第221回:「社会のメーワク号」ついに死す!
2021.12.06 カーマニア人間国宝への道3度の連続エンストが引き金
当コラムの読者さまなら覚えてくださっているだろうか? カーマニア仲間Kの愛車「社会のメーワク号」、あるいは「激安3号」こと、28万円で購入した「アルファ147 1.6ツインスパーク」(5段MT)のことを。
これまでさまざまな場所で不動となり、社会のメーワクとなってきたが、ついに悲しいお知らせが入った。以下、カーマニア仲間Kのメールより。
「11月の晴れた日、アルファ147を廃車にしました。
1カ月くらい前から、廃車にするしかないかもと悟ってはいましたが、なかなか別れがたく、12月の車検まで、だましだまし乗ってました。
でも、家族を乗せて出かけた際、前触れなく信号待ちの先頭でエンジンストール。すぐ再始動できましたが、次の信号待ちでまたエンジンストール。同じことを3回繰り返したので、動くうちにと自宅に引き返しました。
イタ車に慣れて寛容になってきた家族にも、もう怖いからイヤ、乗りたくないと言われ、観念した次第です」
なんと! あれだけ故障しては直し、故障しては直ししてきたのに、こんなにアッサリ廃車になってしまうなんて~!
しかし、詳しく事情を聴くと、それもやむなしと思わざるを得なかった。
4年前と同じ廃車専門店に向かう
K:最大の問題は、テールランプの不点灯でした。電球は新品に交換済みです。ブレーキランプはつくけれど、兼用のテールランプがつかないから、夜乗れないんです。加えてヘッドライトの不規則な点灯・不点灯、その他各種警告灯の点灯・不点灯はアタリマエの日常茶飯事でした。
メカニックの話では、原因はハーネスかECUにあるらしく、まずはハーネスを引き直し、ダメならECU交換しかないということになりましたが、ヘソクリでなんとか維持している身には、負担が重すぎました。
ハーネスの劣化は恐ろしい。大磯の吉田 茂元首相邸が全焼したのも、古い配線からの漏電が原因だったというが、どこがダメになっているのか、その点検があまりにもタイヘン。全とっかえもすごくタイヘン。ECU交換のほうが手間はラクだが、値段が高い。
K:かつての「激安1号」こと「アルファ147 2.0ツインスパーク」の反省を生かして、タイベル、ウオーターポンプなどの定番トラブルは予防整備で交換し、クラッチやシフトまわりも交換。およそイタ車が弱いとされる部分については手を入れていたのですが……。カラダは丈夫なまま、脳と神経がやられた感じです。
で、いよいよ廃車となったわけですが、せっかくだから激安1号と同じ廃車専門店に引き取ってもらうことにしました。
お店に行くと、激安1号の時と同じ女性が受付にいて、「前も同じクルマを持ち込まれましたよね? アルファ・ロメオお好きなんですね」と言われたので、「どうしてもまた乗りたくて、同じ色のクルマを買ってしまいました。でも、またお別れすることになりました」と、しんみりしてしまいました。
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「俺のナロー」を貸し出す
4年前に147を廃車にした男が、4年後再び、パッと見まるで同じ147で現れる。まるで連続殺人のようで涙が出る。
K:置き場を確保できれば、マリオさん(高野マリオ氏)のように、車検を切って資金ができるまで冬眠させたいと思いましたが、置き場は青森の実家ぐらいしか思い当たらず、実家に持ち帰ったら、環境的に復活させるのは限りなく難しいと思ったので、それも断念しました。
しかし! いつかまた147に乗ろうと思ってます。2リッター(右ハンドル)と1.6リッター(左ハンドル)の両ツインスパークエンジンを堪能したので、次は「GTA」! が王道なんでしょうが、お高くなってるので、セレスピードにしたいと思います(笑)。もちろん3ドアの前期型で!
なぜそこまで147前期型3ドアにこだわるのか。これはもう猟奇愛だ。たまたま出会った女に一生を支配される。思えば濃い人生である。
かわいそうなので、Kには、「俺のナロー」こと「ルノー・トゥインゴ」を貸し出すことにした。こっちは「エリート特急」こと先代の「BMW 320d」と、「セクシージャンボ」こと1990年式の軽トラ「ダイハツ・ハイゼット トラック ジャンボ」があるので、足は余っている。
K:今、俺のナローこと清水家のトゥインゴに癒やされております。飛ばして楽しいクルマではないですが、リアから聞こえてくる3気筒エンジンのアイドリング中の、シュンシュンシュンシュンという音がすごくいい。『天空の城ラピュタ』に出てくる飛行艇のような感じです。トゥインゴは、アイドリング時のエンジン音に萌えます!
ええっ、あれに萌えるの!? あんなラフな振動に!? あれが天空の城ラピュタの飛行艇!?
アルファに乗りすぎて、脳みそがお花畑になったのだろうか。あるいは故障しないで走るクルマというだけで、楽園のように感じるのか。カーマニア仲間Kに幸あらんことを。
(文と写真=清水草一/編集=櫻井健一)

清水 草一
お笑いフェラーリ文学である『そのフェラーリください!』(三推社/講談社)、『フェラーリを買ふということ』(ネコ・パブリッシング)などにとどまらず、日本でただ一人の高速道路ジャーナリストとして『首都高はなぜ渋滞するのか!?』(三推社/講談社)、『高速道路の謎』(扶桑社新書)といった著書も持つ。慶大卒後、編集者を経てフリーライター。最大の趣味は自動車の購入で、現在まで通算47台、うち11台がフェラーリ。本人いわく「『タモリ倶楽部』に首都高研究家として呼ばれたのが人生の金字塔」とのこと。
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