新型BMW7シリーズ(事前説明会篇)【試乗記】
ボンドカーの如きハイテク装備 2003.01.03 試乗記 新型BMW7シリーズ(事前説明会篇) エンジン、サスペンションから、インテリアにまでハイテク装備が満載の新型BMW7シリーズ。ミュンヘンのBMW本社で行われた技術説明会の内容を、清水和夫がリポートする。 会員コンテンツ「Contributions」より再録。スイッチひとつでギアチェンジ
次期BMW7シリーズは「iモード」が使えないおじさんは乗れそうにない、と思った。まるで007のボンドカーそのものではないか。それまで誰も考えつかないよう なハイテクを満載して登場したから、これならシリコンバレーの連中が欲しくなることは間違いない。実は新しモノ好きな私の食指も動いたのだ。
7月に事前の技術説明会がミュンヘンで行われた。日頃は一切、部外者が入れないBMW本社の聖域に世界中のジャーナリストが招かれた。「新型7シリーズに採用された革新的な技術は今後のすべてのBMWにとって重要な意味を持つ」とボードメンバーは述べる。
7シリーズのデザインは写真でみるよりもエレガントであった。これをBMWは「アスレチックデザイン」と呼んでおり、遠目でみても7シリーズと分かるプロポーションだ。ホイールベースは現行の7シリーズよりも40mm伸ばされ、3110mmになったおかげで、キャビンは広々とした。トランクはゴルフバッグが横に3つ入る大きさになったことは嬉しい。
しかし最も印象的であったのはインテリアのたたずまいが非常に洗練されたことだ。本物のウッドを3次元で加工したものが採用され、高級な家具を思わせる。シートも革だけではなく、高価なウール地の素材も採用された。このインテリアへのこだわりは、いままでの高級車にない新しい質感を出しすことに成功した。
さて、今回の新型7シリーズのハイライトは「iDrive」と呼ばれるコンセプトだ。ナビやエアコンやオーディオなどのスイッチ類が統合され、センターコンソールに配置されたパソコンのマウスのような大きなコントローラーで操作する。ステアリングホイールに目を移すと、ドライビングに関するスイッチ類が集約され、さらにシフトレバーに代わるスイッチが配置されているではないか。ステアリングホイールから手を離すことなく、瞬時にギアを変えられる。つまりシフトバイワイヤーの技術が織り込まれ、ステアリングに集中されたスイッチで「パーキング」も「リバース」も操作できものだ。まるでF1のステアリングホイールのような操作性なのだ。BMWは、ドライバーズカーとして操作系のスイッチ類やレバー類を統合することで、よりドライビングに集中でき、安全面にも貢献すると結論づけた。
スポーツカー並の俊足
6段ATと組み合わされる4.4リッターV8(333ps/6100rpm、45.9kgm/3800rpm)はバルブトロニックと呼ばれるスロットルレスの技術を投入。すでに3シリーズコンパクトの4気筒エンジンで同技術は採用されており、ガソリン直噴ではない手法でスロットルバタフライをなくした。一般的にスロットルは低速走行時にポンプ損失となり、熱効率が下がってしまう。
スロットルに代わるのは吸気バルブだ。バルブの開閉量でエンジンのパワーをコントロールすることになる。アイドル時には0.3mmだけ吸気バルブを開き、全開時には8.0mmとなる。アイドルでは吸気バルブの動きが少ないので、きわめて静かであった。
この新しいV8のおかげで、ニュー745iは0-100km/h=7秒から6.3秒へとスポーツカー並の俊足ぶりを示す。そのうえ燃費は旧7シリーズの7.8km/リッターから9.3km/リッターと大幅に改善された。
新型7シリーズもメルセデスと同様に究極の快適性を求めてアクティブサスペンションを開発した。しかしBMWのアクティブサスペンションはメルセデスとは異なり、前後のスタビライザーをアクティブに可変制御するものであった。
この技術をBMWは「アンチロール・スタビライジングシステム」と呼んでおり、70〜80km/hくらいの速度までは前後のロール剛性配分は50対50とし、それ以上の速度ではフロントのロール剛性を高めてアンダーステア気味にする。
さらに求心加速度が0.6Gまでは完全にゼロロールであるが、それ以上の横Gでは意図的にロールを与える。「完全なフラットライドが、高級でスポーティな7シリーズの走りはどうしても必要であった」とBMWは述べる。
ニュー7シリーズには、さらに電子制御の可変ダンパー、エアサスペンションなど盛りたくさんの電子技術が織り込まれた。
(文=清水和夫/写真=ビー・エム・ダブリュー(株)/2001年10月19日)

清水 和夫
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