マツダRX-8スポーツ・プレステージ・リミテッド TypeS(6MT)【試乗記】
プチゴージャスで、よく回る 2005.01.27 試乗記 マツダRX-8スポーツ・プレステージ・リミテッド TypeS(6MT) ……315万円 マツダのロータリースポーツ「RX-8」にドレスアップを施した特別仕様車「スポーツ・プレステージ・リミテッド」。発売当初以来の試乗となる『NAVI』編集部員の塩見智には、ある不安があった。好印象
ロータリーといえば、「RX-7」に搭載されていた13Bターボと日立のエアコンくらいしか体験したことのない中途半端な若さの僕が、初めて「RX-8」に乗ったのは2003年4月の登場直後。同じ13Bながら、マツダがRENESISと呼ぶ新世代のNAロータリーエンジンが、シュルシュルと独特の音を伴いどこまでも回ろうとするので、「どこまでまわんねん!」とエンジンにツッコミを入れたのを覚えている。
その後、マツダのRE工場を見学した時、数値は忘れたが、エンジンの軽さをアピールする表示を見て驚いた。さらに、再び乗る機会があり、いくつかコーナーを抜けて感じたその鼻先の軽さに、工場で見たあの表示は嘘じゃないと確信したことも、さっき思い出した。
つまりRX-8にはいい印象しかない。僕ごときの印象はどうでもいいが、当時、評論家のセンセーたちも総じて高い評価を与えていた。
ある心配を胸に試乗
しかし、しばらく乗っていなかった最近はこう思っていた。RX-8が登場したのは、平成12年排ガス規制の猶予期間終了(02年8月末)に伴って、「トヨタ・スープラ」「日産スカイラインGT-R」「日産シルビア」「マツダRX-7」など、国産スポーティモデルが次々と消滅し、国産車派が「もう俺たちにはミニバンしかないのか……」と悲しみに暮れていた頃。久々のスポーツカー出現に僕らの評価のハードルは自然と少し低くなっていたんじゃないか……。
そういう心配を胸に、久々にRX-8と接した。今回乗ったのは、限定モデルのスポーツ・プレステージ・リミテッド。見た目の最大の特徴は、ベージュの専用本革シート(電動パワーシート)。試乗したチタニウムグレーメタリックIIのボディカラーだと黒いシートの方がいいと感じたが、あとで見た専用色のラディアントエボニーマイカ(茶色がかった濃いワインレッド)との組み合わせはかなりマル。
シートだけでなく、ステアリングホイール、パーキングブレーキレバー、前後コンソールボックスリッドなど、あらゆるところが革仕様。カタログに登場する金髪のお姉さんまで全身レザーのいでたちだ。お姉さんはオプション設定にもないので、自分で調達してほしい。
大人っぽい室内に呼応するように、外観も、ヘッドランプとリアコンビランプがセミグロスメッキで縁取りされ、シルエットを崩さない程度の控えめなリアスポイラーも装着される。また、アルミホイールが高輝度塗装されるなど、よく見るとちょい違う、『LEON』オヤジのようなドレスアップが施されている。
その心配、見事に吹き飛ぶ
内外装のチェックを終え、いよいよ試乗。セルを回すと、一瞬でエンジンスタート。初期のRX-8はセルのキュルキュルタイムが長く、ドライバーを不安にさせた。待っていれば必ずかかるのだが、心地いいものではなかった。いつの間にか改善されている。
しばらく乗って、人間の第一印象が結構正しいことを実感。やっぱりいいのだ、RX-8。エンジンは、相変わらずアクセルペダルを踏み続ける限りどこまでも回りたがる。8500rpmでピーと警告音が鳴るが、リミッターは作動せず。踏み続けるとメーター読みで9500rpm付近まで回る。ホントはこの時点でもリミッターは作動していなかったが、怖くなって“自分リミッター”作動。カタログ上の最高出力発生回転は8500rpmだが、9000rpmを超えてもパワー感は衰えない。ただ何年も大事に乗りたい乗りたいオーナーの皆さんは“ピー”までにしておくべきかも。
乗り心地は第一印象よりさらによかった。舗装の変化や道路の継ぎ目といった小さな入力があった場合、ストロークたっぷりのサスペンションによって不快な振動や衝撃が取り除かれ、路面の変化だけを伝える。ただこれは印象の変化ではなく、限定モデルは、サスペンションクロスメンバーに発泡ウレタンを注入したり、ダンパーのロッド径を太くするなどして剛性アップを図っているほか、今回RX-8全モデルのボディ各所に、プレート追加やスポット増しなどが施されたため、乗り心地は実際に改善されているのだろう。
RX-8は僕らを待ってくれている
RX-8には、よりスパルタンなチューンのマツダスピードバージョンもあるが、スポーツ・プレステージ・リミテッドは、コンフォート系もしくはプチゴージャス系。より大人っぽいバージョンで、価格はベース車比25.2万円高(TypeS)。特別装備やボディ剛性アップなどは、いずれカタログモデルへも拡大採用されるはず。つまりRX-8はRX-7同様、年々進化し、「いつかは俺も」というユーザー予備軍を待っていてくれるありがたい存在でいてくれるのだろう。しかもエイトなら4ドアだから先に結婚して子供ができちゃっても大丈夫。さあ今日からエイト貯金開始!
(文=NAVI塩見智/写真=荒川正幸/2005年1月)

塩見 智
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