スズキ・スイフトスポーツ (5MT)【ブリーフテスト】
スズキ・スイフトスポーツ (5MT) 2005.11.23 試乗記 ……162万4770円 総合評価……★★★★ 新型スイフトのスポーティバージョン「スイフトスポーツ」。1トンちょっとのボディに1.6リッターエンジンを搭載、足腰を締めたホットハッチ、マニュアル版の印象は? |
派手さ控えめセンスよし
いま僕がカッコイイ日本車ナンバーワンとして挙げたいのがスイフトである。テレビ映りもいいが、実物はもっとイイ。シャープなラインで描かれたフォルムには存在感があり、垢抜けてるというか、日本車離れしているというか、とにかくその斬新さとパワーに圧倒されっぱなしなのだ。
そんな、もともとシャープでスポーティなフォルムの持ち主を、専用の前後バンパーやルーフエンドスポイラー、デュアルエギゾーストパイプなどによって、派手さ控えめにセンスよくまとめ上げたのがスイフトスポーツである。
それだけでも好感が持てるが、実際に運転した印象も悪くない。乗り心地など、もう少しセンスよくまとめたら? という部分もあるけれど、それを差し引いてもお釣りがくるくらい魅力的なクルマだと思う。ぜひマニュアルで、楽しんでほしい。
【概要】どんなクルマ?
(シリーズ概要)
2000年にデビューした初代「スズキ・スイフト」は、軽自動車の「Kei」をベースにボディを拡大し、1.3リッターエンジンを載せたものだった。ヨーロッパでは「イグニス」の名で販売され、JWRCでの活躍で人気を博していた。
新型スイフトは、プラットフォームから新しく開発し、最初から世界戦略車として構想されていた。日本のほかにハンガリー、インド、中国でほぼ同時に生産が始まり、今度は「スイフト」が世界共通の名称となる。日本では2004年11月に発売が開始され、エンジンバリエーションは1.3リッターと1.5リッターの二つで、4段ATが組み合わされる。1.3リッターモデルでは、マニュアルトランスミッションを選ぶこともできる。それぞれにFFと4WDの二つの駆動方式が設定されている。
スイフトスポーツは、1.6リッターエンジンを搭載する、その名の通りスポーティバージョン。先代は3ドアだったが、新型は5ドアのみ。4AT仕様が05年9月15日に登場。5MT仕様は10月28日に発売される。
(グレード概要)
スイフトスポーツは、エンジン排気量が100cc大きい1.6リッターエンジンを搭載。高強度の鍛造ピストンの採用や、アルミ製インテークマニホールドの採用など、専用チューンが施される。足まわりにも専用チューニングサスペンションや、前後15インチディスクブレーキなどを奢った。
外観は、専用前後バンパーやデュアルエグゾーストパイプ、16インチアルミホイールなどでスポーティスペシャルに演出。インテリアは黒を基調に、赤、銀色をアクセントに加えた派手なもので、フロントシートはサイドサポートのついたスポーツタイプとなる。
【車内&荷室空間】乗ってみると?
(インパネ+装備)……★★★★
ドアを開けて室内を覗きこむと、真っ先に視界に入るのが眩いばかりのレッド。シートの中央部やドアのアームレストに施されたレッドのファブリックが、ダークグレーを基調とする室内で際だっている。「ちょっと派手だなぁ」と思う私としては、グレー一色の地味カラーバージョンを用意してほしいところだ。
一方、ダッシュボードに無駄な派手さはない。すっきりとした水平基調のダッシュボードにはシンプルなデザインのエアアウトレットやオーディオ、空調パネルが並ぶ。メーターもクロームのリングが付いた大型のアナログメーターが見やすく配置され、その端正な佇まいに、「えっ、これがスズキ?」と感心してしまった。ドアのアルミ調パネルの安っぽさが惜しまれるものの、このクラスではトップレベルのデザインであるといっても過言ではないだろう。
(前席)……★★
スイフトスポーツには、大きく張り出したサイドサポート部分がブラック、背中やお尻を支える部分がレッドの専用スポーツシートが装着される。サイドサポートは硬めだが、メッシュ状の素材を用いたセンター部分は身体を面で受け止める柔軟さを持つ。しかし、やや柔らかすぎて腰のサポートが不足気味。走り出してしばらくしたら腰が痛くなってしまった。オプションで用意されるレカロシートに期待したい。
ステアリングホイールは本革巻きで、ステッチがレッドとなる専用のものだ。6時の位置だけレザーが途切れるため、“送りハンドル”の途中に感触が変わるのがいまひとつ馴染めなかった。
(後席)……★★★
フロント同様、ダークグレーとレッドのコントラストが鮮やかなリアシート。平板に見えるデザインだが、シートバックがソフトなおかげで座り心地は悪くない。全長3765mm、全幅1690mmのコンパクトなボディにもかかわらず、足元、膝のまわりとも大人でも余裕のスペースが確保されているのはうれしい。ヘッドルームも十分。ただし、フロントのシートバックが大きいため、前方の眺めは悪い。
(荷室)……★★★★
テールゲートの下の方にある窪みに隠れたスイッチを押してラゲッジルームを覗いてみると、期待した以上に大きなスペースが広がっている。“なんでも呑み込める”というほど広大ではないが、奥行きが55cm、狭いところでも幅が100cmあまり確保されているその広さは立派である。
もちろん、スポーツモデルといえどもハッチバックの使い勝手のよさは失われておらず、左右6:4の分割式リアシートを倒せば、荷室は倍以上の奥行きに延長可能。ちなみにリアシートは、シートバックを前に倒し、シートクッションごと前に跳ね上げるタンブル方式を採用している。
【ドライブフィール】運転すると?
(エンジン+トランスミッション)……★★★★
スイフトスポーツの心臓は、自然吸気の1.6リッター直列4気筒エンジン。最高出力125PS、最大トルク15.1kgmというスペックは、車両重量1060kgのこのクルマには過不足ないと予想していたが、案の定、期待は裏切られなかった。
クラッチペダルを踏みながらスターターのスイッチを捻ることで目覚めるM16Aユニット。ミートポイントがやや曖昧なクラッチをつなぐと、低回転でも十分なトルクを誇るおかげで発進はスムーズ。2000〜3000rpmを多用する街なかでも不足はない。しかし、本領を発揮するのは3000rpmを超えたあたりからで、トルクは明確に盛り上がりを見せ、ピークの4800rpmを目指してスムーズに駆け上がっていく。5000rpmを過ぎるとノイズやバイブレーションが目立ちはじめ、突き抜けるような気持ちよさはないものの、それでもレブリミットの6800rpmまで力強さが持続するのはうれしい。
試乗車は5段マニュアル仕様だったが、シフトレバーの動きに節度感があり、頻繁なシフトもまったく苦にならない。
このくらいのパワーなら持て余すことはないから、街なかではまさに水を得た魚のように軽快に走りまわることができるだろう。
(乗り心地+ハンドリング)……★★★
ワインディングロードならその軽快なハンドリングはさらに光り、コンパクトなボディと軽めのノーズのおかげで気持ちよくコーナーを駆け抜ける。コーナリング中はロールが抑えられ、安定感も十分だ。
一方、その軽快さの犠牲になったのが乗り心地。スムーズな路面ならいいが、ちょっと荒れてくると途端に乗り心地は悪化し、195/50R16の足元はドタバタとマナーの悪さを露呈してしまう。首都高の目地段差ではショックをビシビシ伝え、それでいて高速でのフラット感は乏しく、東京から箱根への移動が実に辛く思えた。
(写真=清水健太)
【テストデータ】
報告者:生方聡
テスト日:2005年9月11日
テスト車の形態:広報車
テスト車の年式:2005年型
テスト車の走行距離:2874km
タイヤ:(前)195/50R16 84V(後)同じ(いずれもダンロップ
オプション装備:AM/FMラジオ付CD/MDプレーヤー(6万270円)
形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(3):高速道路(4):山岳路(3)
テスト距離:513.4km
使用燃料:52.8リッター
参考燃費:9.7km/リッター

生方 聡
モータージャーナリスト。1964年生まれ。大学卒業後、外資系IT企業に就職したが、クルマに携わる仕事に就く夢が諦めきれず、1992年から『CAR GRAPHIC』記者として、あたらしいキャリアをスタート。現在はフリーのライターとして試乗記やレースリポートなどを寄稿。愛車は「フォルクスワーゲンID.4」。
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