トヨタ・クラウン2.5ロイヤルサルーン(5AT)【ブリーフテスト】
トヨタ・クラウン2.5ロイヤルサルーン(5AT) 2004.02.11 試乗記 ……449.7万円 総合評価……★★★★ 世界レベルを目指して生まれ変わった「トヨタ・クラウン」。「2.5ロイヤルサルーン」に乗った、自動車ジャーナリストの笹目二朗は、新型は従来の“ドメスティックサルーン”から脱却したと語る。
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世界的にも高レベル
「クラウンロイヤル」シリーズ、2.5リッターモデルの上級グレード「2.5ロイヤルサルーン」の車両本体価格は340.0万円。これだけでもいい値段だが、テスト車はオプションを含むと449.7万円だった。こうしてみると、国産車といえどもけっして安くはない。輸入車を含めた範囲で、相当イイ買い物ができる額だ。
日本的な事情で特化させた部分がすくなくなり、国際的なレベルで見ても上位に近づいた新型クラウンは、従来のドメスティックサルーンから脱却し、新たなステージに立ったといえる。
今回試乗してみて、項目評価では相応の高得点をつけたものの、総合評価点はやや控えめにした。クルマとしての性能を玉成させる余地が、まだ残っていると考えたのがその理由だ。しかも、それは2.5リッターエンジンを3リッターにすればいい、という単純なことではない。エンジン単体で見れば2.5の方がお勧めであり、価格まで考慮すれば尚更である。
「エンジン排気量にまつわる高級感」は、今後追加されるであろう、V8を積む「マジェスタ」にあたる上級モデルに任される。V6搭載のクラウンに求めたいのは、乗り心地面での高級感である。もうすこし高級な乗り心地を実現するためには、繊細な感覚が必要だ。操縦安定性の面では、一層のソリッド感と、フリクションの減少による精度の追求が考えられる。
【概要】どんなクルマ?
(シリーズ概要)
トヨタの象徴モデルであり、同社を代表する高級サルーン「クラウン」。2003年12月にフルモデルチェンジした12代目は「ZERO CROWN」をキャッチフレーズに、プラットフォームやエンジン、トランスミッションなど、主要コンポーネントを一新。「静から躍動への変革」を掲げて、走行性能の向上や、スポーティなスタイリングが与えられた。
ラインナップは、4ドアサルーン「ロイヤル」シリーズと、スポーティな「アスリート」の2種類。エンジンは、3リッターと2.5リッターの2種類で、長らく使われた直列6気筒からV型6気筒の直噴ユニットに変更された。3リッターが最高出力256ps/6200rpm、最大トルク32.0kgm/3600rpmを発生。2.5リッターは、同215ps/6400rpmと、26.5kgm/3800rpmのアウトプットを誇る。トランスミッションは、2.5リッターに5段、3リッターにはシーケンシャルモード付き6段ATが組み合わされる。駆動方式はFRを基本に、3リッターにのみ4WDが設定される。
(グレード概要)
クラウンロイヤルシリーズのグレードは、2.5リッターが「ロイヤルエクストラ」と「ロイヤルサルーン」、3リッターは「ロイヤルサルーン」と「ロイヤルサルーンG」で構成される。
「2.5ロイヤルサルーン」は、2.5リッターの上級グレード。ベーシックな「エクストラ」のシート生地はダブルラッセルだが、ロイヤルサルーンは手触りの柔らかいジャガード織物。装備面では、持っているだけで開施錠が可能な「スマートエントリーキー」や、運転席8Way電動調節シート、リアアームレストのエアコン&オーディオスイッチが備わる。標準装備品より、オプション設定の有無が多いのもジマン。
【車内&荷室空間】乗ってみると?
(インパネ+装備)……★★★★★
クラウンはトヨタの象徴であり、実力的にもトップレベルに君臨する。木目パネルの造りも内装全体のフィニッシュも、国内・国外を問わず量産車の最高レベルだ。デザイン的にも厭味のない豪華さが表現されている。装備は標準車で省かれていてもオプションで選べるから、実質的にはお金さえ払えば、考えうる装備が何でも揃う。ナビゲーションシステムの使いやすさに代表されるごとく、内容もよく考えられている。
(前席)……★★★★★
サイズはたっぷりめで形状もよく、座り心地は良好。各種調整機構も完備している。ランバーサポートは調整幅も広くて好ましい。手に届く範囲の各コントロール類も、おおむね不満なし。2.5リッターは5段ATとなるが、ジグザグゲートの「P-R-N-D-4-3-2-L」もポジションがわかりやすい。フェンダーの稜線がちょっと見えるアイポイントも車幅をつかみやすく、前方の眺めも良好だ。
(後席)……★★★★★
リアシートこそクラウンの一等席。肩まですっぽり納まって、適度にソフトな背面に上体を預けていると、睡魔に誘われるほど快適だ。ヘッドレストは高さ調整あるが、やや遠いのが残念である。
テスト車には、エアコンの冷気を使うクールボックスやリクライニング機構(メーカーオプション)も備わり、まさにいたれりつくせりである。前席下に足先は入るが、もうすこし広くてもいい。ドア開口部も広く、敷居の高さや鴨居の低さもそれほど気にならない。スモークのプライバシーガラスも全車標準。
(荷室)……★★★
ラゲージスペースの容量は522リッターで、旧型とほぼ同等。外から見た目ほど大きくはないが、日本的な事情で、実際にはゴルフセットが3名分も積めれば上々か。リッドはパンパー高さから開くので使いやすく、ヒンジは外に出ているので荷物に干渉することはない。ボディからトランク蓋に伸びた太い紐は、後部監視カメラの配線だろうか。高級車なのだから、できれば隠してほしかった。
【ドライブフィール】運転すると?
(エンジン+トランスミッション)……★★★★
新開発の直噴V6エンジンは、最初から完成度が高い。低回転からトルクがあり、なおかつリミット付近の高回転域も滑らかにまわるうえ、パンチもある。3リッターにも試乗したが、アウトプットの大小はともかく、2.5の方がやはり軽く滑らかにまわる。
2.5リッターに組み合わされる5ATと、3リッター版6ATとの差は、6速のオーバードライブレシオが追加されただけで、下位のステップアップ比は同じ(ファイナルは異なる)。動力性能の絶対値も満足できるし、まわして気持ちよいエンジンと洗練されたATにより、3リッターよりお買い得だと思った。
(乗り心地+ハンドリング)……★★★★
同クラスの欧州車にかなり近づいた。電動パワーステアリングは、タウンスピードでの操舵力がすこし重めで、かつフリクションが気になる。路面からの入力に対するパワステのアシスト反応が過敏なのか、高速走行では左右に細かく振られ、直進性がやや不自然なところもある。とはいえ、全体では高いレベルにあるといえよう。
乗り心地は、やはりNVH(ノイズ・バイブレーション・ハーシュネス)の処理が巧い(2.5用の215/60R16タイヤがベスト)。ただし、重箱の隅をつつけば、サスペンションアームの短さに起因してダンピングが速めで、目地段差を通過した際など、ヒョコヒョコした安っぽい収束をするのが難。高級車らしいゆったり感が欲しい。
(写真=荒川正幸)
【テストデータ】
報告者:笹目二朗
テスト日:2004年1月23日
テスト車の形態:広報車
テスト車の年式:2004年型
テスト車の走行距離:2100km
タイヤ:(前)215/60R16 (後)同じ(いずれもTOYO PROXES J33)
オプション装備:スペアタイヤ(4.6万円)/マイコン制御チルト&スライド電動ムーンルーフ(9.0万円)/音声ガイダンス付きカラーバックガイドモニター&クリアランスソナー(8.7万円)/電動リアサンシェード(3.0万円)/マイコンプリセットドライビングポジションシステム(助手席4Wayマルチアジャスタブルパワーシート+4:2:4リア分割パワーシート+リアオートエアコン=27.6万円)/SRSサイド&カーテンシールドエアバッグ(6.0万円)/ETCユニット(1.8万円)/クラウンスーパーライブサウンドシステム(G-BOOK対応DVDボイスナビゲーション付きEMV+インダッシュ6連奏CDチェンジャー&カセット・ラジオ+8スピーカー+TVアンテナ=44.0万円)/ボディカラー・プレミアムシルバーパール(5.0万円)
テスト形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(2):高速道路(5):山岳路(3)
テスト距離:493.1km
使用燃料:51.5リッター
参考燃費:9.5km/リッター

笹目 二朗
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