ジャガーフルラインナップ試乗会(後編)
ジャガーフルラインナップ試乗会(後編) 2005.11.18 試乗記 「ジャガー」フルラインナップ試乗会の「なまりインプレッション」後半は、特別限定車「ポートフォリオ」とフルチェンを控えた最後のモデルとなる「XKR」を取り上げる。重厚な英国プレミアムに、穏やかな名古屋弁で鋭く迫る!ワルな感じがソソるSuper V8 Portfolio(FR/6AT)……1680.0万円
すずき(以下「す」):次はジャガーの最上級サルーン「XJ」のロングホイールベースモデルをベースにした、特別限定車「スーパーV8ポートフォリオ」がござらっした。
本諏訪(以下「も」):チェリーブラックのボディカラーに、フロントフェンダーのアルミパーツや20インチホイールなどを装着しているのが外観上の特徴です。けっこうワルな感じですね。
も:お、このホイールのセンターオーナメントはかっこいいですよ。なにやらクラシックな「ジャガー」のロゴです。
す:これは20年ぐらいみぇあに使っとったもんだがや。
も:さすがに年の功。古いディテールには詳しいですね。
す:まっぺん言ってみやあ。ちいとねゃあ、おとなしくしとれ!
も:内装はソフトグレインレザーとサテン仕上げのアメリカンウォールナットパネルでコーディネイトされています。
す:つや消しのウッドを使うところが、よぉわかっとるなあ。光り物のアルミとかと組みあわせても、嫌味がにぇあ。
も:木目もキレイです。
も:走った感じはいかがでしょう?
す:4.2リッタースーパーチャージャー付きのエンジンは、めちゃんこパワフルだがや。ボディはアルミモノコックで、できゃあ割に軽量だし。
も:同じくアルミボディを採用する「アウディA8 4.2クワトロ」より、100kg近くも軽い!
す:思いっきり踏み込んだると、スーパーチャージャーからすんごい音が出てくるわ。
も:外見もちょっと近代的なパーツを使ってますし、そういう意味ではこのウィーンという音はこのクルマにあっているかもしれません。
す:足まわりはベース車とおんなし? CATSとかいう電子制御アダプティブダンピングエアサスが付いとるの?
も:はい、付いてます。255/35ZR20という扁平タイヤですが、イヤな固さとかは感じませんねぇ。
す:これがジャガーの味付けだねぁあか。
も:むむむ。Sタイプで満足していたのに……。
す:スペックも値段も、「デイムラー」とほぼおんなじ。どっちがいいと思う?
も:うーん、私はポートフォリオですね。ちょっと都会的というか、ワルな感じがソソります。
す:ちょーずいとると思われせんか? 「デイムラー」のゴージャスさは名古屋人好みだがね。
も:本音を言えば、デイムラーにはV12の“ダブルシックス”を積んでほしかったんですよ。そういう意味でもポートフォリオなら納得いきます。
す:ちょーらかしとったらかんて。
“漢”のクルマXKR 4.2-S Coupe(FR/6AT)……1390.0万円
す:どんべはジャガーのスポーティカー「XKR」。次の「XK」が東京モーターショーに出とったし、まあひゃあ売るはずだがね。
も:ということで試乗車は、最高出力406psの最強モデルをベースとした、現行型のファイナルエディション「XKR 4.2-S」です。クーペとコンバーチブルが用意され、今日の試乗車はクーペ。
す:まっとぼっさいクルマだと思っとったがね。特別装備は付いとるの?
も:内外装をスポーティにして、足まわりもハード仕様に。さらにプレミアムサウンドシステムやレカロのスポーツシートなども装備しています。
す:このボディカラーも特別設定だわ。
も:運転席はかなり圧迫感がありますね。
す:助手席もせんまいでかん。
も:ちょっと後席に座ってもいいですか……。って、ダメです。座れません。
す:タイトどころだねぁーな。こんなんは胸毛が生えとる“漢(おとこ)”が乗るクルマだわ。
す:はんじゃあ、まわししたって。……おい、ちゃっと行こみゃあ。
も:サイドブレーキをリリースできないんですが……。
す:たーけっ。レバーを引けるところまで引いて、そこからは普通にボタンを押しながら放したれよ。
も:あっ、できた。サイドレバーが出口側にあるから、引いた状態でも乗り降りの邪魔にならないよう、レバーが常時下がってるんですね。
す:フライオフ式というんだがね。クラシックなディテールだわ。最近でも「エンツォ・フェラーリ」とか「アストンマーチンV8」などに採用されとる。
も:逆アリゲータ式にオープンするボンネットフードも、なにやら古いスポーツカー感があっていいですよね。こういうディテールも大事です。
す:ジャガーは歴史あるスポーツカーメーカーだでな。
も:でも確かにジャガーとかベントレーとか、スポーティなイメージがありますが、正直、私の年代では、オンタイムでそれを感じてないんですよね。
す:実際に運転すると感じるでねぁーか。
も:おっしゃるとおり。固められた足まわりと、FRらしいハンドリングは、とてもスポーティです。
す:こういうのもジャガーらしさでしょー。エレガントなだけじゃにぇあんだ。
も:次期XKはアルミボディになって、スタイリングもすっきりと現代的になりましたよね。
す:モダナイズしつつ、ジャガーのクラシックな面もどこかしらに残っとるといいな。え、もーはい、終わり? 鍵かって帰ろみゃあか。では、ご無礼します。
(文=NAVI鈴木真人&webCG本諏訪裕幸/写真=郡大二郎/2005年11月)
・ジャガーフルラインナップ試乗会(前編)
http://www.webcg.net/WEBCG/impressions/000017471.html

鈴木 真人
名古屋出身。女性誌編集者、自動車雑誌『NAVI』の編集長を経て、現在はフリーライターとして活躍中。初めて買ったクルマが「アルファ・ロメオ1600ジュニア」で、以後「ホンダS600」、「ダフ44」などを乗り継ぎ、新車購入経験はなし。好きな小説家は、ドストエフスキー、埴谷雄高。好きな映画監督は、タルコフスキー、小津安二郎。

本諏訪 裕幸
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