トヨタ・クラウン2.5アスリート(5AT)【ブリーフテスト】
トヨタ・クラウン2.5アスリート(5AT) 2004.04.17 試乗記 ……454万5450円 総合評価……★★★★ 12代目クラウン、当面の主役は、伝統の「ロイヤルサルーン」より、むしろ“スポーティ”を強調する「アスリート」。フルモデルチェンジを果たしたトヨタの主力モデルはどうなのか? 『webCG』コンテンツエディターのアオキが乗った。クラウンというよりも
「世界基準」と「若返り」を旗印に、“ゼロ”クラウンのキャッチフレーズ通り、白紙からつくられた12代目。長らく使われた直列6気筒をついに捨て、新たにV6エンジンを採用、これまた新開発のトランスミッションと組み合わせ、今後のトヨタFR(後輪駆動)モデルの礎となる基本コンポーネンツおよびプラットフォームを完成させた。
テスト車の「2.5アスリート」は、“スポーティ”に振った新型の性格が、素直かつ明快にあらわれたグレード。物理的にも感覚的にも“軽い”6気筒を回してドライブすれば、やや硬めのアシまわりと併せ、いかにも“若やいだ”雰囲気。18インチの“標準”ホイールが違和感ない。もはや「クラウン」というより「アスリート」。わが国セダン市場での“独り勝ち”をも、世代交代したい!?
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【概要】どんなクルマ?
(シリーズ概要)
1955年に初代が誕生したクラウン。いわずとしれた、トヨタの“屋台骨”モデルである。2003年12月22日に発表された12代目は、「静から躍動への変革」を開発テーマに、プラットフォーム、エンジン、パワートレインといった基本コンポーネンツはじめ、すべてが一新された。
車種は、穏やかな「ロイヤル」と、スポーティな「アスリート」に大別される。いずれにも「3リッターV6+6段AT」「2.5リッターV6+5段AT」が用意される。FR(後輪駆動)をベースに、3リッターのロイヤルサルーンにのみ、4WDモデルがラインナップされる。
(グレード概要)
2.5アスリートは、トランスミッションが5段なのが、3リッター版との決定的な違い。そのほか、「前席サイド+カーテンエアバッグ」がオプションとなり、オーディオから“6連奏”が省かれ、「CDプレイヤー+カセット・ラジオ+6スピーカー」となる。
エアバッグ類をオプション装着しようとすると、「マイコンプリセットドライビングポジションシステム」「本革シート」「フロントシートヒーター」「助手席パワーシート」がセットで組まれ、合計28.1万円(!)の出費となる。
【車内&荷室空間】乗ってみると?
(インパネ+装備)……★★★
アスリート専用の「ブラック内装」が与えられたインテリア。「クルーガーV」で初採用された“木目”ならぬ「石目調パネル」の流れをくむ(?)色合いの、ブルーグレーの木目調パネルが自然に溶け込む。インストゥルメントパネル右端に、「プリウス」同様、エンジンをかけるためのスターターボタンを備えるが、こちらも不自然さはない。新しい意匠・機能を、ことさら意識させることなく普及させるところに、トヨタの商品開発の底力を感じさせる。
ただし、空調、オーディオ類ほかのボタンをディスプレイ周辺にズラリと並べたセンターコンソールに、新しいインターフェースへの挑戦は見られない。
(前席)……★★★
アスリートのシートは「スポーツシート」と称されるが、そこはクラウン。落ち着いた外観を保ち、必要十分なホールド性を提供する。座面の前後長は短めだが、座り心地はしっとり、オシリに馴染む。
テスト車は、オプションのレザーシート仕様(前席サイド&カーテンエアバッグなどとのセットオプション:28.1万円!)だった。寒い日にありがたいシートヒーター、サービスに厳しい生活のパートナーへの必需品「助手席パワーシート」も、このオプションに含まれる。
(後席)……★★★★
新型で“若さ”をアピールすれど、基本的にはコンベンショナルな“サルーン”のシルエットを堅持するクラウン。その恩恵が顕著なのがリアシートで、内側への倒れ込みの少ないサイドウィンドウ、頭の後ろまで延びた天井、長くなったホイールベースのおかげで広がった前席との空間、と居住スペースは十分。センターシートにも用意されるヘッドレスト、3点式シートベルトと、安心感も高い。マイナスポイントは、じゃっかん低い着座位置と、スポーツサスゆえの、安楽とはいいがたいリアシートの乗り心地。
(荷室)……★★★
スポーティなルックスをつくるため短くなった(−40mm)リアオーバーハングによって、わずかながら犠牲になったラゲッジルーム。容量は522リッター。これは、格下たる「アベンシス」より2リッター多いだけである。
床面最大幅164cm、左右から張り出すホイールハウス間は78cm。奥行き111cm、高さは46cm。収納した荷物に干渉しない、2本式のダンパーでトランクリッドを支える方式は、ちょっと贅沢。
【ドライブフィール】運転すると?
(エンジン+トランスミッション)……★★★★
北米「フォーランナー(邦名ハイラックスサーフ)」「プラド」用4リッターV6をオリジンとするオールアルミV6。従来の鋳鉄製ストレート6と比較して約40kg軽くなったという。
シリンダーに直接燃料を噴射する直噴エンジンながら、燃費とエミッションの両立のために無理な希薄燃焼を行わなず、理想空燃比付近で燃やす「ストイキD-4」。吸排気双方に可変バルブタイミング機構「VVT-i」をもつDOHC24バルブユニットである。
2000rpmで最大トルクの90%以上を発生するというが、走りはじめに格別「トルキー!」という印象は受けない。一方で、軽快に回り、スロットルレスポンスはいい。“スポーティ”を意識させるには、むしろこの方がいいかも。
5段ATとのマッチングは問題なし。スペック上3リッターモデルより1速少ないのは、エンジンのアウトプットを考慮して、燃費ギアたる6速を落としたため。
(乗り心地+ハンドリング)……★★★
プレス試乗会では、ロイヤルサルーンも「アシ硬め」とメモをした。アスリートは、さらにスプリング、ダンパー、リアスタビライザーを強化した「スポーツサスペンション」が与えられ、扁平率45の薄いタイヤを18インチホイールに巻く。露骨な突き上げは抑えられるが、絶対的にはハード。“安楽な”というフィールは、意図的に切り捨てられた。では、たとえばBMWの「ステアリングホイールを握っているだけで楽しい」フィールがあるかというと、これは疑問。「日本の道における世界基準の“スポーティ”とは?」を探る試みが、しばらくは続くだろう。
ステアリングフィールはシュアで、曖昧さがグッと薄れた。普通に運転するかぎり、優等生的ハンドリング。新採用の電動パワステのデキもいい。5.2mの小さな回転半径も、クラウンの美点のひとつだ。
(写真=高橋信宏)
【テストデータ】
報告者:webCG青木禎之
テスト日:2004年1月16日
テスト車の形態:広報車
テスト車の年式:2003年型
テスト車の走行距離:1061km
タイヤ:(前)225/45R18 91W (後)同じ(いずれもDUNLOP SP Sport2050 )
オプション装備:ムーンルーフ(9万4500円)/前席サイド+カーテンエアバッグ+マイコンプリセットドライビングポジションシステム+本革シート+フロントシートヒーター+助手席パワーシート(29万5050円)/G-BOOK対応インダッシュ6連奏CDプレイヤー+ラジオ+8スピーカー+TV(46万2000円)/ETCユニット(1万8900円)
テスト形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(7):高速道路(3)
テスト距離:--
使用燃料:--
参考燃費:--

青木 禎之
15年ほど勤めた出版社でリストラに遭い、2010年から強制的にフリーランスに。自ら企画し編集もこなすフォトグラファーとして、女性誌『GOLD』、モノ雑誌『Best Gear』、カメラ誌『デジキャパ!』などに寄稿していましたが、いずれも休刊。諸行無常の響きあり。主に「女性とクルマ」をテーマにした写真を手がけています。『webCG』ではライターとして、山野哲也さんの記事の取りまとめをさせていただいております。感謝。
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