第57回:緊急アメリカ取材!虎之介は速い……しかしナゼ勝てないのか?
2003.08.12 小沢コージの勢いまかせ!第57回:緊急アメリカ取材!虎之介は速い……しかしナゼ勝てないのか?
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■虎之介選手の謎
実は7月、とある海外試乗のついでに、アメリカはテネシー州のナッシュヴィル・スーパースピードウェイでインディカーレースを堪能してきた。
最大の関心事は、“トラ”こと高木虎之介選手。別に本格的インタビューを敢行したわけではないが、「最近、トラがなぜ速いのか?」「しかしなぜ、なかなか勝てないのか?」がすこしだけ見えてきた。ちょこっと遅くなったが、ご報告しよう。
謎の一端を解き明かしてくれたのは、トラ専属のマネージャー、有松義紀さん。基本的に、虎之介選手とず〜っと一緒にアメリカをまわっている方だ。
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■テクニックはスゴイ
第一の質問「なぜ虎之介が予選で上位に食い込めるのか?」。
実際、このナッシュヴィルまでに予選3位を4回も達成している。2002年までと較べて明らかに調子がいい。オーヴァルを走るコツでもつかんだのだろうか。
有松さんはいう。
「簡単にいうと、トラはほかのドライバーに較べて圧倒的にドリフトがうまい。というか、現在のインディシリーズで、あのマシンをドリフトコントロールできるのは、トラとスコット・ディクソンぐらいしかいない。“限界”まで使えるから速いんです」。つまり“テクニックが一枚上手”だと。カッチョいい話ではないですか。
さらに話しは続く。「それから、いま使ってる「Gフォース」シャシー(8月10日のマディソンからは「ダッラーラ」に変更)との相性ですね。Gフォースは全体的に、ダウンフォースがすくない。逆に、大多数が使うダッラーラはダウンフォースがキツく、その分安定している。要するに、G フォースシャシーはダッラーラに較べて、“限界ギリギリ”でセッティングできるのですが、滑りやすくてコントロールが難しい。そして乗りこなせるのが、トラとディクソンぐらいしかいないと。そういうことです」。
うーむ、予選で速いのは納得である。
■さすがのトラも……
しかし、なぜそれでいて決勝はうまくいかないのか?
「それは簡単です。レースは単独で走れる予選と違って、ドラフティング(スリップストリーム)も発生するし、ギリギリのセッティングじゃ危なくて走れない。ちょっとでも前のクルマに近づいたら、ハンドリング特性が変わっちゃいますからね。さすがのトラも常に限界では走れないし、Gフォースの繊細な部分が出てしまうんです」。というワケだ。
さらに、今回の取材で知り合ったトヨタ関係者は、こう付け加えた。
「コースとの相性ですね。G フォースはショートオーヴァル(1周あたり1〜1.5マイル程度のオーヴァル)に適しているんですが、それに加えて気温や、路面状況などがそろわないと威力を発揮しない。ダウンフォースひとつとっても、夜と昼とじゃ空気の密度が全く違うし、ダメなときはダメですから。気温状態がそろっていて、コースレイアウト、路面の状態までもがGフォースに合ってる時にしか、勝つチャンスはないでしょう」。
奥が深い。ちなみに、ねらい目のコースは「セントルイス」だそうな。
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■チームの実力は保証済み
ドライビングの腕はもちろん、それ以上にオーヴァルのレースはセッティングが勝負。ピットクルーが刻々と変わる気温、路面状態を読んで、いかにドンピシャのセッティングを出せるかがポイントである。一見、ガソリン補給とタイヤ交換をアセってしてるぐらいにしか見えないピットインだが、実は前後タイヤの空気圧を微妙に変えて、アンダー・オーバーのセッティングをあわせてるんだそうだ。
その点、今のモー・ナン・レーシングはトラともかなり息が合ってきてるみたい。実際、ミシガンのレースじゃスポット参戦の相棒が優勝しちゃったから、チームの実力は保証済みだもんね。ホントは、トラに勝って欲しいトコだったけど……。
でも、チャンスは十分あることがわかったし、あとは慣れと運と粘りでしょうか。最近、シャシーがダッラーラに替わっちゃったってとこがちょっと不安だけど、俺は期待してるぜ。虎之介クン!
(文=小沢コージ/2003年8月)

小沢 コージ
神奈川県横浜市出身。某私立大学を卒業し、某自動車メーカーに就職。半年後に辞め、自動車専門誌『NAVI』の編集部員を経て、現在フリーの自動車ジャーナリストとして活躍中。ロンドン五輪で好成績をあげた「トビウオジャパン」27人が語る『つながる心 ひとりじゃない、チームだから戦えた』(集英社)に携わる。 YouTubeチャンネル『小沢コージのKozziTV』
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