BMW335i(FR/6AT)【ブリーフテスト】
BMW335i(FR/6AT) 2007.02.17 試乗記 ……703万7000円総合評価……★★★★★
「コンパクトスポーツセダン」の代名詞、BMW3シリーズセダンに最新の直6エンジンが搭載された。ツインターボで306psを発生する「335i」のパフォーマンスを検証する。
志ある技術者が作ったクルマ
近頃のBMWは方向性を見誤ったかと思われるモデルも続いたが、この335iに乗って安心した。このクルマにはBMW本来の操縦する楽しさが回帰してきている。久々に悦ばせてもらえたご祝儀相場もあって★は5点満点が与えられる。価格はオプション込みで704万円もするが、これならば納得。
サプライヤーの売り込みに負けて、一時は奇妙な電器製品を買い込んだ風にも見えたが、ただ任せて装備するだけでなく、買うにしてもBMWなりのチューニングは必要。そうした技術者がいなくなってしまったようにも感じていたが、志ある者が育ってきたようで喜ばしい。電子デバイスを否定するものではないが、不自然に邪魔するものは悪、存在を隠して最後の最後に救済してくれるものは良、最終的な目標に叶うものこそ吉。誤った市場要求に屈せず、BMWを信じられる方向に誘うのが課題。
【概要】どんなクルマ?
(シリーズ概要)
「コンパクトスポーツセダン」の代名詞ともいえる「BMW3シリーズセダン」は、現行で第5世代を迎え、日本では2005年4月に導入された。FRレイアウトや縦置きエンジン、50:50の前後軸荷重配分など、BMWのこだわりが反映される。サスペンション形式は、前ダブルジョイント式アクスル、後ろは1シリーズで先行採用した5リンク式となった。
(グレード概要)
335iは3シリーズセダンのトップグレードで、2006年10月に追加設定された。3リッター直6の直噴エンジンに2基のターボチャージャーを組み合わせた新ユニットは、306psと40.8kgmを発生。6段ATと組み合わせられる。可変ギアレシオのアクティブステアリングやアダプティブヘッドランプのほか、上級車らしく前席シートヒーターやランバーサポートなども標準装備する。
【車内&荷室空間】乗ってみると?
(インパネ+装備)……★★★★
特別に凝ったところは見られないがスッキリして読みやすい。黒一辺倒ではなく明るいベージュを配してあり、茶のウッドパネルと相まって軽快に感じる。3本スポークのハンドルも実は極太なのだが細身に見せている。ナビ画面はいい位置を占めるが操作しにくく使う気がしない。6段ATセレクターはシフトパドルなどなく、1系統ゆえの潔さがあり迷いはないことが見受けられる。シフトのプラス/マイナスの方向性はもちろんコレ(押すとダウン、引くとアップ)が正しく使いやすい。カップホルダーは追加方式ながら使える。
(前席)……★★★★
サイズ、形状、調整代共に良好。6シリーズのような寸足らず感はない。クッションは薄身ながらちゃんとフィットするしホールド性も十分。ギアボックスの室内への張り出しも気にならず足元の余裕あり。左足でブレーキペダルを踏んでも違和感はない。サイドブレーキレバーもあるべき位置にあり安心。白っぽい内装は汚れが目立ちやすい欠点はあるものの、気づかって乗るマナーを育てる効果はある。
(後席)……★★★★
外見やホイールベースなどの寸法から想像するより広々としている。室内の明るさもあって開放感に満ちる。実際に膝まわりの余裕もあるし爪先は前席下に納まるなど、3人掛けの実用性はクリアしている。センタートンネルやデフによる張出はあるものの、きちんと四角い処理ゆえ整然としてみえる。ヘッドクリアランスはミニマムながら丸いルーフは目先が高く狭苦しい感覚を救っている。ローラーブラインドも二つあって完璧。
(荷室)……★★★★
サスペンションの張り出しは大きいがタイヤ後方のスペースを有効利用している。デフの納まるフロアは高めだが奥行きはあり、リアシートを畳めて使える工夫も良好。トランク上部はデッドスペースとなりがちだが、引き出し式のトレーがあってそれも意外や大きめで便利に使える。取り付けも丈夫でしっかりしている。ドイツ車らしいアイデア。
【ドライブフィール】運転すると?
(エンジン+トランスミッション)……★★★★★
気持ち良さで別格。ラグや期待以上の吹け残り感など、ターボの悪癖は皆無だ。チューンによってはフラットで盛り上がり感に欠けるターボエンジンもあるが、コレは音的にもG的にも山があって、むしろ自然で心地良いストーリー性を持つ。直列6気筒なりの身の程を知り、無理矢理高回転を強いない心得もあり感服。ステップトロニックの6段ATはマニュアルシフトの楽しみを味わえる上、自動変速としてもショック少なくプログラムも適切で、不自然な振る舞いがない。
(乗り心地+ハンドリング)……★★★★★
軽快で楽しめるハンドリング。低速ではフルロック2回転弱となる可変ギアレシオの油圧パワステは、良好な感触。以前に試乗した5や6シリーズでいたずらに変化すると感じた電動アクティブステアリングも、かなり改善された感がある。ステアリングフィールはこれこそBMW本来の姿。乗り心地は全体に硬めながら、操縦性を楽しんでいるときには許せる範囲である。
(写真=高橋信宏)
【テストデータ】
報告者:笹目二朗
テスト日:2007年1月29日
テスト車の形態:広報車
テスト車の年式:2006年式
テスト車の走行距離:5772km
タイヤ:(前)225/45R17(後)同じ(いずれもブリヂストン POTENZA RE050A)
オプション装備:メタリック塗装(7万5000円)/クライメート・コンフォート・ウインドスクリーン(2万4000円)/電動ガラスサンルーフ(14万円)/リヤサイドウインドーローラーブラインド(2万7000円)/ラゲージコンパートメントパッケージ(4万2000円)/自動防眩ドアミラー(4万9000円)
テスト形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(4):高速道路(4):山岳路(2)
テスト距離:365.1km
使用燃料:42.8リッター
参考燃費:8.5km/リッター

笹目 二朗
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