第162回:イタリアでわかった日本GPチケット完売の理由 これは一種の“佐藤タクマ教”だ!?
2004.09.27 小沢コージの勢いまかせ!第162回:イタリアでわかった日本GPチケット完売の理由 これは一種の“佐藤タクマ教”だ!?
■信じられないくらい“まっすぐ”
いやー、惜しかったです「F1イタリアGP」。先日観に行ってたんだけど、一時はバトンがトップを先行し、「はや、第3期ホンダF1、初勝利か?」と思われたものの、あれよあれよのピットストップ&オーバーテイクで、いつものフェラーリ・ワンツー。バリケロトップってとこがいつもと違ったけど、予定調和は予定調和よ。
琢磨選手もレース後「(今年は)フェラーリには勝てませんね」とらしくない敗北宣言を出してたようで、たしかにタイヤチョイスミスのバリケロ&コースアウトしたシューマッハに1、2位を取られてちゃ立つ瀬がない。
今回はバトンも琢磨選手も、ミスらしいミスはなかったし、そのうえ、コースはエンジンサーキットでBAR向き。路面温度も低めで、極めてミシュラン有利だったもんね。「これで勝てなきゃムリ」ってくらいの千載一遇のチャンス! 面白いが残念なレースでありました。
そんな話はさておき、個人的に大発見よ。それはなにより琢磨選手との出会いだ。雑誌でインタビューしたんだけど、驚いたね。こりゃー、本物だと思った。ホントにホントの“教祖様系”。
以下、冒頭略のインタビュー。
小沢:何回も聞かれてると思いますが、本気でシューマッハーに勝つつもりなんですか。正直、普通の日本人だったら、最初から諦めちゃう部分もあると思うんですけど。
琢磨:(笑)。たしかに、シューマッハーは問答無用のナンバーワンです。凄いとは思いますよ。
ただ、僕の場合はそういう問題じゃない。なにごともチャンスは挑戦しない限り生まれないと思ってますから。自分でチャレンジしないと生まれない。いけると思ったら10回に10回は全開で攻めていく。常にチャンスを掴み取れる位置にいたいだけです。
小沢:プレッシャーはないんですか。
琢磨:ないといったらウソになりますが、そういう問題じゃない。とにかく僕はレースが好きですし、いまは頂点を極めたくってがんばってるだけなんです。ヘンな話、相手が誰だろうと関係ない。シューマッハーだろうがモントーヤだろうが。
小沢:あの第7戦ヨーロッパGPでのバリチェロとの件もそうなんですよね(3位で攻めてクラッシュして表彰台を逃した件)。
琢磨:あれは当然です。僕のなかでは全然ムリじゃなかったし、行くしかなかった。隙間があったから行くのはレーサーとして当然でしょう。それに最近になっていろいろ言われてますけど、僕はいままでずっと同じ姿勢。やってることはジョーダン時代とまったく変わってないですから。
小沢:ところで、自分の限界ってどう考えてるんですか。
琢磨:限界は変わる、変わらないって話があると思いますが、僕は変わると思ってるし、僕自身、自分はいまもこの先もまだまだ伸びると思ってます。だいたい昔からなにかと「ムリだ」って言われるのがイヤだったんですよ。やってみなきゃわからない。やる前から降参することくらい、無駄なことはないと思いますから。
いやぁ勇気もらいましたね。直接会ってビンビン感じました。一種の原理主義者であり、ある種、宗教的なパワーすら感じるのよ。人には惑わされない確固たる信念がある。“琢磨チャレンジ教”とでもいいますか。
なにかと計算高く、最初から予定調和を求めがちな日本の出でありながら、なんとも気持ちいいくらいの挑戦者ぶり。まわりからすれば“非常識”でも、彼にとってはいかに“常識”か。それがよーくわかりました。
じゃなかったら19歳からレース始めて、本気でF1なんて目指せないよね。話によると、19歳ぐらいでカートショップに行って、いきなり「F1ドライバーになりたいんですけど」と言ったとか言わないとか。それも真顔で。
だからね。今年も鈴鹿を満杯にするであろうファンってのは、たぶん俺と同じ気持ちになりたくて行くのよ。TVではわからない、コーナーごとに伝わってくる彼のポジティブオーラ。それを感じたいがために鈴鹿くんだりまで行く。じゃなかったらTVで十分なんだからさ。F1観戦なんて。
今年の鈴鹿は“琢磨チャレンジ教の集会”になる。もはや“様”付けたくなるでしょうね。ホンダマーク付いた旗ふって“タクマ様〜”と!? 俺も行こうかなぁ……。
(文と写真=小沢コージ/2004年9月)

小沢 コージ
神奈川県横浜市出身。某私立大学を卒業し、某自動車メーカーに就職。半年後に辞め、自動車専門誌『NAVI』の編集部員を経て、現在フリーの自動車ジャーナリストとして活躍中。ロンドン五輪で好成績をあげた「トビウオジャパン」27人が語る『つながる心 ひとりじゃない、チームだから戦えた』(集英社)に携わる。 YouTubeチャンネル『小沢コージのKozziTV』
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