レクサスGS450h“version L”(FR/CVT)【ブリーフテスト(後編)】
レクサスGS450h“version L”(FR/CVT)(後編) 2006.05.20 試乗記 ……772万6250円 総合評価……★★★ 直噴3.5リッターV6+「2段変速式リダクション機構付きTHSII」を搭載した「GS450h」。圧倒的な加速感覚はたしかだが、子細に観察してみると……。【ドライブフィール】運転すると?
(エンジン+トランスミッション)……★★★★★
このクルマの評価は、ここに尽きる。特にフルスロットルを与えた時の感覚は、これまでのどんなクルマとも似ていない。大排気量車とも高回転でパワーが急上昇するようなパワフルなスポーツカーエンジンとも違った、どこからともなくトルクが盛り上がってきて、いつまでもクルマを押し出し続けるような圧倒的な加速感覚こそ、最大の価値である。あえておかしな表現を使うなら「すごい高圧で効かせた低圧ターボ」のようなもの。つまり低速域でもわーっときた力が、そのまま息をつかないままどこまでも引っ張っていくのだ。しかも洗練された電子制御のトランスミッションは、当然ながら一切の息の途切れもショックも感じさせない。
だが、いじわるく観察すると、いくつか気になることもある。停止時は当然アイドリングストップになるが、車外に出ると結構ボンネットから大きな音がする。エンジンは停まっているから無論モーター関係の音だが、無音だと期待すると裏切られる。
停止からちょっとアクセルペダルを踏み込めばエンジンはスタートする。その瞬間はほとんど気がつかないものの、V6エンジン自体は、低回転でそれほどスムーズではないことが知れる。でも結局は、リファインされた駆動システムが、これらの弱点を見事にカバーするのだが。
燃費は多くの方々の興味深いトコロだろうが、賛否がわかれるであろう結果となった。全体で700km以上乗ったが、都内の使用が多かった前半が9.7km/リッター。高速道路が8割の後半でも10.7km/リッター、全体を通して10.2km/リッターだった。動力性能を考えるなら上出来という見方もできるが、個人的にはかなり不満だ。いかに力があるクルマとはいえ、それを見せつけるような走り方はすべきではない。実際の試乗も、基本的には日本の路上の流れに合わせた速度で終始した。それを思うなら、やはり15km/リッターぐらいは走ってほしいと思う。これは安くないクルマだし、顧客は動力性能とともに、当然環境意識も含めて購入するはずだからだ。
(乗り心地+ハンドリング)……★★
乗りごこちはちょっと期待はずれだった。優れたバネ&ダンパーさえ持っていれば、重さは快適さにつながるはずなのに、なんとなく全体に乗りごこちは落ち着きがない。またパワーユニットが静かなこともあるが、そのぶん、ロードノイズが意外と気になるし、ハーシュネスも完全には遮断されていない。
同じように増えた車重はハンドリングにもよい影響を与えていない。ステアリングは妙に不自然な感触だし、コーナー途中からロールが急に深くなるように感じる。もっとも気になったのはブレーキペダルの応答で、最初は妙に軽く、途中から急に食いつくような制動感ゆえに、パセンジャーに気を遣わなければならなかった。
パワーユニットは本当に素晴らしく、やはりハイブリッドの技術においては、トヨタは完全に一人勝ちをしていることが改めて理解できた。でもプリウスのように最初からクルマ全体をこのシステムに合わせて開発されたクルマとは違って、既存のプラットフォームにまったく新しい動力システムを組み込むことの難しさもまた、このクルマは語っていた。
でもFRの本格的ハイブリッドとしては世界初であり、世のなか、こんなクルマはほかにはない(LSのハイブリッドが出るまでは)。だから★は4つ与えたかったが、クルマ全体のバランスを考えるなら、最終的に3つという形で落ち着かせるしかないと思う。
(写真=荒川正幸)
【テストデータ】
報告者:大川悠
テスト日:2006年5月9-10日
テスト車の形態:広報車
テスト車の年式:2006年型
テスト車の走行距離:5180km
タイヤ:(前)245/40R18 93Y(後)同じ(いずれも、ヨコハマアドバンA10A)
オプション装備:“マークレビンソン”プレミアムサラウンドサウンドシステム(34万1250円)/アクティブスタビライザーサスペンションシステム非装着(−29万4000円)/245/40R18 93Yタイヤ&18×8Jハイブリッド専用アルミホイール(ランフラットタイヤ非装着/−2万1000円)
形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(2):高速道路(7):山岳路(1)
テスト距離:783.4km
使用燃料:76.5リッター
参考燃費:10.2km/リッター
・レクサスGS450h“version L”(FR/CVT)(前編)
http://www.webcg.net/WEBCG/impressions/000018164.html
・レクサスGS450h“version L”(FR/CVT)(中編)
http://www.webcg.net/WEBCG/impressions/000018165.html

大川 悠
1944年生まれ。自動車専門誌『CAR GRAPHIC』編集部に在籍後、自動車専門誌『NAVI』を編集長として創刊。『webCG』の立ち上げにも関わった。現在は隠居生活の傍ら、クルマや建築、都市、デザインなどの雑文書きを楽しんでいる。
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