第306回:賛否両論スカイライン、ポルシェよりセクシーでアウディよりエレガント!?
2007.02.21 小沢コージの勢いまかせ!第306回:賛否両論スカイラインポルシェよりセクシーでアウディよりエレガント!?
“スカイラインショック”が癒えてない
いやー、賛否両論ですな新型スカイライン。月販予定台数を超えてそれなりに売れてるらしいけど、あんまり変わってないって人と物凄く良くなったって言う人、BMW、メルセデスに匹敵するって言う人と、全然追いついてないと言う人などいろいろ。
ま、論より証拠、不肖・小沢コージが試してみました。先日偶然、数日間借りる機会があったんでね。4輪アクティブステア「4WAS」付きの3.5リッターモデルを。
あのね。スタイルは個人的には好きです。確かにパッと見、旧型とあんま変わってないんだけど、フロントのフェンダーまわりの膨らみはなかなかマッチョだし、リアの丸く膨らんだオシリなんか最高じゃない。
個人的にはポルシェよりセクシーでアウディよりエレガントだと思いましたね。ま、フーガにそっくりってのはその通りだけど……。
日産デザイン本部長の中村史郎さんによれば、あれはウィンドウグラフィックがあんまり変わってないからだそうで、確かに旧型とそこのカタチはほとんど同じ。少々もったいない気はしますな。
でもその昔、空冷時代のポルシェ911はグラスエリアがずっと変わってなかったわけで、一概にそれを悪いとはいえない。
要するに最大の問題は、先代V35型があまりに従来の路線から外れてたことによる“スカイラインショック”が癒えてないこと。
あの時スカイライン党が感じたであろう「裏切られた」&「捨てられた」感がどうしてもぬぐえないんでしょう。ま、いまだ空冷911がサイコー! なんて言ってる俺だけにその気持ちもわからなくもない。リクツじゃないもんね、そういうのって。
賛否両論の4WAS
でもまあデザインは置いといてボディもホントよく出来てると思った。特に最初に感動したのはフロントのアルミサブフレームがダイキャスト製でなんとも美しい。なんだかんだでレーシングカーみたいよ。
それからハンドリングだよね。峠はあんまり走ってないんだけど、とにかく毎朝乗った瞬間に感じる“充実感”みたいのがあった。
よくさ、ベンツ、BMW系を借りた時にも同じことが起こるんだけど、走り出して5メートルぐらいで「あ、いいな、しっかりしてキモチいいな」って感じる。これは結構、すごいのよ。正直、レクサスでもあまり感じないから。
それから基本的にステアリングフィールはかなりいい。軽すぎたり路面に取られすぎたりすることなく、自然に走行中のフィーリングを伝える。まあ、新型MINI試乗の時も言ったけど、毎日食べても飽きないゴハンのような走り味っていいますかね。
ついでに日産テストドライバーのドンである加藤博義さんが言う、乗り心地とハンドリングのバランスも凄いと思った。
特に高速道路でそれは顕著で、いわゆる硬めの足で大きなうねりをしっかり抑えてるのと同時に、細かい振動もほとんど伝えない。特に道路継ぎ目のショックのなさは驚異的。この辺はヘタすっとベンツ、BMWを凌ぐんじゃないでしょうか?
ただし、4WAS付きは賛否両論ですな。加藤さんいわく「絶対性能は上がらないけど、素人とプロのミゾを埋めてくれるハイテク」だそうで、最初は面白いと思ったが、運転のプロはやたら文句いうし、違和感は確かにある。
要するにノーズが不自然に早く内側を向くわけよ。でもねぇ。実は同時にフーガにも乗ってみたんだけど、ステアリングがクイックすぎる特性は最近の日産車の特徴なんだよね。こういう味付けが最近の日産は好きみたい。
日産の“4輪操舵信仰”?
ついでにアクセルレスポンスも踏み始めが急すぎてこれまたシロウト向け。これまた好みなんだろうと思いました。
一方、リア操舵による高速域の安全性は万人が認めるところでオレとしても文句なし。ホント安心してレーンチェンジできます。
すべて新設計っていう新型VQエンジンは正直、言われるほど素晴らしいとは思えなかった。
確かにパワーは出てるけど、無理やり回してるような感じもあるし、ライバルであるベンツV6やトヨタV6に対し、それほどアドバンテージがあるとは思えない。
ってなわけでね。カッコもいいし、ボディもいいし、エンジンも悪くなくて、非常にいいクルマだけど、ちょっと妙な味付け特性があるように思いましたね。
なんつーか、日産のなかに独特の“4輪操舵信仰”というか“分かりやすくて面白い運転特性にする信仰”がある。もしやメインターゲットであるアメリカ人対策なのかもしれないけど……。
だからオレだったら安くてクセのない2.5リッターの4WAS付きがいいかな。安いし。もし、アメリカとかに住んでたら買っちゃおうとか思うかもね。
(文と写真=小沢コージ)

小沢 コージ
神奈川県横浜市出身。某私立大学を卒業し、某自動車メーカーに就職。半年後に辞め、自動車専門誌『NAVI』の編集部員を経て、現在フリーの自動車ジャーナリストとして活躍中。ロンドン五輪で好成績をあげた「トビウオジャパン」27人が語る『つながる心 ひとりじゃない、チームだから戦えた』(集英社)に携わる。 YouTubeチャンネル『小沢コージのKozziTV』
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