第21章:「伊魂ゲル才? 新型ブラーヴォにフィアットが託すコトとは……」
2007.02.02 FIAT復活物語第21章:「伊魂ゲル才? 新型ブラーヴォにフィアットが託すコトとは……」
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グランデプントの姉貴登場
1月30日、フィアットの新型「ブラーヴォ」が、首都ローマで発表された。欧州自動車市場の激戦区であるセグメントCに投入する新型である。
妹分である「グランデプント」のイメージを継承したエクステリア・デザインは、フランク・ステファンソン率いるチェントロスティーレ・フィアットによる。
細かいところでは、これを機会に1999年以来使われてきた青地のFIATエンブレムも、CI会社の手によって赤地のものにモディファイされた。
パワーユニットのうち、予想される売れ筋は今日の欧州自動車事情を反映して1.9リッター「マルチジェット」コモンレール・ターボディーゼル(120/150ps)だ。
いっぽうガソリン仕様には、「Tジェット」と名づけられた低燃費・低公害の新開発直噴1.4 リッター16バルブターボ(120/150ps)も近いうち用意される。
変速機は当初は5段と6段マニュアルのみ。価格は1万4900ユーロ(約234万円)からとなっている。
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セグメントCで輸入車に勝てない
ところでフィアットはセグメントCで、過去20年の間、屈辱的ともいえる辛酸をなめてきた。故郷イタリアで、輸入車に勝てないのである。
その先駆けとして期待を背負わされたのは1988年発表の「ティーポ」だった。「VWゴルフ」をイタリア半島から駆逐することを標榜したものの、目標は果たせなかった。
その後継モデルとして1995年に登場した初代ブラーヴォは、姉妹車「ブラーヴァ」「マレア」とともにデビュー当初それなりに善戦した。
しかし次第に苦戦するようになり、モデル末期には一般ユーザー向けというよりも大量納入された官公庁やパトカーのイメージが強くなってしまった。
続いて2001年にデビューした「スティーロ」は、擬似ドイツ車的スタイングが不評をよんだうえ、ユーザーの間では「電装系が弱い」という評判がつきまとった。
筆者の周囲にもスティーロ3ドアを購入したものの、たび重なる修理入庫に愛想をつかせて乗り換えてしまった知人がいた。また、各地のディーラーには、すでにナンバーが付いた即納スティーロが展示されていたものだった。
参考までに、2006年11月のイタリア国内新車登録で、VWゴルフは3472台を記録したのに対し、スティーロはワゴンを合わせても1929台に留まった。
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3度目の正直、三匹目のドジョウ
そんな経緯のなか、先代ブラーヴォから数えると、まさに「3度めの正直」を狙うのが新型ブラーヴォなのである。
同時にフィアットのラインナップを俯瞰すれば、「パンダ」「グランデプント」が各セグメントで国内登録ナンバーワンを獲得したのにあやかる、「三匹目のドジョウ」となるべく企画されたクルマでもある。
かくして新型ブラーヴォは、Made in Fiatという広告キャッチのとおり、イタリアのエモーションを感じさせるスタイリングを纏わされた。
いっぽうで、スティーロの部品が有効活用されているものの、エンジニアリングにあたってはオーストリア・マグナ社の協力を得て、トータルクオリティの向上を図っている。
「和魂洋才」ならぬ「伊魂ゲル(マン)才」なのである。
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ベンチマークはトヨタ?
ところでフィアットは、2月1日から社名を「フィアット・アウト」から「フィアット・グループ・オートモビルズ(FGA)」へと変更した。
そして傘下に、フィアット、アルファ・ロメオ、ランチア、そして小型商用車部門をそれぞれ100%子会社として設立。ブランドごとに分社化した。これについては、機会を改めて解説しよう。
新生FGAのセルジョ・マルキオンネ社長は、新型ブラーヴォ発表に、お堅いフィアットとしては珍しくノーネクタイ&スウェット・セーター姿で臨んだ。そしてイタリアの新聞のインタビューに対して、ブラーヴォの品質向上を強調。「(今年9月に発表する)新型500においては、明らかにトヨタのそれを上回る」と鼻息を荒げた。
なお、新型ブラーヴォ誕生キャンペーンとして、イタリアのフィアット・ディーラーでは、2月3日から11日にかけて連日夜8時まで営業する。
「それが何か?」というなかれ。こちらの販売店が全国一斉にそんな遅くまで、それも土曜午後や日曜も開けるのは、相当気合が入ったことなのだ。
ただし、広告に書いてあるのはそこまで。イタリアのディーラーにとってお決まりの、昼1時から3時頃までの聖なる?昼休みは、キャンペーン中もやはり守られるに違いない……。
(文と写真=大矢アキオ-Akio Lorenzo OYA)

大矢 アキオ
Akio Lorenzo OYA 在イタリアジャーナリスト/コラムニスト。日本の音大でバイオリンを専攻、大学院で芸術学、イタリアの大学院で文化史を修める。日本を代表するイタリア文化コメンテーターとしてシエナに在住。NHKのイタリア語およびフランス語テキストや、デザイン誌等で執筆活動を展開。NHK『ラジオ深夜便』では、25年間にわたってリポーターを務めあげる。『ザ・スピリット・オブ・ランボルギーニ』(光人社)、『メトロとトランでパリめぐり』(コスミック出版)など著書・訳書多数。近著は『シトロエン2CV、DSを手掛けた自動車デザイナー ベルトーニのデザイン活動の軌跡』(三樹書房)。イタリア自動車歴史協会会員。
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