BMW645Ci(6AT)【ブリーフテスト】
BMW645Ci(6AT) 2004.04.03 試乗記 ……1047.9万円 総合評価……★★★★★ かつての「6」の文句ない流麗さを知るヒトには、いまひとつピンとこない(かもしれない)新型6シリーズ。独特の存在感があるBMWのニュークーペに、『webCG』コンテンツエディターのアオキが乗った。
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エグゼクティブの呪縛
万人が「カッコいい」と即答できないスタイル。誰もが「使いやすい」とは歓迎できない操作系。しかし否定的な発言をすると、エグゼクティブとしての資質が問われかねない、ウムを言わさぬ先進性。
ステアリングホイールを握れば、満載したハイテックを意識することなく、ドライブフィールから溢れでる高級感を楽しめる。コンピューター時代の、現代のビジネスマンの、二枚目の贅沢さを体現したハイエンドパーソナルカー。休暇中も仕事を忘れないアナタへ。
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【概要】どんなクルマ?
(シリーズ概要)
2003年のフランクフルトショーでデビューした大型クーペ。クリス・バングルのディレクションのもとデザインされたスタイリングが斬新。ボディは、「アルミ」「スティール」「樹脂」を混在させた「インテリジェント・ライトウェイト・テクノロジー」を採用。車重の増加を最小限に抑えた。
エンジンは、当面、4.4リッターV8のみ。吸排気両バルブを可変化した「ダブルVANOS」を搭載。シリンダーへの混合気流入量を、バルブ開度でコントロールするバルブトロニックエンジンである。トランスミッションは、6AT、2ペダルMTたる「6段SMG」、コンベンショナルな6MTが用意されるが、最後の仕様は日本には入らない。
2004年のデトロイトショーで、コンバーチブルモデルが加わった。
(グレード概要)
6シリーズの日本への導入は、クーペが03年10月25日から先行予約開始、カブリオレは翌04年2月1日に発売された。いずれも、左/右ハンドルを選べる。ハイエンドクーペだけに、日本仕様は素のままでフル装備に近い。「ランフラットタイヤ」「大型ガラスサンルーフ」「パークディスタンスコントロール」「DVDナビゲーションシステム」「6連奏CDチェンジャー」などを標準で備える。夜間、カーブでも進行方向を照らす「アダプティブヘッドライト」ほか、現代のエクスクルーシブカーらしく「ノンスモーカーパッケージ」もオプションリストに載る。
【車内&荷室空間】乗ってみると?
(インパネ+装備)……★★★★
幾多の機能を、どうやってすっきりとしたインターフェースにまとめるかを追求した、いかにも21世紀のエクスクルーシブカー。追求しすぎた感のある7シリーズと比較して、後発の5/6シリーズは適度にこなれ、20世紀人にも使いやすい。東西南北、4方向にメニューが単純化されたiDriveを軸に、それぞれのファンクションを深化させる。一方でオーディオの音量、エアコンの温度、風量など、頻繁に使う機能はスイッチ、ボタン類として残された。
電子立国ニッポンのユーザーとして不満なのは、上下に狭いディスプレイ。ナビゲーションシステムの「初心者に対する優しさ」の面にも、あと一歩の感があるが、iDriveは、ソフトウェアによるアップデートの柔軟性も高そうだから、今後の進化に期待したい。
(前席)……★★★★
左右とも8wayのパワーシート。加えて、腰の後ろを押すランバーサポートの「出っ張り度合い」「上下」の位置も調整できる。運転席側は、3つのポジションをメモリーできる。絶対的なホールド性はほどほどながら、ガッシリしたつくりのシート。適度なクッションをもち、乗員の体がしんなり収まる。座り心地よく、快適。低い着座位置がスポーティ。
トンネルコンソールにある肘置きは、携帯電話置きと小物入れの二重底になっている。
(後席)……★★
シートクッションをやや凹ませ、頭上空間を稼ぐ。大柄なボディゆえ、「シボレー・カマロ」や「クーペ・フィアット」よりははるかに使えるリアシート。もちろん、パーソナルクーペの後席としては、だが。走行中は、あたかもオシリの下でタイヤが上下しているようで、落ち着かない。
(荷室)……★★★
ニュー6シリーズのスタイルを特徴づける視覚的に独立したトランクリッド。リアエンドは、鬼才クリス・バングルが、フランク・ロイドの建築「落水荘」からヒントを得たという、7シリーズと同じモチーフを採る。
床面最大幅125cm、奥行き100cm、高さ50cm。VDA法で450リッターというのは、車両寸法からすると物足りないが、2人の旅行用に間に合えば、ということなのだろう。
【ドライブフィール】運転すると?
(エンジン+トランスミッション)……★★★★★
4.4リッターV8は、スムーズでトルキー。巡航時、スロットルペダルの上に足を軽く載せているだけで、微かな存在感を漂わせ、そして秘めたるパワーを感じさせ、ドライバーに「駆けぬける歓び」を与え続ける。もちろん、右足に力を入れれば、1.7トンのウェイトを軽々と躍らせる。
6スピードのトランスミッションは、スムーズ至極。クーペボディを優雅に走らせる。ステップトロニックを備えども、シーケンシャルシフトを使う必要を感じさせない、シフトプログラムのよさが印象的。
さらにシフター手前の「SPORT」ボタンを押せば、にわかにエンジン音高まり、スロットルレスポンス向上し、ステアリングのパワーアシストが控えめになる。つまり、手応えがシッカリする。「DDC(ドライビング・ダイナミック・コントロール)」の霊験あらたか。
(乗り心地+ハンドリング)……★★★★★
重量感ある落ち着きと、滑らかな乗り心地を絶妙にミックスした645Ci。しまった足まわりをもつが、路面からの入力は頑強なボディで受け止め跳ね返す、典型的なジャーマンライド。速度を上げるほどフラット感は増すが、立ちはだかるのは法の壁。
速度に応じて前輪の切れ角を変える可変式ステアリングギア「アクティブ・ステアリング」は、初めて道の脇のパーキングロットにクルマを寄せるときや、車庫入れ/出し時に、思いのほかハンドルが切れて「オッ!」とオドロクが、たちまち慣れる。ハンドルの重さは、低速時でも不自然なほど軽くなることはない。6シリーズのステアリングホイールフィールは、総じて「可変化による不自然さ」というテーマそのものを頭に浮かべることがない、質の高いものだ。コーナリング時にロールを抑える「ダイナミック・ドライブ」を標準で装備する。
(写真=林渓泉/2004年4月)
【テストデータ】
報告者:webCG青木禎之
テスト日:2004年1月16日−19日
テスト車の形態:広報車
テスト車の年式:2004年型
テスト車の走行距離:2414km
タイヤ:(前)245/45R18 96W(後)275/40R18 99W(いずれもブリヂストン ポテンザ RE050A)
オプション装備:アダプティブ・ヘッド・ライト(8.4万円)
テスト形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(6):高速道路(3):山岳路(1)
テスト距離:809km
使用燃料:116.7リッター
参考燃費:6.9km/リッター

青木 禎之
15年ほど勤めた出版社でリストラに遭い、2010年から強制的にフリーランスに。自ら企画し編集もこなすフォトグラファーとして、女性誌『GOLD』、モノ雑誌『Best Gear』、カメラ誌『デジキャパ!』などに寄稿していましたが、いずれも休刊。諸行無常の響きあり。主に「女性とクルマ」をテーマにした写真を手がけています。『webCG』ではライターとして、山野哲也さんの記事の取りまとめをさせていただいております。感謝。
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