トヨタ・カローラランクスX Gエディション(4AT)【ブリーフテスト】
トヨタ・カローラランクスX Gエディション(4AT) 2005.01.20 試乗記 ……198万7650円 総合評価……★★ 2001年にデビューしたカローラ・ランクスが、2004年4月にマイナーチェンジを受けた。2004年12月、さらにエンジンに小変更を受け4つ星を獲得した1.5リッターFFモデルに、『NAVI』編集委員の鈴木真人が乗った。
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柴咲コウには、ちょっとマイルド!?
「NCVカローラ」がデビューした2000年、当時の「ゴルフ」と比較試乗してまったく遜色がないことに感心した記憶がある。1966年から綿々と築き上げてきた歴史が、日本的な大衆車のスタンダードを確立したのだと思った。そして、しばらく途絶えていたハッチバックモデルが「ランクス」として復活したことも朗報だった。
当然ながら、ランクスもカローラセダンの美質を受け継いで、よくできたエントリーカーに仕上がっている。しかし、あまりにもそのまま受け継ぎすぎているという気もするのだ。CMでは柴咲コウを助手席に乗せているが、彼女には少々マイルドに過ぎるかもしれない。「X Gエディション」に乗せるなら、NHK朝のテレビ小説のヒロインのようなおとなしめの女性が似合いそうだ。池脇千鶴とか、国仲涼子とか……。
せっかくスポーティなフォルムを与えられたのだから、走りにもそのイメージを反映させてほしいのだ。「Zエアロツアラー」というスポーティモデルも用意されているのだが、ランクス全体としてセダンモデルとは違った味付けで差別化を図ってもいいのではないかと思う。
【概要】どんなクルマ?
(シリーズ概要)
「カローラ・セダン」「フィールダー」とプラットフォームを共用するハッチバックバージョン。ネッツ店で販売されるアレックスとは兄弟車。2000年にNCV(New Century Value)を掲げてカローラが登場し、翌年1月に「ランクス」がデビューした。2004年4月に内外装や装備の変更を受け、さらに12月に「平成17年基準排出ガス75%低減レベル」を取得して環境性能を高めた。1.5リッターエンジン(1NZ-FE、110/105ps<FF/4WD>)の「X」と1.8リッターエンジン(1ZZ-FE、132/125ps)の「S」があり、それぞれにFFと4WDが用意される。
トランスミッションは、すべて4段ATが組み合わされる。また、最上級グレードとして「Zエアロツアラー」があり、バルブタイミングとリフト量を可変としたVVTL-i機構を持つ1.8リッターエンジン(2ZZ-GE、190ps)を搭載する。駆動形式はFFのみで、6段マニュアルトランスミッションを選ぶこともできる。
(グレード概要)
1.5リッターエンジンの「X」グレードには3つのバリエーションがあり、「Gエディション」は豪華仕様のモデル。ほかに、ベーシックな「X」とスポーティな「エアロツアラー」がある。Gエディションはエアコンがオートになり、インパネクラスターに木目調を採用、またリアドアにUVカット機能付きプライバシーガラスを用いている。
【車内&荷室空間】乗ってみると?
(インパネ+装備)……★★
木目調パネルを得意分野とするトヨタだが、ベージュ内装にオレンジがかった明るい木目調の組み合わせはいささか唐突の感がある。とはいえ他に例を見ないセンスで、趣味が合えば心地よいはず。センターコンソールの間仕切り付き小物入れ兼カップホルダーは簡素ながら使い勝手がよく、スイッチ類の配置もよく考えられていてわかりやすい。装備されていたブラインドコーナーモニター&バックモニターは過剰かと思ったが使ってみると便利で、慣れてしまうとつい依存してしまいそう。
(前席)……★★
シートはホールド性より快適性に重きを置いたタイプで、街中を普通に走るには心地よい造り。シンプルなメーターパネルごしのルーミーな眺めは好印象なのだが、木目調パネルが目立ちすぎるのがどうしても気になって落ち着かなかった。Gエディションならではの豪華装備なのだが、通常仕様のメタル調のほうが収まりがいいように思う。
(後席)……★★★
ヘッドクリアランス、ニールームともに余裕は十分。「VWゴルフ」よりもホイールベースが25ミリ長いのだが、それ以上にゆとりを感じる。リクライニングするし、大型のセンターアームレストがゴージャス感をそそって、ちょっと気分がいい。
(荷室)……★★★
床面の幅が広く、フラットなタイプ。6:4分割可倒式の後席シートを畳めば、フラットなスペースが出現する。デッキアンダートレイ付き。
【ドライブフィール】 運転すると?
(エンジン+トランスミッション)……★★
街中では一切文句のない走り。スムーズな加速、ステアリング操作への素直な反応、効きのいいブレーキ。しかし、ひとたび元気よく走ろうとすると、ちょっとがっかりしてしまう。追い越しをかけようとしてアクセルを踏み込んでも、思った通りの加速が得られるまでには数瞬を要する。高速道路での伸びも物足りない。4段ATだからキックダウンを繰り返すのは仕方がないのだが、回転が上がった時のサウンドにもう少し色気が欲しい。実用車としては申し分ないので、要は節度を持って運転することだ。街中の渋滞路を多く走り、急な加減速も多かったにもかかわらず、燃費はリッター11.7kmと良好な値を示したのはさすが。
(乗り心地+ハンドリング)……★★
やはりこれも、「そこそこ」のもの。実用域での躾けには不満はないが、スポーティな走りには不向き。ステアリングに対するノーズの動きにはキビキビ感がなく、コーナーへの進入では、確信を持ってアプローチができない。その代わり、乗り心地は柔らかなのは美点。高速道路の段差などでは、リアがバタつくように感じることもあるが、シートがうまくショックを吸収してくれる。
(写真=峰昌宏/2005年1月)
【テストデータ】
報告者:NAVI編集委員・鈴木真人
テスト日:2005年1月7〜11日
テスト車の形態:広報車
テスト車の年式:2004年型
テスト車の走行距離:7763km
タイヤ:(前)175/70R14 84S(後)同じ(トーヨーJ36)
オプション装備:G-BOOK対応DVDボイスナビゲーション付ワイドマルチAVステーション&TVアンテナ/ブラインドコーナーモニター&音声ガイダンス機能付バックガイドモニター/スマートドアロックリモートコントロール/SRSサイドエアバッグ(運転席・助手席)&SRSカーテンシールドエアバッグ(26万8800円)
テスト形態:ロードインプレッション
走行形態:市街地(8):高速道路(2):山岳路(0)
テスト距離:244km
使用燃料:20.9リッター
参考燃費:11.7km/リッター

鈴木 真人
名古屋出身。女性誌編集者、自動車雑誌『NAVI』の編集長を経て、現在はフリーライターとして活躍中。初めて買ったクルマが「アルファ・ロメオ1600ジュニア」で、以後「ホンダS600」、「ダフ44」などを乗り継ぎ、新車購入経験はなし。好きな小説家は、ドストエフスキー、埴谷雄高。好きな映画監督は、タルコフスキー、小津安二郎。
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