スバルR1(FF)/スバルR1(4WD)【試乗記】
可愛いけれど、たくましい 2005.02.24 試乗記 スバルR1(FF)/スバルR1(4WD) ……137万5500円/150万450円 「スバルR1」は、現代の軽規格を大きく下回るサイズで登場した。360cc時代の軽自動車で運転を覚えたという自動車ジャーナリストの笹目二朗が、「小ささ」の意味を考える。
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格別な思い出のスバル360
我々の世代にとっては、軽自動車は4輪車との関わりをもった最初のクルマである。なかでも、テントウムシこと「スバル360」には懐かしい思い出がある。その昔は軽4輪免許というのがあって、16歳でクルマに乗れた。14歳で50ccの原動機付自転車に乗り、高校生になったらクルマに乗ったのである。
自分のクルマを持つほどの環境にはなく、他人のクルマを借りて練習する日々である。今では少なくなった砂利道でスバル360を走らせると、RR特性をフルに発揮するオーバーステアそのものを体験できた。小石がパラパラとフェンダー内に当たって音を出し、駆動輪を暴れさせる楽しみは格別だった。
価値のある4WD
現代のテントウムシたる「R1」は、ずいぶん立派になった。エンジン搭載位置は前にきて、前輪を駆動する。また4WD仕様もあって、もはやホイールスピンさえしない。軽くて小さなFF車なら、雪道でも破綻することはまずないからFFで十分と思うが、ちょっと砂利が浮いている舗装路での発進とか登り坂でハンドルを切りながら発進するような状況では、時としてキュキュッとタイヤが鳴く。運転している側は快感と感じても、聞かされるほうはビクッとする。それを嫌うなら、4WDを選ぶといい。10万円ほどの違いなら価値ありと思う。もちろん雪だけでなく雨の日も風の日も安定性に寄与する。
ビスカスカプリング式の4WD方式は、ポンプ式の簡便なタイプ以上に利口で働き者だ。オン/オフするタイプは氷結路など低ミュー路での直進性がチョロチョロ乱れるし、アンダーステアを助長するだけで操縦性に寄与しない。ふだんの路面では走行抵抗がすべて前輪負荷となるため燃費が悪い。フルタイム4WDは走行性がスムーズなだけでなく、オン/オフ式よりも燃費がいいのだ。
「小さい=我慢」じゃない
R1は外から見ると小さくて可愛いけれども、中に入って運転するとちっとも窮屈じゃない。昔の360cc軽自動車は外界と隔てるものが鉄板1枚、という不安感もあったが、現代のFF技術と法基準は衝突安全性もきちんとクリアさせている。それを実際に試すわけにはいかないが、太いピラーであるとか、がっしりしたボディ剛性であるとか、乗っていて不安感がないことからもわかる。
エンジンは今や4気筒DOHCの立派なユニットを搭載。、54psと6.4mkgのパワー/トルクがあり、CVTという高効率のATで動力が伝達される。重量の800kg(4WDは840kg)は昔の倍ほどになるが、先の衝突安全対策と排ガス対策で必要な分が加算されるし、内装の豪華なことや155/60R15という大径のアルミホイールまで装着するとなれば、当然ということだろう。
これはもう軽自動車という特別な枠による特殊車両ではなく、小さいゆえのメリットに価値を見いだせる人のクルマだ。昔は「小さい=我慢」という図式がなくもなかったが、今では2台目、3台目を所有する人も多く、自分の用途に応じて選ぶ時代だと思う。ベース価格126万円は決して安くはない。乗り心地も普通車と選ぶところはないし内装も豪華だ。動力性能も流れに遅れるわけではなし、もっと大きなエンジンを積む必要もない。ただし少しスポーティに走りたいとか、この車にスポーツ心まで要求する向きには、R2用のスーパーチャージャー付きエンジンやマニュアルトランスミッションもそのうち追加されそうだから、若干待つ必要があるだろう。でもスタイリングと雰囲気に魅せられたならば、すぐ注文してしまっても後悔はしないだはずだ。
(文=笹目二朗/写真=峰昌宏/2005年2月)

笹目 二朗
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