ボルボV70 T-5 sport(5AT)【試乗速報】
「もちろん、ボルボですので……」 2004.11.23 試乗記 ボルボV70 T-5 sport(5AT) ……709万6000円 ボルボの2005年モデルが発表された。そのなかで「デビュー以来最大規模の変更」を受けたと謳われるのが「V70シリーズ」。最上級グレードたる「T-5 sport」に、『NAVI』編集委員の鈴木真人が乗った。「R」と同等の最大トルク
輸入ステーションワゴン登録台数ランキング(2004年1〜10月)で、V70は不動の1位を維持している。2位のゴルフワゴンに500台近い差をつけた5467台という数字は、このクルマが日本の輸入車ワゴンの代名詞であることを物語っている。総登録台数で4位に位置するボルボではあるが、「MINI」「アウディ」などの追い上げが急であり、主力商品であるV70のラインナップ充実は非常に大きな意味を持つ。
エクステリアでは、同色モールディングの採用、フロントセクション、リアバンパーの形状変更などが目につく。泥臭さがとれて、洗練度が増した印象だ。スカンジナビアデザインとの類縁性を強調する最近の路線に沿ったチェンジである。インテリアも、センターコンソールのカップホルダーにシャッター状のカバーがつくなど、プレミアム性を意識した変更が行われた。
エンジンは2.4リッター直5にハイプレッシャーターボを組み合わせたもので、今回の変更で出力が4%、トルクが6%アップした。最大トルクの35.7kgmという数値は、限定スポーツモデルである「R」と同等である。特に低回転域でのトルクがアップしており、1800rpmでの数値は14%向上している。実際に運転したときにその効果は明らかに感じられた。ハイプレッシャーターボのモデルは、以前はハイパワーではあるものの乗りにくい、という印象があったが、その弱点は払拭されている。アクセルを踏み込むと、一瞬のためらいの後に力強い加速を開始する振る舞いは、とても気持ちのよいものだった。
勝手に切り替わる
「T-5」のインパネには、「C/S」と記されたボタンがあり、これでスポーツモードとコンフォートモードを切り替えることができる。FOUR-C(Continuously Controlled Chassis Concept)と名付けられた、「R」譲りのシャシー技術が採用されており、どちらのモードでも路面の状況によっては100分の1秒以下で別のモードに自動的に切り替わる。当然ながら、実際に走ってみてその切り替わる瞬間をカラダで感じとることはできない。
技術説明会でデザイン変更やエンジンの出力アップの説明をする時、ボルボの担当者が頭に「もちろん、ボルボですので……」という断りを入れるのが印象的だった。このあとには、「手間のかかる形状変更を行っています」とか「スペックのための変更ではありません」などと続く。プレミアム路線を突き進む今も、実質を重視して誠実なクルマ作りを行うという古くからのボルボイズムは健在だというわけだ。ハイパワー競争やラクシャリー合戦のなかで、原点を見失わない姿勢は喜ばしい。
(文=NAVI鈴木真人/写真=高橋信宏/2004年11月)

鈴木 真人
名古屋出身。女性誌編集者、自動車雑誌『NAVI』の編集長を経て、現在はフリーライターとして活躍中。初めて買ったクルマが「アルファ・ロメオ1600ジュニア」で、以後「ホンダS600」、「ダフ44」などを乗り継ぎ、新車購入経験はなし。好きな小説家は、ドストエフスキー、埴谷雄高。好きな映画監督は、タルコフスキー、小津安二郎。
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