ボルボV70 2.4ダイナミックエディション(5AT)【試乗記】
「モード系」の「商品力」 2005.03.09 試乗記 ボルボV70 2.4ダイナミックエディション(5AT) ……499万5000円 ボルボの「V70」に、特別仕様車が登場した。1200台限定で販売される「V70 2.4ダイナミックエディション」は、「モード系」を謳う鮮烈なインテリアがウリである。その商品力を、NAVI編集委員鈴木真人が検証する。熾烈を極める4位争い
2004年、ボルボの日本での登録台数は1万3953台だった。ブランド別では4位となる。なかなか立派な数字だと思うが、計画では1万4000台を売る予定だったそうで、わずかに届かなかった。計画未達成なのは日本だけだったとか、さぞかし肩身の狭い思いをしていることだろう。
ちなみに1位は盤石のフォルクスワーゲン、2位3位はメルセデス・ベンツ、BMWというドイツ勢である。それぞれ5万5380台、4万3743台、3万8861台という数字で、まだまだ相当差がある。逆に下を見ると、5位にアウディの1万3815台、6位にMINIの1万3042台、7位はプジョーが1万2693台で続く。さらにその下は6000台を切る数字だから、この4ブランドが熾烈な戦いを演じているわけだ。
競争が激しくなると、日本車ならば「お得バージョン」を投入して販売促進を図るのが常道だ。最近は、輸入車といえども同様な策を講じるらしい。なかでも、ボルボの特別限定車「V70 2.4ダイナミックエディション」は、超お買い得モデルである。さまざまな特別装備を追加しているのに、なぜかベースモデルよりも4万5000円安いというのだからただごとではない。しかし、これでは誰もベースモデルを買わなくなってしまう、というわけでもないのが面白いところである。なぜなら、この特別仕様車は、乗り手を選ぶ。なにせ、「モード系」なのだ。
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コンサバ派には薦められない
ドライブトレインや足まわりには手を加えておらず、特別装備は内外装や便利な機構を対象にしている。専用デザインのアルミホイールやクロームのドアミラー、ドアハンドルが採用されているのもさることながら、いちばん特徴的なのは「デュアル・カラーコーディネート・インテリア」と称するシートとドアパネル、フロアマットの配色である。赤と黒、青と黒の2種類のカラーでコーディネートされているのだ。
プレミアム路線を突き進むボルボではあるが、また一つ次のステージに足を踏み入れたようである。モダンというか、エキセントリックというか、旧来のボルボのイメージは跡形もない。運転している時は忘れているが、ふと信号待ちなどで視線を落とすとギクッとする。革自体はアストンマーチンやジャガーにも製品を供給しているというBridge of Weir社の高級な素材を使用しており、風合いは自然で心地よい。だからこそ、視覚とのギャップに戸惑ってしまうのだろう。
というわけで、コンサバな趣味を持つ向きに無理強いして薦めようとは思わない。しかし、我こそはモード系と自任するならば、絶好の選択肢であろう。モードといえばアウディ、というんじゃありきたりにすぎて面白みがない。モダンなボルボというのは、ちょっとお洒落な外しワザではないか。
搭載するエンジンはベーシックな2.4リッターのNAなので、非常に温和でゆったりした乗り味である。追い越しの時などには力不足を感じることがあるが、むやみに速く走ろうなどという気も失せてくる。スローなモード系、というのは新しいかもしれない。
輸入車だってガチンコ勝負!
インテリア以外にも、フロント・パワーシート、電動ガラスサンルーフ、バイキセノンヘッドライト、ハイパフォーマンス・オーディオシステムなど、特別装備はてんこ盛りである。趣味さえあえば、とんでもなくお買い得だ。コンサバ派は今回お気の毒だが、ガッカリすることはないかもしれない。少し待てば、おとなしめの「特別限定車」だって登場する可能性はあるのだ。
台数拡大にしのぎを削るインポーターには申し訳ないが、選ぶ側としてはうれしい状況だ。ぜひとも競争相手の3社、アウディ、MINI、プジョーにも参戦していただきたい。魅力的なモデルが続々と出てくれば、輸入車市場全体が活気づく。ブランドも大事だけれど、そろそろ輸入車も「商品力」でガチンコ勝負をする時期が来たのである。上位のドイツ車勢だって安閑としてはいられないぞ……、と煽っておくことにしよう。
(文=鈴木真人/写真=河野敦樹/2005年3月)

鈴木 真人
名古屋出身。女性誌編集者、自動車雑誌『NAVI』の編集長を経て、現在はフリーライターとして活躍中。初めて買ったクルマが「アルファ・ロメオ1600ジュニア」で、以後「ホンダS600」、「ダフ44」などを乗り継ぎ、新車購入経験はなし。好きな小説家は、ドストエフスキー、埴谷雄高。好きな映画監督は、タルコフスキー、小津安二郎。
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