ルノー・メガーヌツーリングワゴン2.0(4AT)【短評(前編)】
人との対話(前編) 2004.07.11 試乗記 ルノー・メガーヌツーリングワゴン2.0(4AT) ……281.4万円 「退屈へのレジスタンス」を謳い文句にリリースされるルノーのニューモデル群。「メガーヌツーリングワゴン」の2リッターモデルに乗った『webCG』エグゼクティブディレクターの大川悠は……。カッコより実質
「ルノー・メガーヌツーリングワゴン」のインプレッションは、数週前にアオキ・コンテンツエディターが、1.6をやや厳しくとらえたリポートでアップロードした(http://www.webcg.net/WEBCG/impressions/000015333.html)。
その後に2.0モデルに乗ったリポーターは、基本的にはアオキ・エディターに賛成するが、もうすこし違った目でみてみたい。
個性的なハッチバックの馬車風キャノピーを失って、普通のワゴンボディを与えられたツーリングは、それでも何とか「退屈」に抵抗しようと−−ご存じのように、最近のルノーのキャッチコピーは「退屈へのレジスタンス」である−−とてもきれいなサイドウィンドウ・グラフィックを採用している。たしかに横から眺めると、下降気味のルーフラインとシャープなコーナーラインが呼応して、とてもスタイリッシュに見える。
ただしこれはデザイナーのトリックで、実際に室内から見ると、ガラスの開口部の各隅は丸いアールで囲まれて、そういっては悪いが、トヨタの「プロボックス」のように平凡な窓が広がっているだけだ。
実はこの実直さというか、真面目な感じ、悪く言うならやや実用一点張りというのが、本当はこのボディのテーマであることが、結果的によくわかった。
挑戦的なデザインで勝負しようとしているハッチに比べるなら、ワゴンは実質勝負、ヘタなカッコつけより実用でナンボ、そうはっきり割り切っている。
それを承知の上で付き合うなら、それなりにこのクルマを理解できると思う。
実用性では優良児
まず、いいことから話すなら、ホイールベースが伸びたことが、あらゆる点で実用性に貢献している。だいたいハッチのメガーヌはスタイル重視の独善的プロポーションで、全長に対して全幅がやや過剰に広かった。運動性やカッコにはキクけれど、本当に使いこもうと思ったら、60?ホイールベースが伸びたワゴンの方がいい。伸びた半分がリアルームに与えられた結果、後席は上のクラスのワゴン、アウディの「A4アバント」や「ジャガーXタイプエステート」の後ろと大差ない(あるいは以上の)空間があるし、バックレストも平板でなくて居心地はいい。
もちろん荷室もかなり広がった。全体的な容量は当然ながら、ホイールアーチの張り出しがすくないとか、フロアがリアバンパーとほぼ平面で繋がっているというまともな形状であるのがいい。こういう細かい使い勝手は、実際上の容積の数値よりも意味があることを、何度もワゴンを使った経験で知っている。
その観点からも、最近多くなったリアウィンドウとテールゲート全体の2ウェイオープンは必須である。後ろの壁ぎりぎりに駐車して、ゲートを開ける隙間がないがために、荷物を降ろせないという悔しい思いをしないで済む。
ともかく実用性では、最近のルノーとしては優良児、それはそれでいいと思う。すこし退屈だけどね……。(後編につづく)
(文=webCG大川悠/写真=峰昌宏/2004年7月)
【関連リンク】
ルノー・メガーヌワゴン2.0(4AT)【短評(後編)】http://www.webcg.net/WEBCG/impressions/000015469.html

大川 悠
1944年生まれ。自動車専門誌『CAR GRAPHIC』編集部に在籍後、自動車専門誌『NAVI』を編集長として創刊。『webCG』の立ち上げにも関わった。現在は隠居生活の傍ら、クルマや建築、都市、デザインなどの雑文書きを楽しんでいる。
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