ポルシェ911ターボ(4WD/6MT)/911ターボ(4WD/5AT)【海外試乗記(前編)】
漂う“王者の風格”(前編) 2006.06.07 試乗記 ポルシェ911ターボ(4WD/6MT)/911ターボ(4WD/5AT) 「GT」「RS」は特別 or 特殊。ポルシェ・カタログモデルの最高峰は「911ターボ」である……それを体現したと謳われる新型911ターボは、同時期に発表され、数値上のスペックも似た「GT3」となにが違うのか? 拡大 |
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ライバルは“イタリアの跳ね馬”
ポルシェの国際試乗会プログラムは、朝イチのカンファレンスからスタートするのが通例だ。
まずは本社の広報担当者が、これからテストを行うモデルが生まれた背景や、このところ右肩上がりという状況の続く業績のステートメントを発表。それに続いて開発担当者からの車両概要の説明が行われる。そうした1時間ほどの“座学”の後にテストカーのキーが渡されるのがパターンになっている。
はるばる、スペインはアンダルシア地方までやってきての新型「911ターボ」の国際試乗会も、そんなカンファレンスによって幕を開けた。が、いつもとちょっと違ったのはその内容である。普段であれば他社など引き合いに出すことのないポルシェが、明らかに“とあるスポーツカーメーカー”を示すコメントを、スピーチの内容に含んでいたのだ。
「イタリアの競合社」、そして「イタリア製のエキゾチック・スーパースポーツカー」という表現で指し示されたブランドだった。ポルシェと販売台数や主たる顧客が競合するイタリアの会社は、もちろん1社しか考えられない。ポルシェは新しい911ターボを、フェラーリ(……言ってしまった)と直接のライバル関係を持つクルマだと、みずから“認定”したのである。
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似て非なる速さのGT3とターボ
折しも、ちょうど同時期にイタリアで国際試乗会が開催された「フェラーリ599」の0-100km/h加速タイムは、911ターボとまったく同じ3.7秒と発表された。
しかし、ポルシェには“含み”があるらしい。「997型ターボも、(カレラ・シリーズには3.8リッターという排気量もあるのに)3.6リッターのままでリリースしたということは、ウチにはまだ“これから先”の可能性があると考えられることでもあるんだよ!」と、本社広報のS氏がこっそり教えてくれた。「ニュルブルクリンク北コースでのラップタイムは、先代モデルより11秒速い7分49秒。『ほとんどのイタリア製スポーツカーを追い抜くこともできる』」、カンファレンスでそこまでアピールした新型911ターボは、それゆえにポルシェ・ラインナップにおける正真正銘のフラッグシップであり、イメージリーダーという位置づけなのだ。
では、ポルシェファミリー同士でバッティングすることはないのだろうか。最高速度はまったく同じ、加速タイムもほぼ同等である「GT3」と“速さの比較”をした場合、「GT3とターボの明確な棲み分けは?」という疑問がわく。
しかし、完全2シーターで6MT仕様しかない“サーキット生まれ”のGT3は、ロードカーとして見れば生息地が限られる。高いポテンシャルを持つことはもちろん、狙いどころを秘めつつ、GT3とキャラクターは全然異なるのが911ターボ――そんな棲み分けに自信があるからこそ、GT3と911ターボは、あえて同じジュネーブショーを発表の舞台に選んだに違いない。(後編に続く)
(文=河村康彦/写真=ポルシェ・ジャパン/2006年6月)
・ポルシェ911ターボ(4WD/6MT)/911ターボ(4WD/5AT)(後編)
http://www.webcg.net/WEBCG/impressions/000018230.html

河村 康彦
フリーランサー。大学で機械工学を学び、自動車関連出版社に新卒で入社。老舗の自動車専門誌編集部に在籍するも約3年でフリーランスへと転身し、気がつけばそろそろ40年というキャリアを迎える。日々アップデートされる自動車技術に関して深い造詣と興味を持つ。現在の愛車は2013年式「ポルシェ・ケイマンS」と2008年式「スマート・フォーツー」。2001年から16年以上もの間、ドイツでフォルクスワーゲン・ルポGTIを所有し、欧州での取材の足として10万km以上のマイレージを刻んだ。
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