「チョークって何ですか?」
2003.06.13 クルマ生活Q&A エンジン「チョークって何ですか?」
はじめまして。質問します。すこし前に、「ルノー5GL」というクルマを大変気に入って購入しました。このクルマには、手動のチョークが付いています。が、使い方がよくわかりません。最近はよいのですが、寒い朝などは、うまく調節しないとなかなかエンジンがかけられませんでした。上手な使い方を教えてください。(SRさん)
お答えします。「チョーク」とは、キャブレター仕様のクルマに取り付けられている装置で、混合気(ガソリンと空気)を濃くして、冷えたエンジンの始動性をよくするためのものです。
通常は、チョークレバーを引いて、キーを捻ってスターターモーターを回せばいいのです。このとき、アクセルペダルは踏みません。そのままではかかりにくかったエンジンが、ちゃんとかかるはずです。
エンジンが回り始めてからいつまでもチョークレバーを引いたままにしておくと、濃い混合気が入りすぎて、燃焼状態が悪くなります。「アイドリングが落ち着いてきたな」と思ったら、元に戻してください。
僕の場合、エンジンを始動する前、つまりキーを捻る前に、まず目一杯チョークを引いてから「5分の1程度」戻します。冷えているときに完全にチョークを引いてしまうと、空気を吸い込みにくくなり、スターターモーターの回転が遅くなるので、バッテリーや電気系に負担がかかって始動性が悪くなります。ですから、すこし戻すことによって、空気を吸いやすくしてスターターモーターの負担を軽減するのです。
エンジンがかかったら、10〜30秒ぐらいそのままにして安定させます。このときにエンジン回転が異常に上がるようであれば、チョークをすこし戻し、回転を抑えます。戻してもエンジンが止まりそうもなければ、完全に戻します。戻すとアイドリングが安定しないなら、再びすこしチョークを引いて調整するわけです。
ただクルマもエンジンも、古くなると、チョークを引いてエンジンをかけても、なかなか回転が安定しません。そんな場合は、チョークを引いたままアクセルペダルを多少踏み込んで、エンジン回転をすこし上げたところで一定に保ちます。そして徐々にチョークレバーを戻します。アイドリングが安定するまで、アクセルでコントロールするといいでしょう。

松本 英雄
自動車テクノロジーライター。1992年~97年に当時のチームいすゞ(いすゞ自動車のワークスラリーチーム)テクニカル部門のアドバイザーとして、パリ・ダカール参加用車両の開発、製作にたずさわる。著書に『カー機能障害は治る』『通のツール箱』『クルマが長持ちする7つの習慣』(二玄社)がある。