アウディS6(5AT)【試乗記】
「決して粗野でなく」 2000.09.08 試乗記 アウディS6(5AT) ……915.0万円 アウディA6のサイドメンバーを80mm延長、A8用4.2リッターV8を押し込んだスーパーサルーンS6に、CG編集部 塚原久が乗った。谷田部でのテストを経て、裏磐梯の山道へ。
![]() |
ツインカム5バルブを利して
これまで日本には、2.4、2.8リッター、2種類のV6モデルしか導入されていなかったアウディA6。そこに、4.2リッター自然吸気V8を搭載したモデルが登場した。A6をベースとしたスーパーサルーンS6である。
パワーとトルクは、340ps/7000rpm、42.8kgm/3400rpm。アウディ得意のDOHC5バルブヘッドを利して、より排気量の大きなAMG E55やBMW M5に匹敵するスペックを実現している。価格は915万円だ。
![]() |
2500rpmを超えるあたりから
谷田部は日本自動車研究所で、アウディS6をテストした。単純な加速性能は期待したほどではなかった。最高速は楽々と250km/hを超えたものの、0 −400m=15.0秒という記録は、4リッタークラスのセダンにとって常識的なものでしかない。
計測時の高温多湿なコンディションが不利だったことは事実としても、ボトムエンドから暴力的なパンチを感じさせるE55などとはひとクラス違うことは認めざるを得ないだろう。
もっとも、適度にジェントルなパワーこそ、S6というクルマの真骨頂とも言える。発進時こそ「並」でしかないV8ユニットの印象も、タコメーターの針が2500rpmを超えるあたりから劇的に爽快かつシャープに変化し、レブリミットの7000rpmまでまったくストレスなく吹け上がる。車重1.8トンの重量級サルーンとは思えないほどの軽快感がある。5段ティプトロニックのATを活用して中高回転域を積極的にキープすると、決して粗野でなく、実に心地よい加減速を味わえるのだ。
バランスのよいスポーツセダン
フルタイム4WDであるクワトロシステムを駆動系に採用した足まわりは、どんな高速域でも文句なしに高いスタビリティを実現しているのはもちろん、山道でのハンドリング性能も優秀だ。特に限界に近いコーナリングスピードでスロットルを戻したときの姿勢変化は、S6と同じ方式のクワトロシステムを備えるS4ほど安定志向が強すぎず、一方で同ハルデックスデフを用いたTTほどピーキーでもない。アウディS6は、スポーツセダンとして最適なバランスを実現している。
(文=CG編集部 塚原久/写真=河野敦樹)

高平 高輝
-
ランボルギーニ・ウルスSE(4WD/8AT)【試乗記】 2025.9.3 ランボルギーニのスーパーSUV「ウルス」が「ウルスSE」へと進化。お化粧直しされたボディーの内部には、新設計のプラグインハイブリッドパワートレインが積まれているのだ。システム最高出力800PSの一端を味わってみた。
-
ダイハツ・ムーヴX(FF/CVT)【試乗記】 2025.9.2 ダイハツ伝統の軽ハイトワゴン「ムーヴ」が、およそ10年ぶりにフルモデルチェンジ。スライドドアの採用が話題となっている新型だが、魅力はそれだけではなかった。約2年の空白期間を経て、全く新しいコンセプトのもとに登場した7代目の仕上がりを報告する。
-
BMW M5ツーリング(4WD/8AT)【試乗記】 2025.9.1 プラグインハイブリッド車に生まれ変わってスーパーカーもかくやのパワーを手にした新型「BMW M5」には、ステーションワゴン版の「M5ツーリング」もラインナップされている。やはりアウトバーンを擁する国はひと味違う。日本の公道で能力の一端を味わってみた。
-
ホンダ・シビック タイプRレーシングブラックパッケージ(FF/6MT)【試乗記】 2025.8.30 いまだ根強い人気を誇る「ホンダ・シビック タイプR」に追加された、「レーシングブラックパッケージ」。待望の黒内装の登場に、かつてタイプRを買いかけたという筆者は何を思うのか? ホンダが誇る、今や希少な“ピュアスポーツ”への複雑な思いを吐露する。
-
BMW 120d Mスポーツ(FF/7AT)【試乗記】 2025.8.29 「BMW 1シリーズ」のラインナップに追加設定された48Vマイルドハイブリッドシステム搭載の「120d Mスポーツ」に試乗。電動化技術をプラスしたディーゼルエンジンと最新のBMWデザインによって、1シリーズはいかなる進化を遂げたのか。
-
NEW
谷口信輝の新車試乗――BMW X3 M50 xDrive編
2025.9.5webCG Movies世界的な人気車種となっている、BMWのSUV「X3」。その最新型を、レーシングドライバー谷口信輝はどう評価するのか? ワインディングロードを走らせた印象を語ってもらった。 -
NEW
アマゾンが自動車の開発をサポート? 深まるクルマとAIの関係性
2025.9.5デイリーコラムあのアマゾンがAI技術で自動車の開発やサービス提供をサポート? 急速なAIの進化は自動車開発の現場にどのような変化をもたらし、私たちの移動体験をどう変えていくのか? 日本の自動車メーカーの活用例も交えながら、クルマとAIの未来を考察する。 -
NEW
新型「ホンダ・プレリュード」発表イベントの会場から
2025.9.4画像・写真本田技研工業は2025年9月4日、新型「プレリュード」を同年9月5日に発売すると発表した。今回のモデルは6代目にあたり、実に24年ぶりの復活となる。東京・渋谷で行われた発表イベントの様子と車両を写真で紹介する。 -
新型「ホンダ・プレリュード」の登場で思い出す歴代モデルが駆け抜けた姿と時代
2025.9.4デイリーコラム24年ぶりにホンダの2ドアクーペ「プレリュード」が復活。ベテランカーマニアには懐かしく、Z世代には新鮮なその名前は、元祖デートカーの代名詞でもあった。昭和と平成の自動車史に大いなる足跡を残したプレリュードの歴史を振り返る。 -
ホンダ・プレリュード プロトタイプ(FF)【試乗記】
2025.9.4試乗記24年の時を経てついに登場した新型「ホンダ・プレリュード」。「シビック タイプR」のシャシーをショートホイールベース化し、そこに自慢の2リッターハイブリッドシステム「e:HEV」を組み合わせた2ドアクーペの走りを、クローズドコースから報告する。 -
第926回:フィアット初の電動三輪多目的車 その客を大切にせよ
2025.9.4マッキナ あらモーダ!ステランティスが新しい電動三輪車「フィアット・トリス」を発表。イタリアでデザインされ、モロッコで生産される新しいモビリティーが狙う、マーケットと顧客とは? イタリア在住の大矢アキオが、地中海の向こう側にある成長市場の重要性を語る。