4でダブルフォールディングでき、ハッチバックならではの使い勝手も活かされている。
ギアをローに入れ、まずはゆっくり走り出した。プジョー「106 S16」にも積まれる1.6リッター直4DOHC16バルブは、最高出力120ps/6600rpm、最大トルクは14.7kgm/5200rpmと、スペック的に驚くほどスゴクはない。ヴォーっと鈍い音もイマイチだが、低回転からトルクがあり、しかも5速1500rpmからの加速を受け付けるほどよく粘る。ギア比は、ファイナルも含めて106より若干高速向きのセッティングだが、960kgと軽い車重が奏功し、適当なギアに入れっぱなしの怠惰な運転も可能だ。乗り心地はしなやか。ハンドリングは、106より安定感があると感じた。総じて、実用車としての実力も高そうである。
奥が深い
じゃあサクソはスポーティじゃないのか、というと、そんなことはない。ソフトな内外装とはうらはらに、“走り”においては、スポーティというより“体育会系”に感じた。106は、路面や右足にクルマがビンビン反応するので、ヘタクソなリポーターでも「このあたりでやめとこう」という線引きがわかりやすいため、自分の限界で楽しめる。
一方サクソは、リポーター程度の腕で頑張ってコーナリングしても、いっこうに安定感を崩すことがなかった。トレッドが広い分、コーナリング限界が106より高いのだろう。峠でサクソのステアリングホイールを握るには、マクレーばりの気合いが必要だ。
ソフトな体育会系サクソ、販売がそろそろ終了する。シトロエンジャポンはこれを記念して(?)、最終生産分の60台に特別装備を付与した特別仕様車「サクソスーパー1600」を、2003年4月5日から販売している。販売価格は、VTSより5.0万円高の207.9万円。シトロエンジャポンに聞いたところ、VTSにもまだ在庫はあるという。最終ロットは人気が高いのが常ですから、お求めはお早めに。
(文=webCGオオサワ/写真=難波ケンジ/2002年9月)

大澤 俊博
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