トヨタ・ランドクルーザープラド 5ドア 2700ガソリン TX(4AT)【ブリーフテスト】
トヨタ・ランドクルーザープラド 5ドア 2700ガソリン TX(4AT) 2003.05.13 試乗記 ……347.2万円 総合評価……★★★
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隠せぬ素性
いまでこそ姉妹車となったトヨタのクロカン「ランドクルーザープラド」と「ハイラックスサーフ」だが、かたやジープ系、こなたトラックが先祖と、出自が違う。乗り比べると、まじめで本格派のプラド、アッケラカンとイージーなサーフと、意外なほど印象が異なる。
頑固に「ラダーフレーム」「リジッド(車軸式)のリアサス」を守る両者だが、乗り心地は望外にいい。フレームボディの、上屋がユラユラ、腰下と別の振幅で揺れる、といったフィールは過去のもの。「ハンドリング」という評価尺を、なんら躊躇なく当てられるのが、いかにも当代の4WDだ。
がしかし、“ヘビディティ”の本質を捨てないプラドのマイナスポイントは、動力性能より、むしろ居住性。高いフロアゆえ、思いのほか上下に余裕を感じられない室内は、乗用車ベースのモノコック四駆(風)に慣れた消費者には理解しがたいものだろう。前席はともかく、セカンドシートは期待したほどリラックスできず、さらに左右跳ね上げ式のサードシートに座らされた乗員の頭に浮かぶのは、“軍用”の二文字。8人乗りのカタログスペックから、「ミニバンがわりになるかしら?」とは、決して考えない方がイイ。マイルドにはなったが、素性は隠せない。
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【概要】どんなクルマ?
(シリーズ概要)
2002年10月7日に発表された3代目「ランドクルーザー プラド」。先代同様、エンジンやフレームを「ハイラックス サーフ」と共用、依然として頑強なラダーフレームをもつ。ちなみに、サーフは4代目となる。“高級&上質”かつヨーロピアンなプラド、“若者向け”でアメリカンなサーフとキャラクターが分けられる。ボディは、プラドには5ドアほか3ドアが設定されるが、サーフは5ドアモデルのみ。5人乗りのサーフに対し、プラドはサイドへの跳ね上げ式サードシートをもつ8人乗りがラインナップされるのも大きな特徴。
クルマのキャラクターに合わせて駆動方式もじゃっかん異なり、「2WD-4WD」をコンベンショナルにスイッチで切り替えるサーフに対し、プラドはフルタイム4WDを採る
エンジンは、2.7リッター直4DOHC16バルブ(150ps/4800rpm、24.0kgm/4000rpm)と、3.4リッターV6DOHC24バルブ(185ps/4800rpm、30.0kgm/3600rpm)のガソリンエンジンに加え、コモンレール式ディーゼルの3リッター直4DOHCターボ・インタークーラー付き(170ps/3400rpm、35.9kgm/1400〜3400rpm)の3種類が用意される。トランスミッションはすべて4段AT。
(グレード概要)
3ドアはベーシックな「RX」と上級版「RZ」、5ドアは同様に「TX」「TZ」本革内装の豪華バージョン「TZ Gセレクション」が用意される。テスト車のTXは、電制トラクションコントロールやリアLSDを省いた中堅モデル。シート地はモケットとなる。
【車内&荷室空間】乗ってみると?
(インパネ+装備)……★★★
姉妹車「ハイラックスサーフ」と比較すると、グッと大人しく、コンベンショナルなインパネまわり。質感はほどほど。大きなメーター、スイッチ類と、使い勝手はいい。センターコンソール上部に配置されたディスプレイには、ナビゲーション関係と「エアコン」「オーディオ」など、使用頻度が多い機能に専用スイッチが割り当てられ、選択後、タッチパネルで機能を完結させる。すくなくともビギナーには取っつきやすく、ありがたいインターフェースだ。
(前席)……★★★
運転席は、シート全体の上下をレバーで、座面の角度をダイヤルで調整できる。座り心地は、腰がなく、平板。“クロカン”と考えると妥当なところかもしれないが、長距離では疲れがち。助手席との間にある大きなモノ入れは、たとえばコンビニのビニール袋を入れておけば、ロングドライブ中のゴミ箱がわりに使えて、便利。実際にそうした。
(2列目)……★★
ボディサイズを考えると、意外なほど居心地の悪いセカンドシート。膝前、頭上スペースは確保されるのだが、シートクッションの前後長が短いため、体圧の分散がいまひとつ。長時間座るのはツラい。背もたれは分割可倒式、かつ畳んだシートごと前方に跳ね上げて広大なラゲッジスペースをつくれる。その反面、セカンドシート乗員のためにスライドできないのは不満。センターシートにも3点式シートとヘッドレストが備わるのは、“3列シートのピープルムーバー”としての使われ方をじゅうぶん配慮した結果と思われるのだが……。
(3列目)……★
一応イスのカタチはしているが、実際には膝を折り曲げた“体育座り”を強いられるサードシート。セカンドシートをシートごと前に跳ね上げれば、3列目もシートとして使えるが……。オソロシイことに(!?)3人がけが想定される。車軸上のため、走行中は突き上げがキツい。リクライニングするバックレスト、しっかり上部に伸びるヘッドレストが良心的といえば、良心的。
一方で、センターのヘッドレストは、背面のファスナーを開けて、バックレストのなかに収納することができる、とか、左右に跳ね上げたときにシートを留めるストラップがジャマになりにくいよう、折り畳み式の足を畳むとはじめてストラップが必要な長さになるなど、不思議に細かい配慮がなされる。
(荷室)……★★
サードシートを出していると、床面最大幅132cm、はともかく、奥行きわずかに30cmと絶望的なラゲッジルーム。しかし、サードシートは分割可倒式なので、必要に応じて順次スペースを拡大できる。奥行きも、3列目のシートバックを倒し、セカンドシートを折り畳んで前方に跳ね上げれば、2m前後のモノまで搭載可能だ。4人乗りを常態とすれば、まずまず及第点。
【ドライブフィール】運転すると?
(エンジン+トランスミッション)……★★★
本格クロカンにはお門違いな(?)、一気に長距離を走るロングツアラー的な使い方では、非力さを感じる場面も。乗員こみで2トン超のボディを150psで運搬するわけだが、アンダーパワーというより、ペダル操作に対する不感帯(??)が大きいのが気になる。スロットルを踏み込んでも、加速してくれない部分が広いのだ。もっとも、この手の本格クロカンは、「ある程度ダルにつくっておくのが常道」とのハナシも聞くが……。
新型プラドは、センターにトルセンLSDを配したフルタイム4WDシステムを採用、通常は「前:後=4:6」に駆動力が配分される。本格ヨンクらしく副変速機を備え、センターデフをロックした「LL」、そのハイモード「HL」、そしてノーマル走行の「H」を選択できる。
(乗り心地+ハンドリング)……★★★
フレームから新開発したニュープラットフォームの霊験あらたか。モノコックSUVに負けない乗り心地のよさとハンドリングを実現した。トヨタ開発陣の底力、と同時に、「ラダーフレーム+リジッドサス」モデルの開発を推進できる、企業としての余力を見せつけた。最上級グレードには、エアスプリングを用いたセミアクティブサスが搭載されるが、テスト車はコンベンショナルなコイルバネの足まわり。
ステアリングフィールは自然で、正確。乗用車系SUVに匹敵するハンドリングを誇るニュープラドだが、試乗したクルマは、スタッドレスタイヤを履いていたため、手応えに多少の曖昧さを感じさせた。
(写真=峰 昌宏)
【テストデータ】
報告者:webCG青木禎之
テスト日:2003年4月13-14日
テスト車の形態:広報車
テスト車の年式:2002年型
テスト車の走行距離:7400km
タイヤ:(前)265/65R17 112Q(後)同じ(いずれもブリヂストンBlizak PM-Z3)
オプション装備:前席サイド+カーテンエアバッグ(8.0万円)/プラド・スーパーライブサウンドシステム(DVDボイスナビゲーション+MD+ラジオ+6連奏CD+テレビ+9スピーカー)+カラーバックガイドモニター(音声ガイド付き))=46.2万円
テスト形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(2):高速道路(7):山岳路(1)
テスト距離:950.9km
使用燃料:133.2リッター
参考燃費:7.1km/リッター

青木 禎之
15年ほど勤めた出版社でリストラに遭い、2010年から強制的にフリーランスに。自ら企画し編集もこなすフォトグラファーとして、女性誌『GOLD』、モノ雑誌『Best Gear』、カメラ誌『デジキャパ!』などに寄稿していましたが、いずれも休刊。諸行無常の響きあり。主に「女性とクルマ」をテーマにした写真を手がけています。『webCG』ではライターとして、山野哲也さんの記事の取りまとめをさせていただいております。感謝。
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