メルセデス・ベンツA200ターボアバンギャルド(FF/CVT)【試乗記】
もっとも現代的なセンスを身につけたメルセデス 2006.01.25 試乗記 メルセデス・ベンツA200ターボアバンギャルド(FF/CVT) ……368万5500円 小さいメルセデス「Aクラス」に、2リッターターボエンジンを搭載する「ターボアバンギャルド」が追加された。193psのハイパワーモデルを試す。見た目は普通だが……
メルセデス・ベンツAクラスは、1998年10月の登場以来、累計で5万台を送り出し、メルセデスもようやくFFシャシーに自信をもってきたようだ。初期には操縦安定性に問題があり物議をかもしたものの、現行の2世代目に入ってからは安定した走行性のみならず、全長が4メートルを切るコンパクトな外寸ながらCクラスに勝るユーティリティを備え、独自の市場を形成しつつある。そこで今度は、よりパワフルでスポーティなモデルを投入し、FFシャシーの潜在能力をアピールする試みがなされた。
新登場の「A200ターボアバンギャルド」は、その名のとおりターボ過給により193ps/4850rpmと28.6kgm/1800-4850rpmを発生する。車両重量=1370kgのうち駆動輪(前輪)荷重は820kgあり、そこに200ps近いパワーを供給するわけだから、生半可な対処では追いつかない。
発表されているスペック上の明確な違いはトレッドとタイヤ/ホイールで、タイヤを195/55R16から215/45R17にサイズアップし、リム幅も6Jから7Jに拡幅。さらにオフセットを46mmから54mmへと大きくして内側に入れられ、トレッドはA200に比べ前後とも16mm詰まり、それぞれ1535/1530mmと狭くされ、万全のトルクステア対策がとられている。ボディはオーバーフェンダーなど野暮な拡幅をしなくとも、見た目は普通のAクラスのままで、「VWゴルフGTI」や「BMW325i」を追いかけ回そうというわけだ。
スロットルペダルを意識して踏みつけなくともスッと身軽に発進するし、ステアリングホイールから手を放せばスーッと自然に戻り復元性も良好。FRメルセデスの旧式な欠点をことごとく払拭して、Aクラスは今もっとも現代的なセンスを身につけたメルセデスといえる。事情があってメルセデスしか乗らない人でも、Aクラスを加えることにより、これからは雪が降っても安心して外出できるだろう。
剛性も高く、作動はスムーズ
3850mmの短い全長を生かして機敏に走り回れる特性に、今度はハイパワーが加わりより敏捷さを増した。パワフルなFF車にはトルクステアがつきものではあるが、直進性にも旋回性にも影響がでて修正舵が必要となる例が多いのはFRとて同じ。しかしこのA200ターボはそこまで影響されないから、トルクステアなど忘れてしまっていい。
またATであってもシフトアップするたび、走行安定性に影響を及ぼすタイプもあるが、このAクラスのATは、無段階連続可変式のCVTゆえシフトショックは無い。マニュアルモードで、シフトを任意に選ぶ際でも7段階あるのでステップアップ比は小さくショックなど問題にならない。
ターボ化されたことによるトルク増加は、絶対値の嵩上げもさることながら、1800から4850rpmに至る幅広いバンドで28.6kgmが一定に維持され、ピークらしきものを持たないから、エンジン回転に依存して急変する要素がなく、あくまでもスムーズな走行が可能だ。ターボを意識させられるのは、ときおり過給圧がリリーフされてバルブを通過するときのプシューッという音だけだ。端的に言って駆動系は剛性も高く、作動はスムーズで洗練されている。騒音などは価格相応というか、回せばそれなりに高まるものの活気を感じこそすれ喧しいと感じるほどではない。
ターボ化されてもアシを固めない常識は守られ、接地性を上げる方向のチューンは乗り心地さえも落ちつかせて快適化の方向にある。シートにランバーサポート機構が備わるという、FRメルセデスよりも高級な設定にして、346.5万円の低価格(?)。メルセデスにしては良心的な措置である。
(文=笹目二朗/写真=峰昌宏/2006年1月)

笹目 二朗
-
トヨタGRヤリスRZ“ハイパフォーマンス”+エアロパフォーマンスパッケージ【試乗記】 2026.3.3 「GRヤリス」の新仕様として設定された「エアロパフォーマンスパッケージ」装着車に試乗。レースフィールドでの知見を交え開発したというエアロパーツの空力・冷却性能は、リアルワールドでも体感可能なのか。高速道路を経由し、郊外のワインディングロードを目指した。
-
ドゥカティ・モンスター(6MT)【海外試乗記】 2026.3.2 ドゥカティのネイキッドスポーツ「モンスター」が5代目にモデルチェンジ。無駄をそぎ、必要なものを突き詰めてきた歴代モデルの哲学は、この新型にも受け継がれているのか? 「パニガーレV2」ゆずりのエンジンで175kgの車体を走らせる、ピュアな一台の魅力に触れた。
-
フォルクスワーゲンID.4プロ(RWD)【試乗記】 2026.2.28 フォルクスワーゲンのミッドサイズ電気自動車(BEV)「ID.4」の一部仕様変更モデルが上陸。初期導入モデルのオーナーでもあるリポーターは、その改良メニューをマイナーチェンジに匹敵するほどの内容と評価する。果たしてアップデートされた走りやいかに。
-
スズキ・キャリイKX(4WD/5MT)【試乗記】 2026.2.27 今日も日本の津々浦々で活躍する軽トラック「スズキ・キャリイ」。私たちにとって、最も身近な“働くクルマ”は、実際にはどれほどの実力を秘めているのか? タフが身上の5段MT+4WD仕様を借り出し、そのパフォーマンスを解き放ってみた。
-
ホンダCR-V e:HEV RSブラックエディション(4WD)【試乗記】 2026.2.26 日本で久々の復活を遂げた「ホンダCR-V」の新型に、北海道のテストコースで試乗。雪上・氷上での“ひとクラス上”の振る舞いに感嘆しつつも、筆者がドン! と太鼓判を押せなかった理由とは? デビューから30年をむかえたCR-Vの、実力と課題を報告する。
-
NEW
BYDシーライオン7 AWD(4WD)
2026.3.5JAIA輸入車試乗会2026堂々たるスタイルにライバルの上をいくパワーと一充電走行距離、そしてざっくり2割はお得なプライスを武器とする電気自動車「BYDシーライオン7」。日本市場への上陸から1年がたち、少しずつ存在感が増してきた電動クーペSUVの走りやいかに。 -
NEW
ついにハードウエアの更新も実現 進化した「スバルアップグレードサービス」の特徴を探る
2026.3.5デイリーコラムスバルが車両の機能や性能の向上を目的とした「スバルアップグレードサービス」の第3弾を開始する。初めてハードウエアの更新も組み込まれた最新サービスの特徴や内容を、スバル車に乗る玉川ニコがオーナー目線で解説する。 -
NEW
第951回:日本が誇る名車を再解釈 「ホンダNSXトリビュートby Italdesign」の開発担当者に聞く
2026.3.5マッキナ あらモーダ!2026年の「東京オートサロン」で来場者の目をくぎ付けにした「ホンダNSXトリビュートby Italdesign」。イタルデザインの手になる「ホンダNSX」の“再解釈”モデルは、いかにして誕生したのか? イタリア在住の大矢アキオが、開発関係者の熱い思いを聞いた。 -
メルセデス・マイバッハSL680モノグラムシリーズ(4WD/9AT)【試乗記】
2026.3.4試乗記メルセデス・マイバッハから「SL680モノグラムシリーズ」が登場。ただでさえ目立つワイド&ローなボディーに、マイバッハならではのあしらいをたっぷりと加えたオープントップモデルだ。身も心もとろける「マイバッハ」モードの乗り味をリポートする。 -
始まりはジウジアーロデザイン、終着点は広島ベンツ? 二転三転した日本版「ルーチェ」の道のり
2026.3.4デイリーコラムフェラーリ初の電気自動車が「ルーチェ」と名乗ることが発表された。それはそれで楽しみな新型車だが、日本のファンにとってルーチェといえばマツダに決まっている。デザインが二転三転した孤高のフラッグシップモデルのストーリーをお届けする。 -
第863回:3モーター式4WDの実力やいかに!? 「ランボルギーニ・テメラリオ」で雪道を目指す
2026.3.3エディターから一言電動化に向けて大きく舵を切ったランボルギーニは、「ウラカン」の後継たる「テメラリオ」をプラグインハイブリッド車としてリリースした。前に2基、リアに1基のモーターを積む4WDシステムの実力を試すべく、北の大地へと向かったのだが……。
































