ジャガーSタイプ 2.5 V6(6AT)【ブリーフテスト】
ジャガーSタイプ 2.5 V6(6AT) 2004.05.28 試乗記 ……580.0万円 総合評価……★★★★ 1998年のデビュー以来、姉妹車「リンカーンLS」と差別化を図るべく、改良を重ねてきた「ジャガーSタイプ」。内外装をリファインしてジャガーネスを高めた新型の「2.5 V6」に、自動車ジャーナリストの生方聡が乗った。
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まさにバリューフォーマネー
食事は好きな物から食べるほうだが、試乗会ではエンジン排気量の小さいモデルから乗るようにしている。いきなり大パワーのモデルに乗って、そのあとがエントリーモデルだったりすると、必要十分な性能を持っていたとしても、物足りなく感じてしまうおそれがあるからだ。
マイナーチェンジした「ジャガーSタイプ」の試乗会でも、「2.5 V6」「3.0 V6」「4.2 V8」と、予定通り“ステップアップ”したのだが、そんな小細工が不要なくらい、2.5リッターのSタイプはよく走る。そして、快適だった。
付言ながら、そのあとに乗った「XJ6」も、XJのよさはそのまま、ノーズの軽さが身のこなしの軽快さにあらわれた、魅力的なクルマに仕上がっていた。
パワーはお金で買うものだが、これらジャガーのエントリーモデルは、ジャガーらしさを堪能するのに十分な性能を持っている。Sタイプ2.5は、まさにバリューフォーマネーのグレードといえるだろう。
【概要】どんなクルマ?
(シリーズ概要)
新しい顧客層を開拓すべく、スポーティ&スタイリッシュなミディアムサルーンとして、1998年にデビュー。「リンカーンLS」とプラットフォームを共用して話題を呼んだが、ジャガーネスが希薄と批判も浴びた。2002年、コンポーネントの約80%を変更、内外装をリファインするビッグマイナーチェンジを敢行。さらに「ジャガー史上もっともスポーティ」と謳う、4.2リッターV8スーパーチャージャー付きユニット「タイプR」を追加するなど、バリエーションを拡大。04年の小変更で、内外装にさらに磨きをかけた。
グレードは4種類。2.5リッターV6(204ps)「2.5 V6」、3リッターV6(243ps)「3.0 V6」、4.2リッターV8(304ps)モデルは、ジャガーの上級グレードに与えられるサブネームを冠した「4.2 V8 Sovereign」、そして4.2リッターV8にインタークーラー付スーパーチャージャーを付加したハイパフォーマンス版「タイプR」が用意される。トランスミッションは電子制御オートマチックの6段に進化したが、おなじみJゲートは健在。駆動はFR(後輪駆動)。
(グレード概要)
Sタイプのエントリーモデルが「2.5 V6」。3リッター以上に標準装備の「プレミアムサウンドシステム」や「HIDパッケージ」(キセノンヘッドランプなどのセット)が省かれる。とはいえ、インテリアはジャガーならではのウッドパネルを採用。前席電動シートやマルチファンクション機能付きステアリングホイール、DVDナビゲーションシステムなど、高級車らしいアイテムが備わる。
【車内&荷室空間】乗ってみると?
(インパネ+装備)……★★★
上質で上品なインストゥルメントパネルは、ジャガーの魅力のひとつである。このSタイプ2.5においても、「マドロナウッド」のパネルと明るい色のレザートリムが、心地よくくつろげる空間の演出に貢献する。シンプルな4連丸形メーターも上品さを高めている。
3.0V6とは、税込み価格で110万円もの差があるから、自動防眩ルームミラーやHIDヘッドランプ、運転席シートメモリー、プレミアムサウンドシステムといった細かい装備が省かれる。とはいえ、DVDナビゲーションシステムが標準装着されるなど、必要な装備はほぼすべて揃う。
(前席)……★★★★
さすがにこのクラスのクルマだけあり、シートはフルレザーで、運転席8ウェイ、助手席6ウェイの電動シートが標準装着される。ソフトな感触のレザーシートは、クッション、シートバックともに、身を委ねても沈み込みがすくなく、しっかりとした座り心地で、サイズもたっぷりしている。ステアリングホイールは、他グレードのようなレザーとウッドの組み合わせではなく、レザーのみ。個人的にはこちらのほうがスポーティで好きだ。コラム横にあるスイッチで、チルトおよびテレスコピックの調整が可能である。
(後席)……★★★★
全長4905mm、ホイールベース2910mmを誇るだけあって、リアの居住空間には余裕がある。フロントシート下に爪先が入らない構造だが、入れるまでもなく、自然でゆったりとしたポジションがとれる。膝前の余裕も十分で、頭上も広い。しかも、ルーフにすっぽり覆われるので、後頭部が直射日光にさらされることもない。横方向の余裕もあり、ときには後席に乗せられてみたいクルマである。
(荷室)……★★★
同クラスのFFサルーンと比べてしまうと、深さが足りない印象のラゲッジスペースだが、奥行き約115cm、幅約75〜120cmとサイズは十分。トランク内のレバーを引けば、リアシートを倒すこともできる。190cm程度の長尺物も飲み込んでしまうのだから、かなりの収納力だ。左右分割可倒式であることも、気が利いている。
【ドライブフィール】運転すると?
(エンジン+トランスミッション)……★★★
直接3リッターと比較すれば、ひとまわりトルクが細いのはたしかだ。しかし、2.5リッターエンジンだけを見れば、十分な性能を持ちあわせている。
全域でフラットなトルクを発生し、3000rpm以下の常用域での加速に不満はない。巡航状態からキックダウンして加速する際は、4000rpm付近で盛り上がりを見せ、圧倒的ではないが余裕のある加速が可能。5500rpmを超えたあたりからやや苦しげな印象で、ノイズも高まるが、全体的には実用的。合格ラインを軽くパスしている。
(乗り心地+ハンドリング)……★★★★
ジャガーならではの、ややソフトで、それでいてフラット感あふれる快適な乗り心地はSタイプでも健在。ただし、試乗車が装着する205/60R16サイズのピレリP7がやや硬い印象で、荒れた路面や段差などではショックを拾うことがあった。
高速での直進性は優れる一方、ワインディングロードでは、ロール初期のスピードがやや早め。回頭性はよく、後輪駆動らしい素直なハンドリングが楽しめる。
(写真=清水健太/2004年5月)
【テストデータ】
報告者:生方聡
テスト日:2004年4月15日
テスト車の形態:広報車
テスト車の年式:2004年型
テスト車の走行距離:--km
タイヤ:(前)205/60R16(後)同じ(いずれもピレリ P7)
オプション装備:--
テスト形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(2):高速道路(5):山岳路(3)
テスト距離:--
使用燃料:--
参考燃費:--

生方 聡
モータージャーナリスト。1964年生まれ。大学卒業後、外資系IT企業に就職したが、クルマに携わる仕事に就く夢が諦めきれず、1992年から『CAR GRAPHIC』記者として、あたらしいキャリアをスタート。現在はフリーのライターとして試乗記やレースリポートなどを寄稿。愛車は「フォルクスワーゲンID.4」。
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