オペル・メリーバ(2ペダル5MT)【試乗記】
花よりダンゴ 2004.03.03 試乗記 オペル・メリーバ(2ペダル5MT) ……232.0万円 ミニバン人気の日本市場に、オペルが期待をかけて投入するコンパクトミニバン「メリーバ」。神奈川県で開かれたプレス向け試乗会で、『webCG』オオサワが乗った。
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期待のベーシック
「オペル・メリーバ」は、「ヴィータ」をベースにつくられた、モノフォルムボディの5人乗りコンパクトミニバン。コンセプトは、サイズの限られるコンパクトカーに、上級セダンを超える室内スペースと、ユニークなシートアレンジによる多彩な使い方……って、どこかで聞いたことあるなぁと思ったら、あたりまえ。ミニバン大国ニッポンには、同ジャンルのクルマ、しかも3列7人乗りがイッパイあるのだ。大きさからいえば、メリーバは「トヨタ・スパシオ」に近い。
メリーバは、2002年のジュネーブショーに出展した「コンセプトM」の市販モデルで、欧州では2003年3月にリリースされた。全長約4mの背高ボディに、1.6リッターと1.8リッターのガソリンユニット、または1.7リッターターボディーゼルを搭載。トランスミッションは5段MT、もしくは「イージートロニック」と呼ばれる、電子制御多板クラッチを使う5段シーケンシャルが組み合わされ、前輪を駆動する。日本に導入されるのは、1.6リッターのイージートロニック仕様、右ハンドルのみで、価格は218.0万円。
メリーバの欧州での販売は好調で、03年末までに約11万5000台を売り上げた。「ホンダ・ジャズ」(「フィット」)、「フォード・フージョン」などをおさえ、クラストップのシェア26.9%を獲得したという。日本市場でも、輸入車に的を絞れば競合車はすくなく、日本ゼネラルモーターズ(日本GM)とヤナセは、日本におけるオペル拡販を担う車種として期待する。ちなみに、日本GMは2004年、ヴィータの販売を一時休止した。オペルのボトムレンジを、メリーバに一任したワケだ。
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コンパクトだけどリムジン
メリーバのボディサイズは、全長×全幅×全高=4040×1695×1625mm。ヴィータのプラットフォームをベースに、GMジマンのハイドロフォーム製フロントサブフレームや、「アストラ」のトーションビーム式サスペンションを活用してつくられ、ヴィータよりフロントトレッドが30mm、リアは55mm拡大された。前後オーバーハングが短い、キャビン優先のパッケージングで、ホイールベースはヴィータより140mm長い2630mm。これはなんと、新型アストラ比でも15mm長く、クラストップを謳う。
もちろん室内は広い。さらに、1人乗りから5人乗りまで、用途に応じて使いわけられる「フレックススペース」と名付けられたシートアレンジが特徴である。ポイントはリアシートにアリ。4:2:4で分割フォールディング可能で、シートバックを前に倒した後、座面ごとフロアと平行に押し下げて、荷室とフラットなフロアをつくりだす。バネの反発が強く、小柄な女性にはキツいかもしれないが、操作はシンプル。助手席シートバックまで倒した、1人乗りモードのフラットスペースは、容量2000リッター以上もあって広大だ。
リアの居住性も、アレンジによって大きく変わる。5人乗りでも膝前に余裕があり、前席下につま先が入るから窮屈な思いはしない。が、中央席をフォールドした後、左右シートをクランク状にスライド、75mm近づけて4人乗りにすれば、ベクトラ並かそれ以上だ。幅に余裕が生まれるだけでなく、前後スライド量は70mm増しの200mm、リクライニングは3段階(5人乗りは2段階)となる。名付けて「リムジンモード」。その名の通り、足を投げ出して寝そべるような姿勢がとれる。
オペルらしい
1.6リッター「エコテック」は、最高出力100ps/6000rpm、最大トルク15.3kgm/3600rpmを発生。動力性能はたいしたことないが、低回転からトルキーで、1360kgのボディを過不足なく引っ張る。
イージートロニックが、ヴィータスポーツのそれより洗練され、ギクシャク感がなくなったことも美点だ。クリープを再現するものの、平坦路でもしずしず動くだけなので、坂道発進でアクセルを踏み込まないと下がるなど、トルコンATと勝手が違うトコロもある。しかし走り出せば、オートマチックモード、マニュアルモードとも、シフトはスムーズ。トルコンATにはない、ダイレクトな加速感が味わえる。ちなみに、GMによれば、5段MTに較べて燃費が約4%いいという。
走りはオペルらしい、しっかりした感触。電動パワーステアリングのフィールにあいまいさが残るものの、高速道路での直進安定性が高いのは、オペル車に共通の美点である。視点、重心とも高いのに、ロールが適度におさえられ、山道をキビキビ走ることができた。
メリーバは、基本性能はもちろん、ユーティリティを含め隅々まで、きちんと仕上げたクルマだ。「3列シート7人乗り! でも荷室は使えません」より、5人乗りで真っ当につくったことも、好ましく思った。カタログアピールより実を取るところが、オペルらしい。
(文=webCGオオサワ/写真=清水健太/2004年3月)

大澤 俊博
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