フォード・エクスプローラー エディバウアー(6AT)/XLT(5AT)【試乗速報(前編)】
フルチェンジ級の変わりよう(前編) 2005.11.24 試乗記 フォード・エクスプローラー エディバウアー(6AT)/XLT(5AT) ……520万円/425万円 2005年11月24日、フォードのSUV「エクスプローラー」がマイナーチェンジされた。内外装の変更に加え、快適性が向上され、力強い存在感を得た新型に試乗した。実はマイナーチェンジだった
東京モーターショーで一足先に披露された2006年モデルのフォード・エクスプローラーが、日本でも正式に発表された。フロントマスクが一新された新型エクスプローラーは、一見フルモデルチェンジのような変わりようだが、実のところはマイナーチェンジ。しかし、変更の内容は盛りだくさんで、超ビッグマイナーチェンジというのが適当な表現かもしれない。
目立った変更としてはまず、存在感を増したフロントマスクが挙げられる。クロームメッキ処理されたフロントグリルが力強さを、大小の丸を連ねたヘッドライトがモダンさをそれぞれアピール。ボンネットも中央の盛り上がりを強調して、押し出しを強めている。全長はマイナーチェンジ前に比べて105mm延びているが、そのほとんどはフロントセクションの延長に費やされている。ちなみに、アウターパネルのうちドアパネルやリアフェンダー部分以外はデザインを一新。開発陣の気合いの入れようが伝わってくる。
室内の変更ぶりにも目を見張るものがある。たとえばインストゥルメントパネル。これまでも十分乗用車的なデザインだったが、新型ではすっかり垢抜けた、モダンな雰囲気をつくり上げていた。シンプルだが上品なメーターパネルといい、端正なセンターコンソールといい、SUVにしておくのは惜しいほど。2タイプ用意されるグレードのうち、V8を積む上級モデルのエディーバウアーには本革シートが奢られ、高級感も十分である。
そのほか細かいことだが、サードシートが分割可倒式になり、旧型ではシートバックを倒した際に約10度傾いていたフロアが、新型では2度とほぼ水平になっている。この改善は「『カーゴエリアからゴルフボールやオレンジジュースの缶が転げ落ちた』というユーザーの声を反映した」もので、地味だが使う側にはうれしい変更といえる。
パワー大幅アップのV8エンジン
一方、メカニズムの面でも話題は多い。なかでもマイナーチェンジにあわせて投入された新しいV8エンジンはパワーが大幅にアップした。ボア90.2×ストローク90.0mm、排気量4600ccという数値は従来と変わらないが、シリンダーヘッドを一新し、吸気2バルブ、排気1バルブの3バルブSOHCは、吸排気ともに可変バルブタイミングシステムを採用。さらにデュアル吸気システムなどによって、最高出力はなんと54PSアップの296PS/5750rpmを達成、最大トルクも2.5kgm増えて41.5kgm/4000rpmを実現する。そして、V8エンジンには6段オートマチックが組み合わされることになった。4009ccのV6エンジンは最高出力、最大トルクともに従来どおりの213PS/5100rpm、35.1kgm/3700rpmで、オートマチックも旧型と同じ5段ATが搭載される。
シャシーについては、本格派SUVの証ともいえるラダーフレームにさらなる剛性アップが図られるとともに、グループ内のボルボがXC90で採用しているロール・スタビリティ・コントロールをこのエクスプローラーにも搭載している。これは、センサーが車両のロールを監視し、横転の危険性を察知すると、アドバンストラックと呼ばれる姿勢制御プログラムを作動させてロールを抑制するのだ。(後編につづく)
(文=生方聡/写真=峰昌宏/2005年11月)
・フォード・エクスプローラー エディバウアー(6AT)/XLT(5AT)【試乗速報(後編)】
http://www.webcg.net/WEBCG/impressions/000017496.html

生方 聡
モータージャーナリスト。1964年生まれ。大学卒業後、外資系IT企業に就職したが、クルマに携わる仕事に就く夢が諦めきれず、1992年から『CAR GRAPHIC』記者として、あたらしいキャリアをスタート。現在はフリーのライターとして試乗記やレースリポートなどを寄稿。愛車は「フォルクスワーゲンID.4」。
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