メルセデスベンツSLK350(7AT)/SLK55AMG(7AT)【試乗記】
まさに「SL“Kurz”」 2004.11.10 試乗記 メルセデスベンツSLK350(7AT)/SLK55AMG(7AT) ……672.0万円/959.7万円 7年ぶりにフルモデルチェンジした、メルセデスベンツの2座ロードスター「SLKクラス」。スポーティを前面に押し出す新型のプレス向け試乗会は、ツインリンクもてぎのフルコースを使って行われた。『webCG』記者によるインプレッション。“スポーティ”を意識
フルモデルチェンジしたメルセデスベンツの2座ロードスター「SLKクラス」が、本国から約半年遅れで日本に導入された。7年ぶりに生まれ変わった新型のキーワードは“ダイナミック&エモーショナル”。マクラーレンとコラボレートしてつくられたスーパーGT「SLRマクラーレン」似のエクステリアに象徴されるスポーティな内外装や、ダイナミックな走りを武器に、「ポルシェ・ボクスター」「BMW Z4」らと同様、ピュアスポーツをターゲットに据える。
“スポーティ”を意識して、わが国で販売されるのは、DOHCヘッドユニットを持つ新開発の3.5リッターV6搭載の「SLK350」と、AMGの手になるハイパフォーマンスモデル「SLK55AMG」の2本立て。欧州で販売される「SLK200コンプレッサー」「SLK180」といったベーシックグレードは、「ダイナミクス面でのインパクトを考慮して」(ダイムラークライスラー日本スタッフ)導入を見送ったという。
プレス向け試乗会は、ニューSLKのダイナミクスを存分に味わってもらおうと、ツインリンクもてぎのフルコース使用。あわせて「C55AMG」「E55AMGステーションワゴン」などに試乗できる、タイヘン贅沢な内容である。
公道試乗ではないため乗り心地などは不確かだが、試乗会当日は雨。ウェット路面を高速で走ることで、新しいSLKとメルセデスベンツ車のもつ高い安全性を体感することができた。
ロードスターの風情
最初に乗ったのはSLK350。AMGは、性能も価格も“特別”なモデルだから、現在手に入るSLKは、新開発の3.5リッターユニットを積むこのモデルだけである。
ツインリンクもてぎのパドックに並んだ新型SLKは、先代と較べてスポーティなだけでなく、グッと高級なクルマに見えた。先代は「Cクラス」をベースに格納式ハードトップ「バリオルーフ」を与えた四角いフォルムだったから、“ハコ車”の雰囲気が微妙に漂っていたと思う。一方、新型は、長くスラントのついたノーズ、リアアクスル寄りに配された小さなキャビン、コンパクトなリアエンドなどが、いかにもロードスターの風情を醸していてカッコイイ。ボディサイズは先代比で全長80mm、全幅は65mm広いが大きさを感じさせず、兄貴分「SLクラス」の“Kurz”(短い)という呼び名がよく似合う。
インテリアは、シルバーとブラックでコントラストをつけ、スポーティさを演出。「SL」よりちょっとカジュアルで、現代的なデザインだと思った。
装備品が充実し、快適な室内空間を実現したことも、ニューSLKのポイント。オープン時の快適性にこだわり、ボディのエアロダイナミクスを追求して風の巻き込みを抑えたうえでエアコンを強化、さらに、首まわりを暖める「エアスカーフ」という新機軸を盛り込んだ。エアスカーフは、シート内部のセラミックヒーターで暖めた空気をヘッドレスト下から吹き出す。
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アグレッシブな一面
ピットレーンを飛び出すと、新型SLK、かなり速いクルマである。2400rpm〜5000rpmまで35.7kgmもの最大トルクを発生するため加速感に盛り上がりはないが、スルスルと速度を上げていく様は、ラクシャリーなグランドツアラーに近い。このあたりからも、“短いSL”っぽく感じた。
とはいえ、ガバっとアクセルペダルを踏めばリアタイヤが簡単にグリップを失うし、ステアリングを切ってやればリアを振り出す、アグレッシブな一面も見せる。といっても、電子制御が即座に介入するため、なにごともなかったかのように走り続けるのだが……。さすがメルセデスベンツ。エグゾーストノートは野太く、ちょっと荒々しい雰囲気を演出する。
V6に初めて組み合わされた7段AT「7G-ギアトロニック」は、各ギアのステップ比が小さく、シフトショックは皆無だった。
雨がやむどころか、ときおり強くなる状況のため、路面はかなりスリッピー。ブレーキとコーナリングはコワゴワだったが、ここでも、メルセデスベンツの電子デバイスが頼もしい味方になった。180km/h以上の速度でABSを作動させるフルブレーキでも、SLK350は不安定な挙動にヒヤっとさせられることなく、ステアリングを保持しているだけでOK。コーナーではESPが4輪のブレーキを独立制御し、アンダー、オーバーステアが出ても一瞬だけ。即座に安全なラインに引き戻してくれる。
同時に試乗できた「C55AMG」とハンドリングを較べると、SLK350はホイールベースが285mm短く、車重は160kgも軽いせいか“人車一体感”が高く、ESPが作動した際のボディのヨレもすくなかった。
「SLK55AMG」は、最高出力360psのAMG製5.5リッターV8を受け止めるべく、フロントに340mmのベンチレーテッドディスクと6ピストンキャリパーを奢った、強力なブレーキが印象的。15mm低い専用チューンのサスペンションと、ロープロファイル&大径タイヤにより安定感は高く、0-100km/h=4.9秒の性能を、怖い思いをせず楽しめる。スポーツカーのように汗をかくことなく、エアコンの効いた環境で安楽にドライブできる新型SLKは、まさに「SL“Kurz”」である。
(文=webCGオオサワ/写真=高橋信宏/2004年11月)

大澤 俊博
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