フォード・エクスプローラー センテニアルエディション(5AT)【試乗記】
200人のシティ派に 2003.08.01 試乗記 フォード・エクスプローラー センテニアルエディション(5AT) ……480.0万円 「マスタング」とともにリリースされた、フォードモーターカンパニーの創業100周年記念モデル「エクスプローラー センテニアルエディション」。クリアコートのブラックモデルが、東京生まれの『webCG』記者に、意外な感想を抱かせた。フォードモーターカンパニー100周年!
米フォードモーターカンパニーが、2003年に創業100周年(!)を迎えた。いうまでもなく、創始者のヘンリー・フォード1世は、自動車の組み立てに、ベルトコンベアによる流れ作業「コンベア・システム」を導入するなどして、世界で初めて自動車を量産化、低コスト&低価格を実現し、クルマをお金持ちの“贅沢品”から、誰でも手に入れられる“生活必需品”にした人である。
本国ではフォードのお膝元デトロイトで、6月12日から5日間、フォード100周年を祝う記念イベントが開催され、大いに盛り上がったという。イベント報告は、『webCG』エグゼクティブディレクターの大川悠によるレポート(http://www.webcg.net/WEBCG/webcg_news/ford_focus/nichijo/14.html)をご覧ください。
そしてここ日本でも、“フォード100歳”を記念した限定車が発売された。北米市場で最も販売されたSUVである「エクスプローラー」と、アメリカンスペシャルティの「マスタング」に設定された、「センテニアルエディション」(centennial=100年目の、100年祭などの意)がそれである。発売日は、ピッタリ100周年目にあたる2003年6月16日から。エクスプローラーが限定200台、マスタングは世界限定2500台で、日本ではクーペとコンバーチブル合わせて70台が販売される。
ボディーカラーに“フォード哲学”
フォード100周年を祝うクルマとして、SUVのエクスプローラーはピッタリだと思う。“転倒問題”で一時揺れたことはあったが、1993年のデビュー以来、北米におけるSUV、トップセールスの座をあけ渡したことはない。2代目となったいまも、年間40万台以上を販売するフォードの屋台骨の一本だ。
現行モデルは2001年に登場、日本には同年10月から導入された。3列シートの採用、足まわりが前後ダブルウィッシュボーンの独立式サスペンションになるなど、“乗用SUV”の性格が強められた。
03年3月にマイナーチェンジを受け、セカンドシート中央のシートベルトが2点式から3点式になるなど、安全装備を追加。タイヤは、オールシーズンの16インチから、オールテレーンの17インチに変更された。
センテニアルエディションには、当然、フォードの100周年にちなんだ特別装備が付与される。たとえば、ボディカラーは、クリアコートのブラックのみ。これはT型フォードの多くに採用された色だ。
光エネルギーをよく吸収するからだろう。T型を生産していた当時、ブラックボディは乾燥用に使われるニスの乾きがもっとも早く、生産効率が高かったという。
自動車王ヘンリーは、自身満々「色ならなんでもあるさ。黒ならね」とうそぶいて、結果的に、シボレーに一泡吹かされるわけだが……。
それはともかく、「“低コスト&価格でよいクルマを”というフォードの信念、哲学を反映した色を纏う」と謳われる、黒く巨大なSUVの姿は威風堂々。クロームメッキのフロントグリル&ルーフレールとのコントラストがカッコイイし、都会の風景にもよく似合う。東京っ子のリポーターとしては、泥臭い(?)標準のツートーンカラーよりずっと好ましく思えた。エクステリアではほかに、センテニアルエディション専用デザインの17インチアルミホイールを装着。100周年記念オーナメントが、フロントドアとリアゲートに配される。
“意外”の連続
エクスプローラー、実車を目にすると本当に大きかった。1805mmの車高が“デカさ”を実感させ、1880mmの幅は、道路事情の悪い東京(日本か?)での運転に不安を覚えさせる。さらに、大きい=重いという事実により、アメ車の「曲がらない止まらない」イメージが、頭のなかで膨らんだ。
しかし、乗ってしまうと、(出生を思えば当然だが)トラックみたいに視点が高いだけ。高台からあたりを睥睨するのは、「バカと煙は……」といわれても気分がイイものである。心配した全幅も、東京のいたるところに、Sクラス(全幅1855mm)、7シリーズ(1900mm)、セルシオ(1830mm)が走っていることを思えば、そう大したことではない、予感。
インテリアは、淡いベージュとグレー。100周年を記念したエンブレムがヘッドレストにエンボス加工される、ツートーンの専用レザーシートは当たりが柔らかで心地よい。エアコンやオーディオ、クルーズコントロールのスイッチが集約されたステアリングホイールが、アメリカ人のハイテク好き(自動化好きか)を想像させた。
予感がそれほど的はずれでなかったことは、混雑する街へ出て確認できた。それなりに気は遣うが、四角いボンネットのおかげで見切りは悪くない。ステアリングの切れ角が大きいため、取りまわしがかなりイイことにも救われた。カタログ上の最小回転半径は5.8m。FF(前輪駆動)の大型ミニバンと、それほど変わらない数字だ。モノは試しに、5m弱の狭い私道から直角に入る、いつもはレガシィB4が停まる自宅駐車場に入れてみたが、切り返すことなく入ったのには驚かされた。
パワフルなエンジンと5段ATによる走りは、スムーズなことに加えて、絶対的にもかなり速い。タイヤが「245/65R17」と大きいせいか、目地段差ではドタっと重い突き上げを感じるが、乗り心地はほぼフラット。レーンチェンジなどでフラつくそぶりも見せず、結構なペースで走れる。車重は2トンを超えるが、ブレーキの利きが想像を超えて素晴らしかったことが、リポーターとしては一番“意外”だった。
試乗車を返却するため、フォードジャパンのあるビルエントランスに着けた。ビルの谷間で眺める、黒のエクスプローラーはイイ。“清貧”タイプTへのオマージュカラーが、エクスプローラーから汗と埃のニオイを消したのがイイ。200人のシティ派に、お勧め。
(文=webCGオオサワ/写真=峰昌宏/2003年7月)

大澤 俊博
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