フォルクスワーゲン・ゴルフGTレザーパッケージ(6AT)【ブリーフテスト】
フォルクスワーゲン・ゴルフGTレザーパッケージ(6AT) 2004.05.19 試乗記 ……364万8750円 総合評価……★★★★ クラスを超えて、実用車のスタンダードとなった「フォルクスワーゲン・ゴルフ」。6年ぶりのフルモデルチェンジを受けたニューモデルが、ついに日本上陸! 『webCG』コンテンツエディターのアオキが、5代目ゴルフを試乗した。
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下からの回答
ひとまわり大きな「ゴルフ」。外も内もまごうかたなきゴルフだが、ドライバーズシートに座ると、継承されたイメージと実際の広さとのキャップに、少々とまどう。カタログ数値とはうらはらに、余裕が増した。インテリアのデキは、前回のモデルチェンジ時の、ゴルフIIIからIVへの飛躍的な向上と比較すると足踏み状態。質感の面ではやや後退か。
一方、ドライブフィールは大幅に洗練され、いわゆる“プレミアム”なそれに達した。リアにマルチリンク式独立サスペンションを得て、路面の凹凸をしなやかにいなし、街なかでは乗り心地よく、高速でのスタビリティもいや増した。自ら築いてきたCセグメントの“スタンダード”を、さらに引き上げたことは間違いない。ただ、従来モデルの、どこか垢抜けない武骨さに「ドイツの質実剛健」をみていた向きは、完成度の高さとはうらはらに、一抹の寂しさをおぼえるかも。新型ゴルフは、“上からの”モデルラインナップ拡大を図るプレミアムブランドに対する、大衆車メーカーの“下からの”回答。
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【概要】どんなクルマ?
(シリーズ概要)
2003年のフランクフルトショーでデビューした5代目「ゴルフ」。大きくなったボディ、マルチリンク式の独立懸架になったリアサスペンション、そして直噴エンジンの採用がメイントピック。本国では、1.4リッターからのガソリン、複数のディーゼルユニットとパワーソースの種類は豊富。
(グレード概要)
ゴルフVの日本での販売は、ミニバン「ゴルフトゥーラン」が先行した。大本命たる5ドアハッチバックは、2004年6月9日発売。エンジンは、1.6リッター(116ps)、2リッター(150ps)のいずれも直噴ユニット。トランスミッションはティプトロニック付き6段ATの1種類。ベーシックな1.6リッター「E」、2リッターは「GLi」をベースに、上位車種「GT」がラインナップされる。GTは、フロントフォグ、オートエアコンなどの装備が奢られ、ひとまわり大きな16インチホイールでスポーティに装う。サスペンションも、スポーツサスペンションになる。
テスト車は、さらに豪華な「GTレザーパッケージ」。「フロントスポーツシート(レザー)」「運転席パワーシート」「運転/助手席パワーランバーサポート」「前席シートヒーター」「助手席アンダートレイ」が追加装備される。
【車内&荷室空間】乗ってみると?
(インパネ+装備)……★★★
凝りすぎないデザイン。迷うことのない、シンプルな操作系。黒地に白文字の、そっけないメーター類。ゴルフらしい合理性を5代目も引き継いだ。
センターコンソール、シフターまわりの樹脂類は、質感いまひとつ。インパネまわりのパーツ合わせにも、もう一歩を望みたいところ。もっとも、車内各部に神経質にこだわるヒトは「アウディA3」を買ってくださいということか。
エアコンは、左右別々の温度調整およびインパネ上面中央からの間接送風が可能に。さらに! 肘かけ下のモノ入れ、グローブボックス内のダイヤルを回すことで冷気を導入、それぞれを「クールボックス化」することもできる!! すっかり家庭的になったジャーマン・スタンダード!?
モノ入れは充実。実用的なドアポケット(ペットボトルも差せる)、インパネ右端に小物入れ、トンネルコンソールには、2本分のカップホルダー兼小物入れ、ルーフにはサングラス入れ、そして助手席下にはトレーが備わる。
(前席)……★★★★
レザーのフロントスポーツシートは、やや平板ながら、座り心地はいい。本革仕様ゆえか、ずいぶん、あたりがソフトになった。座面、背面とも、しっかりしたサイドサポートが付き、見かけ以上に体を支えてくれる。スライド式の肘かけは、ある程度足が長いヒトでないと、つまりシートを一定量後ろにセットしないと、肘かけの長さが足りないので肘を載せられない。
ドライバーズシートは電動。ランバーサポートも、上下前後とも位置を調整できる。助手席は、スライド、上下とも手動。背もたれの角度は、相変わらずダイヤルで変えるタイプだ。左右とも、前後のスライド量が大きいのが印象的。
(後席)……★★★★
ボディ拡大の恩恵が顕著なリアシート。着座位置はやや低いが、膝前、頭上ともスペースは十分。センターシートも実用に耐える。新しいリアサスのおかげか、走行時の突き上げもよく抑えられる。
以前は、シートクッションとバックレストの間に埋もれていたISO-FIX対応チャイルドシート用固定アンカーが、新型ではハッキリ見えるようになったので、チャイルドシートの脱着は楽そう。フロアコンソール後端に、エアコン吹き出し口および2本分のカップホルダーあり。
背もたれは6:4の分割可倒式だが、先代のようにシートクッションを前に倒すダブルフォールディング式ではなくなった。つまり、シートバックしか倒れない。
(荷室)……★★★★
リアサスが、かさばりやすい独立懸架になったにもかかわらず、ラゲッジルームのフロア位置は低い。パンク修理材採用で予備タイヤを省いたか、と思ったが、床下にはちゃんとテンパータイヤが収められる。使い勝手のいい、スクエアな形状を維持しているのも立派だ。
床面最大幅106cm、奥行き83cm、パーセルシェルフまでの高さは54cm。12Vの電源ソケットが備わる。ハッチの「VW」マークがオープナーになっているのはご愛敬。
【ドライブフィール】運転すると?
(エンジン+トランスミッション)……★★★★
82.5×92.8mmのボア×ストロークは先代と共通ながら、「ツインカム」「16バルブ」「ダイレクトインジェクション」と、一気にスペックが近代化(?)したオールアルミユニット。150ps、20.4kgmのアウトプットは、従来の2リッターSOHCを大幅に上まわり、1.8リッターターボ(150ps、21.4kgm)に匹敵する。燃費の面でも、先代2リッターモデルと比較すると100kg以上重くなっているにもかかわらず、10・15モードのカタログデータでは11.4km/リッターと、1.4km向上した。
2000rpmも回せば最大トルクの9割を得られるFSIエンジンと新開発6段ATとのマッチングは抜群。「D」レンジに入れたままの街なかドライブで、シフトに関する痛痒感を感じることはない。
バランサーシャフトをもつ4気筒はスムーズで気持ちよく回るが、ことさら劇的な特性は与えられていない。ヒトによっては「パンチが足りない」と思うかも。ノイズの車内への侵入は、“ゴルフにしては”よく抑えられるが、絶対的な静粛性は「平均レベル」と感じた。
(乗り心地+ハンドリング)……★★★★★
5代目に乗ってたまげるのが、乗り心地のよさ。テスト車は、他グレードよりアグレッシブな「205/55R16」のタイヤとスポーツサスペンションが組み合わされるが、乗員に必要以上に“硬さ”を意識させることなく、路面の悪い市街地でもしなやかに足が動き、凹凸に素直に追従する。高速道路でのフラットライドも申し分ない。
大幅に剛性がアップしたボディ(ねじれで15%、曲げで35%、静的には80%以上)を基礎に構築されたハンドリングはすばらしい。ステアリング操作に正直に反応し、「思ったとおりのラインをたどる」という常套句そのもの。ハイスピードでのコーナリングも、不安感なく安定してこなし、限界もわかりやすい。完全にプレミアムな領域に達した。
(写真=峰昌宏/2004年5月)
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【テストデータ】
報告者:webCG青木禎之
テスト日:2004年5月7日
テスト車の形態:広報車
テスト車の年式:2004年型
テスト車の走行距離:2785km
タイヤ:(前)205/55R16 91V/(後)同じ(Michelin ENERGY)
オプション装備:電動スライディングルーフ/マルチメディアステーション(36万2250円)
形態:ロードインプレッション
走行形態:市街地(3):高速道路(6):山岳路(1)
テスト距離:343.7km
使用燃料:35.5リッター
参考燃費:9.7km/リッター

青木 禎之
15年ほど勤めた出版社でリストラに遭い、2010年から強制的にフリーランスに。自ら企画し編集もこなすフォトグラファーとして、女性誌『GOLD』、モノ雑誌『Best Gear』、カメラ誌『デジキャパ!』などに寄稿していましたが、いずれも休刊。諸行無常の響きあり。主に「女性とクルマ」をテーマにした写真を手がけています。『webCG』ではライターとして、山野哲也さんの記事の取りまとめをさせていただいております。感謝。
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