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【スペック】全長×全幅×全高=4225×1760×1500mm/ホイールベース=2575mm/車重=1410kg/駆動方式=FF/1.4リッター直4DOHC16バルブインタークーラー付きターボ+スーパーチャージャー(170ps/6000rpm、24.5kgm/1500-4750rpm)/価格=305万円(テスト車=330万2000円/VWマルチメディアステーション(25万2000円))

フォルクスワーゲン・ゴルフGT TSI(FF/2ペダル6MT)【試乗記】

主力に新たな“力” 2007.02.06 試乗記 生方 聡 フォルクスワーゲン・ゴルフGT TSI(FF/2ペダル6MT)
……330万2000円

フォルクスワーゲンの主力車種「ゴルフ」。全6種類となったゴルフシリーズの最新作、噂の新コンセプトエンジンを搭載した「ゴルフGT TSI」に試乗。その実力は。
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噂以上の実力派

わずか1時間の試乗だったが、感服である。VWの新コンセプトエンジン「TSI」を搭載した「ゴルフGT TSI」は驚くばかりの仕上がりで、今後、ゴルフの主力モデルになることを予感した。

TSIは、ターボとスーパーチャージャーというふたつの過給器によって、小さな排気量から大きな出力を得ながら、同時に、排気量相応の低燃費を目指したエンジンである。実際、ゴルフGT TSIに搭載されるTSIエンジンは、1.4リッターの排気量で、最高出力170ps/6000rpm、最大トルク24.5kgm/1500-4750rpmを生みだし、一方10・15モード燃費は14.0km/リッターを実現している。

クルマの概要は、先に公開されたブリーフテストでお伝えしているので、さっそく私の印象を報告しよう。まず驚いたのは、低回転での力強さ。1.4リッターという排気量が頭にインプットされているからだろう、2000rpm以下の力強さは私の想像をはるかに上回っていた。しかも、アクセルペダルに対するレスポンスが実にいい。右足をわずかに動かすと、すぐにフッとクルマが前に押し出される感じ。それは排気量に余裕のある自然吸気エンジンの感覚だった。「2.4リッター並みの性能」というVWの言い分は、誇張ではなかったのだ。

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必要なときに必要なトルクを発揮する

もちろん、低回転だけのTSIではない。高速道路の追い越しなど、鋭い加速が必要な場面も得意としている。アクセルペダルを思い切り踏み込むと、シフトダウンが起こり、即座にエンジンの回転ははねあがる。そこはターボの守備範囲ということになるが、ここでも期待を超える力強い加速をともなって、レブカウンターの針はストレスなくレブリミットに向かっていった。

その中間の回転域では、ターボとスーパーチャージャーの両方で過給圧を高めている。その結果、ターボラグとは無縁の素早いレスポンスと豊かなトルクがもたらされる。

つまり、TSIは回転数にかかわらず、必要なときに必要なトルクを発揮してくれるのが特徴というわけだ。しかも、常用する低中回転域で実用的かつ頼もしい。燃費についてはなんともいえないが、面白がって高回転を多用したにもかかわらず、ドライブコンピューターによる表示は9km/リッター台を示していたことを考えると、期待していいのかもしれない。

足まわりに関しては、先のリポートにもあるように、GTIほどではないがスポーティに仕上げられていて、ワインディングロードを気持ちよく駆け抜ける実力を備えている。それでいて快適さが損なわれていないのも、このクルマのいいところだ。

というわけで、ちょっとスポーティなゴルフがほしい人にとっては、まさにぴったりのゴルフGTI TSIである。

どのゴルフを選ぶ?

GT TSIの追加発売にともない、ゴルフのラインアップは価格の安い順から、1.6リッターFSIの「E」(242万円)、2リッターFSIの「GLi」(282万円)、1.4リッターTSIの「GT TSI」(305万円)、2リッターターボFSI(T-FSI)の「GTI」(MT:329万円/DSG:344万円)、「GTX」(371万円)、そして、3.2リッターV6の「R32」(2ドア:423万円/4ドア:443万円)になった。これだけのバリエーションが揃うと、「どれを買ったらいいのかわからない」という人も少なくないだろう。そこで、元ゴルフオーナーでもある私が独断で、お勧めのモデルをアドバイスしよう。

まず、パワーはあまり気にせず、ゴルフらしさ、すなわち、コンパクトなのに大人4人が快適に移動できるパッケージングや重厚な乗り味を手に入れたければ、ゴルフEが断然お勧めである。価格は安いが、ヨーロッパのベーシックな仕様に比べると装備も充実。1.6リッターながら、エンジン性能も必要十分な実力を備えている。ゴルフのなかではもっとも堅実な選択である。

反対に、クラスを超えた動力性能とスポーティさを望むなら、R32という選択肢がある。自然吸気V6エンジンの胸の空くような吹け上がりやレスポンスの良さは、とても魅力的だ。

「ゴルフE」
「ゴルフE」 拡大
「ゴルフR32」
「ゴルフR32」 拡大

まだまだ選べます

ワインディングロードやサーキットなどでスポーツドライビングを楽しみたいなら、パワフルなエンジンとスポーティな足まわりを持つGTIがいいだろう。「あのフロントマスクは派手すぎる」という向きにはGTXもある。ただし、GTIとGTXでは足まわりが違い、GTXの場合は足まわりもおとなしいセッティングとなることをお忘れなく。

サーキットを攻めるまではいかないが、スポーティな運転を好むならGT TSIで決まり! 動力性能と快適性がうまくバランスされていて、どんな場面でもストレスなく運転を楽しめるはずだ。充実の装備も魅力である。

そして残ったのがGLi。GT TSIに比べるとエンジントルクは確かに見劣りするけれど、低回転域のトルクは十分だし、アクセルペダルを踏み込めんだときスムーズに回転を上げていくさまは意外にスポーティ。VWの2リッター直4自然吸気エンジンとしては、完成形といっても過言ではない。そのうえ、トルコンATと組み合わされることもあり、クリープやシフト時の滑らかさはDSG以上だ。足まわりは、スポーティなGT TSIに対し、こちらはコンフォート指向のセッティングで、乗り心地が実にマイルド。それでも、高速走行時のフラット感や、ワインディングロードでの軽快感など、ゴルフらしさは失われていない。トータルバランスではラインナップ中トップの実力を誇る。ファミリーユーザーにはGLiをお勧めしたい。ただし、TSIの登場で近い将来ラインナップ落ちは必至なので、「ぜひGLi」という人はこのチャンスをお見逃しなく!

(文=生方聡/写真=菊池貴之/2007年2月)

「ゴルフGTI」
「ゴルフGTI」 拡大
「ゴルフGTX」
「ゴルフGTX」 拡大
「ゴルフGLi」
「ゴルフGLi」 拡大
生方 聡

生方 聡

モータージャーナリスト。1964年生まれ。大学卒業後、外資系IT企業に就職したが、クルマに携わる仕事に就く夢が諦めきれず、1992年から『CAR GRAPHIC』記者として、あたらしいキャリアをスタート。現在はフリーのライターとして試乗記やレースリポートなどを寄稿。愛車は「フォルクスワーゲンID.4」。

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