アルファ147 2.0ツインスパーク セレスピード(5MT)【試乗記】
スポーティと実に不快 2001.09.29 試乗記 アルファ147 2.0ツインスパーク セレスピード(5MT) ……285.0/295.0万円(3dr/5dr) 2000年のトリノショーでデビューしたアルファロメオのハッチバック「147」。セレスピードと呼ばれる2ペダルシステムを採る2リッターモデルに、自動車ジャーナリスト河村康彦が乗った。145の後継モデルやいかに!?“ナマ”の147に驚く
「アルファロメオ」に多くの人が期待するもの……、それは“個性の強さ”であろう。そうでなければ、世界に冠たる自動車産業国である日本において、わざわざ輸入車を購入する理由がない。こうした観点から見ると、アルファロメオの新しいハッチバックモデル「147」のポテンシャルは大変高いといえる。際立って“輸入車らしい輸入車”……アルファ147を、そのように紹介してもいいだろう。
ところが、そうはいってもこのクルマ、万人に無条件で薦められるものとは紹介できそうにない。まずはエクステリアデザインを目にした時点で「引いてしまう」ヒトが現われそうだ。
試乗会が行われた箱根は芦ノ湖湖畔の某ホテルに向かう途中、ぼくは何台かの147とすれ違った。もちろん、写真もモーターショーでの姿も目にしていた自分ではあったが、それでもまるで「顔が走ってくる(!)」かのごときだった!! “ナマ”の147の印象には、ちょっとばかりびっくりさせられた。
余計なメカ(?)
シーケンシャルトランスミッション「セレスピード」も万人向けのアイテムとは思えない。クラッチ操作をロボットが肩代わりすることで、メカ的にはマニュアルながら2ペダルドライブを実現させたこのシステム。新たにステアリングホイールの裏にシフトパドルを追加したことで、さらに新たなドライビングスタイルを可能とした。ステアリングコラムを挟んで、右側アップ、左側ダウンのパドルをタイミング良く操作することで、なかなかスポーティで小気味の良いシフトを楽しむことができるのだ。
ただしそう感じるのは、あくまでもこのシステムを“変種のMT”と理解する人のみ、のはず。なぜなら、変速タイミングまでを機械任せにする「CITYモード」を選択してAT車風に走ろうとすると、変速動作のたびに加減速力が途切れ、ギクシャクとした、実に不快な“走り味”に一変してしまうからだ。このクルマを「2ペダルだから」という理由でATトランスミッションの一種と捕らえるドライバーにとって、「アルファロメオはどうしてこんなヘンなオートマしか出来ないのだろう」と不思議に思うに違いない。こうした余計な(?)メカを背負うことで、故障因子がひとつ増えてしまうことも、正直ちょっぴり心配……。
もっと回して!
けれどもこうした事柄も、人が変わればすべて裏返し。「これが147ならではの個性なのだ」と好意的に受け取れるはず。確かにそうしたユーザーは、常識的なマーケティングが指し示すコアマーケットからは外れたところにいるのかもしれない。その結果として、数年後に147を売りに出そうとして、ライバル車よりも低い買い取り価格に涙しなければならない可能性だってないわけではない。
しかし「そんな計算づくのことより、所有中の満足感が高い方がはるかに大切」という価値観のもち主にとって、こいつは絶対に見逃すことのできない一台。予想以上に高いボディの剛性感やシュアなハンドリング、安定感の高さがスバラシイ。“ちょっぴりドイツ車チック”と感じるヒトがいるかもしれないが……。
高回転になるほどに活気を回す「もっと回して!」タイプのエンジンやそのサウンドはやはりラテンの生まれらしい。自動車だって、日々の生活を愉しむためのひとつの道具に過ぎない、そんなメッセージを発する陽気なイタリア娘が、アルファ147なのだ。
(文=河村康彦/写真=位田明生/2001年9月)
拡大
|
拡大
|
拡大
|
拡大
|
拡大
|
拡大
|

河村 康彦
フリーランサー。大学で機械工学を学び、自動車関連出版社に新卒で入社。老舗の自動車専門誌編集部に在籍するも約3年でフリーランスへと転身し、気がつけばそろそろ40年というキャリアを迎える。日々アップデートされる自動車技術に関して深い造詣と興味を持つ。現在の愛車は2013年式「ポルシェ・ケイマンS」と2008年式「スマート・フォーツー」。2001年から16年以上もの間、ドイツでフォルクスワーゲン・ルポGTIを所有し、欧州での取材の足として10万km以上のマイレージを刻んだ。
-
レクサスES350h(FF/CVT)/ES350e(FWD)/ES500e(4WD)【海外試乗記】 2026.6.3 「レクサスES」がフルモデルチェンジ。シャシーがFFベースというのは歴代モデルと同じだが、新型ではボディーサイズがググッと拡大。「LS」の6輪ミニバンコンセプトが登場したこともあり、今後のレクサスセダンの総代を担うことになる。北米で乗った印象をリポートする。
-
BSAゴールドスター650(5MT)【レビュー】 2026.6.2 かつて一世を風靡(ふうび)した英国の名門、BSAが復活! 新生第1号モデルである「ゴールドスター650」は、クラシックで優雅なお散歩バイク……と思いきや、ツインカムの大排気量シングルで、ライディングも前のめりに楽しめるマシンに仕上がっていた。
-
ホンダCR-V e:HEV RSブラックエディション(4WD)【試乗記】 2026.6.1 「ホンダCR-V」がフルモデルチェンジ。新型は適切なボディーサイズと高品質な内外装を持ち、乗れば最新のホンダ車らしい気持ちよさが味わえる。ただし、その月販目標は400台。ちょっと弱気ではあるものの、周辺事情にも考えを巡らせると極めて妥当な数字にも思えてくる。
-
トヨタRAV4 GRスポーツ(4WD/CVT)【試乗記】 2026.5.30 新型「トヨタRAV4」のプラグインハイブリッド車ではEV走行換算距離が約150kmにまで到達。もちろん電池容量の拡大によるところも大きいが、何よりも最新のハイブリッドシステムによる効率向上が効いている。「GRスポーツ」をドライブした印象をリポートする。
-
キャデラック・リリックV(4WD)【試乗記】 2026.5.29 キャデラック初の電気自動車(BEV)「リリック」に、最高出力646PSのハイパフォーマンスモデル「リリックV」が登場。“ブランド史上最速”をうたう豪速SUVだが、実際に乗ってみると、高い動力性能がもたらすゆとりや心地よさにも魅力を感じる一台となっていた。
-
NEW
ホンダ・インサイト(FWD)【試乗記】
2026.6.5試乗記「ホンダ・インサイト」が電気自動車(BEV)として復活! ……というよりは中国工場製BEVにその名が与えられて日本にやってきた。さまざまな事情により、国内で販売されるのはわずか3000台のみ。日本人は“限定”に弱いとされるが、果たしてこの場合はどうか。 -
NEW
KTM 990 RC R(6MT)
2026.6.5JAIA輸入二輪車試乗会2026今年も開催された「JAIA輸入二輪車試乗会」より、魅惑のバイクを一挙紹介! 先陣を切るのは、この4月に発売されたばかりの「KTM 990 RC R」だ。オーストリアの雄が放つ最新鋭のスーパースポーツは、意外や“速さ”以外にも見どころの多い一台だった。 -
NEW
空冷の「スポーツスター」が復活!? ハーレーダビッドソンの定番商品はどんなバイクとなるのか
2026.6.5デイリーコラムハーレーダビッドソンが、一度は廃止した空冷の「スポーツスター」の復活を発表! 伝統の一台はなぜ絶版の憂き目にあい、そしてよみがえることとなったのか? ファンに愛される定番車種を刷新する難しさと、新型に課せられた使命、そして課題を考察した。 -
第290回:商用バンで砂漠を行く親子が向かうのは天国か地獄か 『シラート』
2026.6.4読んでますカー、観てますカー失踪した娘を探して親子はモロッコの砂漠へ。砂漠で開催されていたレイブパーティーが最高潮に達した頃、軍隊がやってきて中止させられる。親子が乗るFFの商用バンは次のパーティー会場にたどり着けるのか……。 -
ホンダCR-V e:HEV RSブラックエディション(前編)
2026.6.4あの多田哲哉の自動車放談ひさびさに日本市場に戻ってきた、ホンダを代表するSUV「CR-V」。最新世代の仕上がりを、トヨタの車両開発者だった多田哲哉さんはどう評価する? まずは、ワインディングロードを走らせた第一印象から。 -
第964回:フィアットグッズのコレクターから学ぶ人生訓
2026.6.4マッキナ あらモーダ!イタリア在住の大矢アキオが、トリノで著名なフィアットグッズのコレクターを取材。若き日の苦労を経て大成した人物が語る、人生で大切なものとは? フィアットやイタリアの歴史を物語る、貴重なコレクションの数々とともに紹介する。






























