サーブ9-3スポーツセダン エアロ2.0T(5AT)【試乗記】
“エモーション”というプレミアム 2003.04.29 試乗記 サーブ9-3スポーツセダン エアロ2.0T(5AT) ……470.0万円 2003年1月から日本で販売が開始された、サーブの新しいスポーティセダン「9-3」。エアロパーツや17インチタイヤを装着し、210psのハイパワーユニットを搭載するトップグレード「エアロ2.0T」に、webCG記者が試乗した。
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9-3のキャラクターを表現
新型サーブ「9-3」に、もっともスポーティなトップグレード「エアロ2.0T」が加わった。エクステリアにエアロパーツを装着。ターボ過給される2リッター直4エンジンは、型式こそ他グレードと同じながら、大径ターボチャージャーへの換装と高ブースト化、専用部品の採用などにより、210psの最高出力を得た。スポーツサスペンションや大径ディスクブレーキを採用し、足まわりにもチューニングが施される。
これで、150psのエンジンを積む、ファブリック内装のベーシックバージョン「リニア1.8t」(360.0万円)、175psのパワーユニットにレザーインテリアをもつ「アーク2.0t」(415.0万円)、そして今回追加された210psの「エアロ2.0T」(470.0万円)と、9-3ラインアップが完成した。
旧来のハッチバックボディから4ドアセダンに変わり、“プレミアムスポーツ”を標榜するニューナインスリー。新型エアロは、そのキャラクターをもっとも先鋭的に表現したグレードといえるだろう。価格はベーシックグレードのリニア1.8tより110.0万円高い、470.0万円。ライバルたるBMW3シリーズなら「325i」(478.0万円)、アウディでは「A4 2.4SE」(460.0万円)に匹敵する、ゴージャスなモデルである。
エアロのボディサイズは、ほかのグレードと同じ。前後バンパー下部のエアダム、サイドスカートと、小さなリアスポイラーを付与し、ノーマルモデルと比較してリフト量を前70%、後40%低減して高速安定性を高めた。足もとには2インチアップとなる、17インチのツイン5本スポークアルミホイールが、Cd値0.28と空力のよいボディをアスリートのように引き締める。筋骨隆々の“マッチョなスポーティ”にならないトコロが、“知的でスポーティ”なサーブらしい。
大径ターボ
エアロのインテリアは、ドアトリムやメーターリングにメタル調パネルが配される。“スポーティ=メタル”の図式は安易にすぎる気もするが、ギラついた下品さとは無縁のクリーンな雰囲気は、“スカンジナビアンデザイン”の成せる技か。ただ、先代9-3と較べると、メタルパネルの使用範囲が少なくなったおかげで、ベーシックグレードとの差が曖昧になったのは、個人的に残念だった。
トップグレードらしく装備は豪華で、サイドサポートのきいたスポーツレザーシートは、運転席、助手席とも電動調節式。オーディオは、リニアより4個多い13個のスピーカーを、300Wの大容量アンプで駆動するシステムが備わる。ステアリングホイール上のシフトスイッチも、9-3ではエアロだけの装備である。
センターコンソール上のイグニッションをまわし、撮影のため山中湖へ向かって走り出す。アクセルペダルを踏み込んでから一呼吸後、猛然と加速するエアロは、NAなら3リッタークラスに相当するだろう速さを見せる。90km/h〜120km/hの中間加速は世界でもトップクラスと説明を受けたが、実際かなり速い。
リニアとアークに搭載される「B207」ユニットは、ブーストを変更(リニアが0.5bar、アークは0.7bar)して出力を変える。一方、エアロのエンジン「B207R」のターボチャージャーはサイズの大きい三菱製で、ブーストを0.85barとやや高めに設定。さらに、強化されたピストンとピストンリング、吸気タイミングを早めたカムシャフト、大口径エグゾーストシステムなどの専用部品が奢られる。30.6kgmもの最大トルクを、9-3シリーズでもっとも高回転の2500rpmで発生する。ちなみに、リニアの場合は1900rpm。過給圧がかかり、ターボが本領を発揮するまでの遅れが“気持ち”遅れる程度に収まっているのは、さすがターボに長けたサーブ。若干とはいえ、エンジン特性が高回転側に振られたおかげで、ピークパワーを発生する5500rpmまで、エグゾースト音の高まりに合わせた“スポーティな加速”が味わえる。
独特の高級感
山道では、シルキーな乗り心地に驚かされた。スポーツサスペンションと、225/45R17サイズのピレリ「PZERO ROSSO」のコンビにより、乗り心地はかなり硬いだろうと想像していたが、とんでもない。コシがありつつ柔らかな感触は、ちょっと締まったフランス車というか、もしくはドイツ車に色気を加味したような、独特の高級感がある。しっとりロールしながらコーナーをクリアする様子は、プレミアムスポーツセダンの名に恥じないものだった。エアロのブレーキは、前後ともローター径の拡大されたベンチレーテッドディスクを装備。制動力の高さはもちろん、ペダルの感触が絶妙で、下り坂での安心感も高い。
大いに感銘を受けて試乗を終えた後、比較のため、参考として用意されていたベーシックグレード「リニア1.8t」に試乗したところ、しごく「フツーのクルマ」に感じられた。足は柔らかく、低回転からトルクがあるエンジンは、高回転を使わなくともハイペースで走れるが、しかしエアロのようなパンチに欠ける。110万円もの価格差をふまえれば当たり前かもしれない。
“プレミアムスポーツ”ことサーブ9-3。エアロ2.0Tは、さらに外観、動力性能とエンジンサウンド、足まわりに、ドライバーを高揚させる“エモーション”というプレミアムを付与したモデルといえる。
(文=webCGオオサワ/写真=峰 昌宏/2003年4月)

大澤 俊博
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