シトロエンC4 1.6 VTR (4AT)【ブリーフテスト】
シトロエンC4 1.6 VTR (4AT) 2005.08.04 試乗記 ……237万5000円 総合評価……★★★★ 2005年6月、「クサラ」の後継モデルとして発売された「C4」。3ドア(クーペ)&5ドア(サルーン)が用意されるハッチバックモデルの、1.6リッタークーペに試乗した。
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見ても乗ってもシトロエン
シトロエンC4は、「フォルクスワーゲン・ゴルフ」「フォード・フォーカス」「ルノー・メガーヌ」などが属する、ヨーロッパのCセグメントに向けてリリースされたモデルだ。
シトロエンはこれまで、「ZX」と「クサラ」をこのセグメントに送り込み、ヨーロッパではそこそこの人気を得ていた。とくにスペインなどの南ヨーロッパではかなり売れていた。ところが日本では、メジャーにはなりきれなかった。この国では、輸入車は個性的な乗り物と見なされる。そういう観点でZXやクサラを見ると、シトロエンらしい独創性がいささか希薄だったかもしれない。
クルマは悪くなかった。シトロエンというとハイドラクティブなどの油圧サスペンションを連想するが、ZXやクサラは金属バネでありながら、しっとりしなやかなシトロエンらしい乗り心地を表現していた。でもそれは、走ってみなければわからない。ショールームで観察する限りでは、やさしい座り心地のシート以外に、シトロエンらしさを感じる部分はあまりなかった。
その点C4は、走り出す前からライバルと違う。メーターパネルはセンターにあって、液晶テレビ顔負けの超薄型。ステアリングはセンターパッドがスイッチパネルになっていて、エアコンは温度だけでなく匂いも選べる。3ドアをクーペと位置づけるのはZXからの伝統だが、C4ではルーフラインも5ドアのセダンとは変えている。リアエンドをスパッと切り落としたフォルムは、かなりダイナミック。3ドアの輸入そのものを見送るインポーターが多い中で、このカタチはひときわ目立つ。
プラットフォームは同じPSAグループのプジョー307と共通だが、乗り心地やハンドリングはブランドイメージに合わせて、おだやかなテイストに仕立ててある。そのうえでC4は、エクステリアやインテリアも、他車と一線を画している。見ても乗ってもシトロエン。「やっぱりこうでなくちゃ」と思ったのは、自分だけではあるまい。
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【概要】どんなクルマ?
(シリーズ概要)
「クサラ」の後継、コンパクトな「C3」とミディアムクラス「C5」の間を埋める3ドア&5ドアのハッチバックモデルとして2005年6月に発売。シトロエンは、リアにノッチを付けた3ドアをクーペ、お尻が丸い5ドアをサルーンと呼ぶ。
ボディは、「プジョー307」と同型のプラットフォーム。自慢のエクステリアが個性的ならインテリアにも凝っており、操作してもセンター部分が固定されるステアリングホイールや、センターにドンと構える透過式デジタルディスプレイなど特徴的なアイテムが揃う。
日本仕様に搭載されるエンジンは3種類、2リッターの直4が2種(143ps、20.8kgm/180ps、21.0kgm)と1.6リッター(110ps、15.3kgm)。シーケンシャルモード付き4段ATに加え、クーペの2リッター・スポーティモデル「2.0VTS」には5段マニュアルを組み合わせる。サスペンションは、前マクファーソンストラット式、後カップルドビーム式を採用。シトロエンのお家芸ハイドロニューマチックではもちろんなく、コンベンショナルなコイルスプリング式である。
(グレード概要)
テスト車の「1.6 VTR」は、3ドアクーペの1.6リッターモデル。トランスミッションは4段オートマチックのみ。アンチスピンデバイスのESPは装備から省かれ、タイヤ&アルミホイールは16インチを装着。ボディ同色電動ドアミラー、AM/FMチューナー付CDプレイヤー 6スピーカーが標準装備され、パノラミックガラスルーフはオプションで選ぶことができる。
【内装&荷室空間】乗ってみると?
(インパネ+装備)……★★★★★
低く出っ張りのないインパネは、室内に開放感をもたらしてくれる。メーターは、ドライバーの前にあるのはバーグラフ式タコメーターだけで、それ以外はセンターの薄い液晶パネルに表示される。センターパネルに慣れた人なら違和感はないし、外界に合わせて明るさや色が変わっていくという情緒的な一面も持っている。その下のインジケーターは、可愛らしいイラストを多用していて、ほほえましい。センターパッドを固定としたステアリングは、どのぐらい切っているかが把握しづらいが、パッドに埋め込まれたスイッチは、ステアリングから手を放さずに操作できるので使いやすい。センターのルーバーの脇に、全部で9種類あるフレグランスのカートリッジを差し込んで、香りを楽しむことができるオートエアコンは、フランスならではのアイテムといえるだろう。機能をしっかり押さえつつ、遊び心を盛り込むことを忘れない、シトロエンらしい空間といえる。
(前席)……★★★★
座面、背もたれともに、断面がゆるい円弧を描くような形状で、クッションは体重に応じて適度に沈み込んでくれる。心地よく体にフィットする感触がシトロエンらしい。そのうえで、両サイドのせり上がった部分は硬めになっており、コーナーでしっかり体をサポートしてくれる。ただしクーペはシートベルトの高さ調節が効かず、身長170?胴長短足の自分では、ベルトが首の近くに掛かるのが気になった。
(後席)……★★★★★
身長170cmの自分が前後に座った場合、リアシートのひざの前には20cm近い空間が残り、頭上にも余裕がある。ルーフラインは異なるが、このスペースはセダンとほぼ同じであり、クーペとしては例外的に広い。座り心地も前席にさほど劣らず、快適だ。
(荷室)……★★★★
後席を立てた状態の容積は342リットルで、ここでもセダンの352リットルとほとんど差がなく、クーペとして考えると広い。もちろん後席は6:4分割で折り畳むことができる。バンパーの裏には折り畳み式のパーティションが内蔵されており、引き出すことで床を4分割できる。単純にして便利な装備だ。リアゲートは垂直面にもガラスがあり、ここを通しての後方視界は5ドアとほぼ同レベルが確保される。
【ドライブフィール】運転すると?
(エンジン+トランスミッション)……★★★
1320kgのボディに対して110ps/15.3kgmとなると、力不足が懸念されるが、実際は平坦路であれば、アクセルペダルに余裕を残していられる。このクラスではトップレベルといえる静粛性のためもあって、高回転を多用してもストレスは少ない。これもアンダーパワーに思えない理由のひとつだ。ただし上り坂や高速道路ではフルスロットルを多用することになる。余裕が欲しい人は2リッターを選ぶのがいいだろう。学習機能内蔵のATは、4段であることが気になるシーンはあるものの、変速タイミングは初期のものから比べると、日本の道路事情に合ったものに進化していた。
(乗り心地+ハンドリング)……★★★★
乗り心地はシトロエンらしい、しっとりした感触。そのうえで、クサラと比べるとショックの角がさらに丸められていて、上質さが伝わってくる。パワーステアリングは速度感応式で、低速ではややねっとりしたタッチだが、速度を上げるにしたがい自然な手応えになっていく。レスポンスは307よりもおだやかで、リラックスして操舵できる。コーナーに入ってからは、しなやかに動く足が粘り強く接地を続けてくれるので、かなりのスピードを保つことができた。こうした面からも、シトロエンの個性を感じることができる。
(写真=荒川正幸)
【テストデータ】
報告者:森口将之
テスト日:2005年7月5日
テスト車の形態:広報車
テスト車の年式:2005年型
テスト車の走行距離:4193km
タイヤ:(前)205/55 R16(後)同じ
オプション装備:--
テスト形態:ロードインプレッション
走行状態:高速道路(6):山岳路(4)
テスト距離:--
使用燃料:--
参考燃費:--

森口 将之
モータージャーナリスト&モビリティジャーナリスト。ヒストリックカーから自動運転車まで、さらにはモーターサイクルに自転車、公共交通、そして道路と、モビリティーにまつわる全般を分け隔てなく取材し、さまざまなメディアを通して発信する。グッドデザイン賞の審査委員を長年務めている関係もあり、デザインへの造詣も深い。プライベートではフランスおよびフランス車をこよなく愛しており、現在の所有車はルノーの「アヴァンタイム」と「トゥインゴ」。
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