日産ムラーノSE AWD北米仕様(CVT)【試乗記】
バタくさいハンサムカー 2004.07.08 試乗記 日産ムラーノSE AWD北米仕様(CVT) アメリカで人気SUVとなった「日産ムラーノ」。業績回復著しい同社のクロスオーバーモデルがこの秋ようやく日本で発売される。『webCG』コンテンツエディターのアオキが、北米仕様に日本で乗った。
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3.5と2.5
「日産ムラーノ」が、今年、2004年9月から日本でも販売されることになり、山梨県河口湖周辺でプレス試乗会が開催された。
ムラーノとは、ごく乱暴に紹介すると、日産版「(トヨタ)ハリアー」である。乗用車のコンポーネンツを活用したオンロード重視のSUV、最近の言葉でいうとクロスオーバー車で、「トヨタ・カムリ」から生まれたライバルに対し、こちらは「日産マキシマ」がタネとなる。
初代ハリアーの登場が1998年、そしていまや2代目だから、日産としてはだいぶ遅れをとってしまった感があるが、でも、トヨタのヒット作を横目で見ながら対抗モデルを出せなかった長期低迷期から、ようやっと、本格的な追撃ができるまでに立ち直った、ともいえる。会場では、「……秋からリリースされる新車群のトップバッターとして」と紹介するスタッフの方の表情も明るくて、「やっぱり日産が元気にならないとね」と、参加したリポーターもつられてうれしい。
日産のニュー“クロス”ムラーノは、主戦場たる北米市場では2002年の末から販売が開始され、以後、月平均4500台を売る好調ぶり。彼の地では、ピックアップベースの「エクステラ」が従来のコンパクトなクロカン市場を担い、ムラーノにはシティ指向のユーザーを取り込む役割がもたされた。
日本には、アメリカで売られる3.5リッターV6に加え、2.5リッター直4エンジンが用意される。駆動方式は、前者が4WDとFF(前輪駆動)、後者がFFのみとなる。トランスミッションは、V6にCVT、4シリンダーには4ATが組み合わされる。
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高い居住性
いかにもアメリカンなルックスで、北米での評判も高いというムラーノ。しかし意外にも、企画、デザイン、開発とも日本で行われた。生産は九州工場である。
ボディサイズは、全長×全幅×全高=4765(+35)×1880(+35)×1689(+9)mmと、ハリアーよりすこし大きい(カッコ内はハリアー比)。全長、全幅と比較して、全高は抑え目だが、SUVらしさを出すため、サイドシル下を黒く塗って、高さを感じさせている。ホイールベースは、マキシマと同じ2825mm。
用意された試乗車は、北米仕様のため左ハンドルだった。座面は、外観から想像されるより低い位置にあり、またサイドシルの幅が抑えられた恩恵で、ヒョイとオシリを上げるだけでスムーズに着座できる。たっぷりしたレザーシート、広い室内。居住性は高い。日本仕様の場合、3.5リッターモデルは、革内装が標準となり、フロントシートにはヒーターが備わる。
スムーズなアウトラインを乱さないためだろう、フェンダーのサブミラーは廃止され、かわりにドアミラーにカメラを仕組んだ「サイドビューモニター」と、「バックビューモニター」が、日本では全車標準装備となる。
リアシートが広いのもムラーノの美点で、シートクッションの長さを削って広々感を演出する……といったことはなく、前席同様、十分なサイズが取られているため、居心地がいい。ヘッドクリアランスにも不満はない。
後席の背もたれは、シート脇から生えるストラットを引いてリクライニングできるほか、分割して倒すこともできる。シートクッションが前斜め下方に沈み、そこにバックレストを倒すダブルフォールディング式だ。荷室を、ほぼフラットな床のままで拡大可能。
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ライブリィな感覚
ドライブフィールは、全体に柔らかい。北米モデルには、ノーマルとスポーティに2種類があるということで、今回持ち込まれたクルマはやや硬めの後者。それでもソフトな乗り心地で、ロールは大きめだ。
とはいえ、「乗用車と同等のドライブフィール」を目指したというスタッフの言葉通り、ムラーノの運転感覚は、クルマの成り立ち同様、ちょっと背の高いモノコック乗用車のそれ。「ステアリング操作にボディの挙動が一歩遅れる」とか「上屋が別に動く」といったことがない。
サスペンションは、前がマクファーソンストラット、後ろがマルチリンクの4輪独立式。テスト車は、235/65R18の「グッドイヤー・イーグルLS」を履いていたが、正規販売モデルでは、225/65R18とやや細くなり、銘柄はダンロップが予定される。また、足まわりに、さらに乗り心地を重視したセッティングを施すことが検討されているという。
エンジンは、「スカイライン」にも使われる、というか、「ティアナ」と基本的に同じ3.5リッターV6。245psに34.4kgmと、3リッター(220ps、31.0kgm)のハリアーより1段強力なアウトプットがジマンだ。トランスミッションはCVTだから、スムーズさでも5段ATの仮想敵に負けていない。あまり回さないでも十分なトルクを供給するパワーソースとの相性はいい。小排気量のCVTモデルに見られる、やたらと高い回転域を使うわずらわしさがない。
力強いエンジン音や、オールシーズンタイヤからのロードノイズはけっこう車内に侵入するが、このクルマの場合むしろ活き活きとした印象で、悪くないハンドリングと合わせ、運転している実感を与えてくれる。
「このクルマで都内をテストドライブすると、もう人目を引いて大変です」と商品企画を担当している方が話してくれた。さもありなん。このごろめっきり使われなくなったが、ムラーノは、“バタくさい”という形容を使いたくなるハンサムカーだ。「異国」まではいかないけれど、「異国情緒」のあるクルマ。日本でつくったアメリカ車だから、当たり前か。
(文=webCGアオキ/写真=高橋信宏/2004年7月)

青木 禎之
15年ほど勤めた出版社でリストラに遭い、2010年から強制的にフリーランスに。自ら企画し編集もこなすフォトグラファーとして、女性誌『GOLD』、モノ雑誌『Best Gear』、カメラ誌『デジキャパ!』などに寄稿していましたが、いずれも休刊。諸行無常の響きあり。主に「女性とクルマ」をテーマにした写真を手がけています。『webCG』ではライターとして、山野哲也さんの記事の取りまとめをさせていただいております。感謝。
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