第133回:またまた緊急提言!バカか天才か!?F1佐藤琢磨
2004.06.03 小沢コージの勢いまかせ!第133回:またまた緊急提言!バカか天才か!?F1佐藤琢磨
■王様タイプ?
いやー、面白かったですねぇ「F1ヨーロッパGP」。シューマッハの6勝目はどーでもいいけど、やっぱ佐藤琢磨選手。考えさせられたなぁ、あの行為には。一応知ってると思うけど、あの3位のポジションから2位を狙ってバリチェロを“襲撃”(!?)し、逆に“自滅”しちゃったヤツです。
正直、バカか天才かっつーと、間違いなく「バカ」の部類に入ると思いますけど、俺的には「いい意味」でのバカですね。というのもね。率直にいってドライバーとしての腕は“並”だと思うわけよ。個人的には。ただし「ハート」は世界レベルだと思う。誰に対してもひるむことなく、「俺がイチバン!」と考え、実行に移せるのが彼の最大の強さ。
ある意味、サッカーの中田英寿に匹敵する「王様タイプ」かもしれない。あの人のよさそうな表情の下には、とんでもないプライドが眠っていると思われます。じゃなかったら、1996年のレースデビューから6年でF1ドライバーになるなんてできないよ。世界的にみてもかなりの離れ業じゃないでしょうか。
だとするとね、あれは当然の行為なわけです。まわりがなんと言おうと、バリチェロに「アマチュア」とかバカにされようがヘーチャラのチャラ!
“オレ様”佐藤琢磨にはアレしかない。
■イケるときにイケ
だいたいコメントがいいよね。「すごいグリップ感もあったし、余裕でイケると思った」。コレコレ、こうじゃないと。結局勝負なんて自分でイケると思えるか、思えないかなんだから。それに「イケる時にイッキにいかないとダメ」ってのはどの業界でも鉄則で、そういう意味でも、今回のレースはいいタイミングだったように思う。もちろんあれに腕が伴えば最高だけどね。まさしく日本のモントーヤ。世界チャンピオンにもなれる可能性を持つ。とりあえず琢磨には“アレしかなかった”し“当然だった”のだ。だいたい多少の接触があってこそのレースなんだからさ、人だって殺してないし。
戦後の日本ボクシング界の世界チャンピオンだってそうでしょ。“カエル飛び”の輪島功一だって、顔腫らしながら勝ったわけじゃない。琢磨はそういう“ボクサーファイター”なドライバーなんじゃないでしょうか。
真価を問われるのは次だよね。とりあえずなにがなんでもポールポジション獲って、後ろをブロックしまくる。そして勝つ! 理想は燃料軽くしてポール取って、後ろをバトンかなんかに抑えて貰って、1回目の給油をトップでクリアしてやはり勝つ!! 実はフェラーリにしても磐石じゃなく、BARに脅威を抱いてるって話はあるから可能性はあるはず。
唯一の心配はエンジンブロー。「原因はわからない」って新聞には書いてあったけど、怒りでオーバーレブさせたりしてたんじゃあ、ハナシにならない。望み薄……。そうじゃないことを祈りつつ、次だ次! 期待してるぜ、琢磨!
(文=小沢コージ/2004年6月)

小沢 コージ
神奈川県横浜市出身。某私立大学を卒業し、某自動車メーカーに就職。半年後に辞め、自動車専門誌『NAVI』の編集部員を経て、現在フリーの自動車ジャーナリストとして活躍中。ロンドン五輪で好成績をあげた「トビウオジャパン」27人が語る『つながる心 ひとりじゃない、チームだから戦えた』(集英社)に携わる。 YouTubeチャンネル『小沢コージのKozziTV』
-
第454回:ヤマダ電機にIKEAも顔負けのクルマ屋? ノルかソルかの新商法「ガリバーWOW!TOWN」 2012.8.27 中古車買い取りのガリバーが新ビジネス「WOW!TOWN」を開始。これは“クルマ選びのテーマパーク”だ!
-
第453回:今後のメルセデスはますますデザインに走る!? 「CLSシューティングブレーク」発表会&新型「Aクラス」欧州試乗! 2012.7.27 小沢コージが、最新のメルセデス・ベンツである「CLSシューティングブレーク」と新型「Aクラス」をチェック! その見どころは?
-
第452回:これじゃメルセデスには追いつけないぜ! “無意識インプレッション”のススメ 2012.6.22 自動車開発のカギを握る、テストドライブ。それが限られた道路環境で行われている日本の現状に、小沢コージが物申す!?
-
第451回:日本も学べる(?)中国自動車事情 新婚さん、“すてきなカーライフに”いらっしゃ〜い!? 2012.6.11 自動車熱が高まる中国には「新婚夫婦を対象にした自動車メディア」があるのだとか……? 現地で話を聞いてきた、小沢コージのリポート。
-
NEW
BMWの今後を占う重要プロダクト 「ノイエクラッセX」改め新型「iX3」がデビュー
2025.9.5エディターから一言かねてクルマ好きを騒がせてきたBMWの「ノイエクラッセX」がついにベールを脱いだ。新型「iX3」は、デザインはもちろん、駆動系やインフォテインメントシステムなどがすべて刷新された新時代の電気自動車だ。その中身を解説する。 -
NEW
谷口信輝の新車試乗――BMW X3 M50 xDrive編
2025.9.5webCG Movies世界的な人気車種となっている、BMWのSUV「X3」。その最新型を、レーシングドライバー谷口信輝はどう評価するのか? ワインディングロードを走らせた印象を語ってもらった。 -
NEW
アマゾンが自動車の開発をサポート? 深まるクルマとAIの関係性
2025.9.5デイリーコラムあのアマゾンがAI技術で自動車の開発やサービス提供をサポート? 急速なAIの進化は自動車開発の現場にどのような変化をもたらし、私たちの移動体験をどう変えていくのか? 日本の自動車メーカーの活用例も交えながら、クルマとAIの未来を考察する。 -
新型「ホンダ・プレリュード」発表イベントの会場から
2025.9.4画像・写真本田技研工業は2025年9月4日、新型「プレリュード」を同年9月5日に発売すると発表した。今回のモデルは6代目にあたり、実に24年ぶりの復活となる。東京・渋谷で行われた発表イベントの様子と車両を写真で紹介する。 -
新型「ホンダ・プレリュード」の登場で思い出す歴代モデルが駆け抜けた姿と時代
2025.9.4デイリーコラム24年ぶりにホンダの2ドアクーペ「プレリュード」が復活。ベテランカーマニアには懐かしく、Z世代には新鮮なその名前は、元祖デートカーの代名詞でもあった。昭和と平成の自動車史に大いなる足跡を残したプレリュードの歴史を振り返る。 -
ホンダ・プレリュード プロトタイプ(FF)【試乗記】
2025.9.4試乗記24年の時を経てついに登場した新型「ホンダ・プレリュード」。「シビック タイプR」のシャシーをショートホイールベース化し、そこに自慢の2リッターハイブリッドシステム「e:HEV」を組み合わせた2ドアクーペの走りを、クローズドコースから報告する。