マツダ・ロードスター(5MT)/RS(6MT)/VS(6AT)【短評(後編)】
“素性”の良さを感じる(後編) 2005.09.20 試乗記 マツダ・ロードスター(5MT)/RS(6MT)/VS(6AT) ……244万6750円/261万5500円/268万600円 原点を見直したという3代目ロードスター。走り始めて感じたのは、歴代モデルから受け継いだ……。変わらないトコロ
“素”のグレードに乗ってエンジンをかける。開発陣が自慢をするそのサウンドは――う〜ん、まぁこんなものかナ……というのが率直な感想。確かに悪くはないけれど、“本体”が発するものよりも排気系への依存度が高く、その点では初代モデルからあまり進化をしていないようにも感じられるその音色は、「心地良いサウンド」と表現するのはちょっと苦しいかも……。
スタート時の力強さはまずまず。際立って強力という印象ではないものの、クラッチワークに気をつかったりはしない。手首の動きで操作が決まるシフトフィールも秀逸だ。「そうそう、ロードスターはこの感じ」と、ここでも初代モデルと暮らした時の感覚が蘇ってくる。
ボディの剛性感は「ホンダS2000」や「ポルシェ・ボクスター」「BMW Z4」などに比べると高くはない。ロードスターのコンセプト的にはこの程度でOKかも知れないが、スポーツ派ドライバーの中にはやや不満に感じる人がでる可能性も大。もっとも、ルーフを閉じても路面凹凸を拾ってステアリングに微震が伝わるこの感覚も、やはり初代モデルをも髣髴とさせる重要なポイントなのだが。
MTと比較すると……
と、そんなわけで良きにつけ悪しきにつけ、最も“ロードスターらしい”と感じさせるのこのグレードから、AT仕様のVSグレードにスイッチ。6MT仕様だとRSグレードと同価格になるこのグレードの売り物は、タンカラーの本革シート。
「AT仕様は“雰囲気のクルマ”ですから」という貴島主査のコメントにも従い、こちらは最初からオープン状態でスタート。ちなみに、センターロック方式になって、開け方向の操作は楽々なこのクルマのルーフ、「こっちも座ったままで何とかできます」という閉じ方向の操作にトライをしたら、最初の数十cm分の動きが超重くて腕がつりそうになりましたヨ……。
広いレンジと小さなステップ比を両立させる6段仕様ゆえ、確かに加速の連続感は悪くないもの。が、それでもMT仕様に比べるとやはり力強さは1ランクダウンとなる感否めず。というよりも新しいロードスターのこのエンジン、「ハイオク仕様の2リッター」であるのならば全般にもう少しのトルク感が欲しい、と思うのは自分だけか!?
ちなみに、Dレンジ走行中はパドル入力は受け付けず、アップ側パドルの操作ストロークがダウン側に比べて妙に長いという操作性は今イチ。加えれば、ダウンシフトの入力をした際にエンジンの回転合わせ(プリッピング)をしてくれないのも“最新のスポーツAT”としてはもはや不満。
貴島さんも認めるように「やはり本来はMTで乗ってもらいたいクルマ」という精神が、実際のクルマづくりにも現れているという事だろうか。
限界の8割がちょうどいい
というわけで、クルマ好きならやっぱり一番気になるはずなのが、唯一17インチのシューズを与えられ、さらにビルシュタイン製ダンパーやLSDで武装をするRSグレード。トランスミッションは当然6MTのみで、アルミペダルも標準装備。現在のところ、最もスポーティな仕様がこのグレードという事になるのがこのモデルだが、メーカーオプションとしてVSグレード同様のタンカラーのレザーシートも用意されている。
走り出してまず感じさせられるのは、「実はこのモデルが最も乗り味がしなやか」という事実。前述の足まわりのスペックの違いに加え、フロントサスにタワーバーが加えられる事なども、そうした印象を生み出す要因になっていると考えられる。
ハンドリングの全般的な軽快感は、他グレード同様「ロードスターならでは」という印象が強い。が、実は最もスポーティなこのグレードであっても、微舵操作に対する初期の応答性は必ずしも際立ってシャープという感覚ではない。2速フルパワーのタイトターン、というシーンでもリアを簡単には振り出したりしない事も含め、今回のロードスターはやはりトラクション性能、スタビリティ性能にかなり力を入れているのをイメージさせられる。
とはいえ、漫然とコーナーを追い込んでいくと、新型は意外と明確なアンダーステア傾向の持ち主であったりもする。それもあり、“限界の8割ペース”で走るのが最も心地よいと思えるのがこのモデルでもあるのだ。
デビューしたての現段階でも、こうしてその“素性”の良さは十分に感じられる走りの実力の持ち主が新型ロードスター。歴代モデル同様の進化のプロセスが、その走りにさらに磨きをかけてくれるのが楽しみだ。
(文=河村康彦/写真=峰昌宏/2005年9月)
・マツダ・ロードスター(5MT)/RS(6MT)/VS(6AT)(前編)
http://www.webcg.net/WEBCG/impressions/000017159.html
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河村 康彦
フリーランサー。大学で機械工学を学び、自動車関連出版社に新卒で入社。老舗の自動車専門誌編集部に在籍するも約3年でフリーランスへと転身し、気がつけばそろそろ40年というキャリアを迎える。日々アップデートされる自動車技術に関して深い造詣と興味を持つ。現在の愛車は2013年式「ポルシェ・ケイマンS」と2008年式「スマート・フォーツー」。2001年から16年以上もの間、ドイツでフォルクスワーゲン・ルポGTIを所有し、欧州での取材の足として10万km以上のマイレージを刻んだ。
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