ルノー・メガーヌグラスルーフカブリオレ(FF/4AT)【試乗記】
水族館に行きたくなる 2005.09.27 試乗記 ルノー・メガーヌグラスルーフカブリオレ(FF/4AT) ……388万5000円 ルノー主力モデル「メガーヌ」のオープン版である「グラスルーフカブリオレ」。クローズドでも開放感があると謳う、そのクルマの楽しみ方とは?ラインナップを強化
雨の中を「ルノー・メガーヌグラスルーフカブリオレ」でドライブし、信号待ちで頭上を見上げると、正面から雨が向かってきた。もちろん車内にいるので濡れはしない。
行けないところに行きたい願望というのは、少なからず皆が持っているものではないだろうか。宇宙に憧れる者、深海にもぐりたがる者……。雨の中をクルマで走るのはそれに似ていると思う。騒がしく、不快な外界と壁を一枚隔てて、気持ちいい空間にいる快感が私にはたまらない。
ルノーは、1998年から7年連続で欧州販売台数ナンバーワンを取るブランドだが、日本ではイマイチふるわず。しかしここにきて、2004年1月から導入したハッチバック「メガーヌ」と、ライバルが少ない個性派「カングー」を軸に、2004年は前年比で43%の台数増となった。
この軸をさらに太くするため、欧州でカーオブザイヤーを受賞したメガーヌを日本市場での販売の柱と決め、ラインナップを強化。ハッチバックに続けて、ツーリングワゴン、ターボエンジン搭載のルノースポール、そしてツーリングワゴングラスルーフが次々と上陸し、さらに、このグラスルーフカブリオレが導入された。
メガーヌグラスルーフカブリオレをおおまかに説明すると、2リッターエンジン+4段のオートマチックトランスミッション搭載モデルをベースに、クーペボディとし、電動格納式のグラスルーフを被せたもの。エアプレーンタイプと呼ばれるサイドブレーキレバーの形やインパネはシリーズ共通。レザーインテリアが標準となり、シートに加えてドアトリムとステアリングホイール上下部分に革が用いられる。
気になるAT
アピールポイントのグラスルーフは、その名の通り屋根全体をガラスにしたもの。紫外線、赤外線の侵入も抑えられる。屋根全体から差し込む太陽の光が心地よい。
リアスタイルがでっぷりしたお尻になりがちなCC(クーペカブリオレ)モデルだが、このメガーヌはハイデッキではあるもののすっきりとした印象。テールランプもハッチバックなどとは共通項がなく、なかなかシャレたリアビューだ。
前後に長いパネルの、前方に位置する少々使いづらいドアハンドルを持ち、ドアを閉めて走り出す。
4段のオートマチックトランスミッションは、変速のマナーが少々気になる。キックダウンがあまり上手ではないらしく、山道を登っているときに意識的にギアチェンジを重ねる必要があった。さらに変速時のシフトショックも少なくない。ゼロからの全開加速時には、1速から2速でかなりの衝撃を伴った。
エンジンブレーキの効きも気になる。普通に減速していくと自動的にギアが落ちるのはあたりまえだが、その際にエンブレが急激に効き、踏力一定でもガクッとなってしまう。さらにブレーキフィールも、ある程度の速度だと気にならないのだが、タウンスピードでは踏み始めに案外効かず、ちょっと踏み込むと一気に効く感じもする。
乗り心地と居心地の良さを楽しむ
動力性能に不満は残るものの、足まわりのフィールは好ましかった。大きなストロークを持つサスペンションによって、しなやかにコーナーを抜けるのは心地よい。
足まわりがいいだけに、もう少しパワーがあると運転も楽しめるのだが。グラスルーフと、カブリオレでの安全対策によって得た1520kgを引っ張るには、133psのパワーは不足気味。ここ一番の加速には弱い。
クーペのスタイリングとグラスルーフが気に入って、ずーっと閉めたまま走っていたが、オープンカーとしての素性も正統派。シートヒーターはもちろん、横転時に飛び出るロールオーバーバーをも備え、カブリオレ状態でもユーロNCAP衝突安全試験で5つ星を獲得するほどの安全性能を持つ。ボディ剛性確保のために、ホイールベースを短縮する工夫もされた。
リアシートに乗員がいない場合、ウィンドディフレクターも装着可能。これは簡単に折り畳むことができ、普段はトランクに収納される。装着も簡単で、なおかつ効果は絶大。高速道路の巡航でも、頭上をほんの少し風がかすめる程度の巻き込みだ。
ということで、ビュンビュン飛ばしてコーナーを駆け抜ける性質のクルマではなさそうである。
快適な乗り心地で雨のドライブを楽しんでいると、ふと水族館に行きたくなった。そう、最近できた水族館には、海底を歩いているかのようなトンネル型式をとるものがある。それを思い出した。
冬の澄んだ空の下では、満天の星空を眺められる居心地のいいプラネタリウムにもなりそうだ。走る以外の楽しみをいろいろもたらしてくれる。メガーヌグラスルーフカブリオレは、そんな夢がある人のクルマらしい。
(文=webCG本諏訪裕幸/写真=峰昌宏、荒川正幸(A)/2005年9月)

本諏訪 裕幸
-
アウディQ3スポーツバックTFSIクワトロ150kWアドバンスト(4WD)【試乗記】 2026.8.31 フルモデルチェンジした「アウディQ3スポーツバック」に試乗。プラットフォームやパワートレインこそ従来型の改良版ではあるものの、内外装のデザインやインフォテインメント、効率性のすべてにおいて大幅な進化を遂げたという。その仕上がりやいかに。
-
トヨタbZ4XツーリングZ(4WD)【試乗記】 2026.8.29 「トヨタbZ4X」にワゴンのようなロングボディーを持つ「ツーリング」が登場。ただ長くなっただけではなく、今回試した4WDモデルではパワーもアップ。乗り味にも微妙な影響を及ぼしているから見逃せない。経路充電を試しつつ、370km余りをドライブした。
-
BMW 120オリジナル(FF/7AT)【試乗記】 2026.8.25 BMWの主要モデルに新グレードの「オリジナル」が設定された。位置づけとしては新たなエントリーグレードということになるが、BMWらしさを損なうことなく装備を厳選し、価格を抑えたのがポイントだという。「1シリーズ」の「120オリジナル」の仕上がりをリポートする。
-
トライアンフ・スラクストン400(6MT)【レビュー】 2026.8.25 カフェレーサーの本場である、イギリスのトライアンフがリリースした「スラクストン400」。車名のとおり、カジュアルに楽しめる400ccクラスのマシンではあるのだが、その実物からは、エントリーモデルとは思えない本物の香りが漂っていた。
-
スズキeスカイ プロトタイプ(FWD)【試乗記】 2026.8.24 スズキが満を持して世に問う、軽規格の新型電気自動車「eスカイ」。軽乗用車の本質である、生活の足としてのちょうどよい性能を追求したという一台は、どのようなクルマに仕上がっているのか? 2026年秋の正式発表を前に、プロトタイプモデルに試乗した。
-
NEW
新型「三菱パジェロ」の外装・内装を写真でチェックする
2026.9.2画像・写真5年間のブランクを経て、三菱のフラッグシップSUV「パジェロ」がついに復活! 「グランドカリスマ -泰然自若-」をコンセプトにデザインされた本格クロスカントリーモデルは、どのような姿をしているのか? 内外装の詳細を、写真で紹介する。 -
NEW
復活の決め手はこっくりさん!? 新生「三菱パジェロ」誕生の経緯とその狙い
2026.9.2デイリーコラム5年間の沈黙を経て、ついに登場した新型「三菱パジェロ」。スリーダイヤモンドが誇る荒野のフラッグシップは、いかにして復活を遂げたのか? 開発の経緯や内外装デザインの詳細、パワートレインに見るクルマの“狙い”をリポートする。 -
NEW
第127回:新型BMW X5(後編) ―迷走するBMW 結局アナタは“ノイエクラッセ”でなにがしたかったの?―
2026.9.2カーデザイン曼荼羅その姿が明らかとなるや、賛否両論を巻き起こしている新型「BMW X5」。このクルマは既存のBMW製SUVとはなにがちがうのか? そもそもBMWは“ノイエクラッセ・デザイン”になにを託していたのか? カーデザインの識者と、迷走するBMWの明日を探った。 -
NEW
BMW X1 sDrive20iオリジナル(FF/7AT)【試乗記】
2026.9.2試乗記BMWのコンパクトSUV「X1」に新グレードの「オリジナル」が登場。走りの楽しさをはじめとしたBMWらしさをキープしつつ、装備の厳選によって価格抑制を図った新たなエントリーグレードだ。都市部におけるドライバビリティーとユーザービリティーをリポートする。 -
スポーツカーに未来はあるか?
2026.9.1あの多田哲哉のクルマQ&A年々、開発環境が厳しくなるといわれるスポーツカーは、この先も存在しうるのか? トヨタのエンジニアとしてさまざまなスポーツカーを開発してきた多田哲哉さんに“未来のスポーツカー像”を聞いた。 -
トヨタGRヤリスRZ“ハイパフォーマンス”+エアロパフォーマンスパッケージ【試乗記】
2026.9.1試乗記2020年のデビュー以来、間断なく進化を続けてきたコンパクトスポーツの「トヨタGRヤリス」。一般ユーザーの間ではもちろん、コンペティションの世界でもチューニングのかいわいでも光を放つ一台は、2026年モデルでどう進化したのか? その走りを報告する。
































