スバル・レガシィツーリングワゴンGT-B“S-edition”(4AT)【試乗記】
本物志向 2003.02.26 試乗記 スバル・レガシィツーリングワゴンGT-B“S-edition”(4AT) ……332.8万円 “スポーツワゴン”の代名詞となった「レガシィツーリングワゴン」。その最もスポーティなグレード「GT-B E-tuneII」を、さらに磨いたモデル“S-edition”が登場した。ビルシュタイン製ダンパー、対向4ピストンブレーキキャリパー、そしてクイックになったステアリングをもつニューグレードに、『CG』編集局長阪和明が乗った。マニア泣かせの充実スペック
家族で遠出するときに、いわゆる“ミニバン”を使うひとが多いのではないだろうか。ミニバンはたしかに多くの人が乗れ、荷物をたくさん積めるだけの空間はある。けれど、運転する身になってRVを選ぶなら、セダンから派生したステーションワゴンがイイ。運転における気持ちよさは明らかにミニバンより上だし、適度な速さを求めるのなら絶対にステーションワゴンである。しかも、それがスポーティな性格を備えていて、リーズナブルな価格で手に入るなら理想的。「レガシィ・ツーリングワゴン」は、個人的に理想に近いRVの1台だと信じている。
今回紹介するレガシィ・ツーリングワゴンは、「GT-B “S-edition”」と呼ばれる特別仕様車。なにが特別なのかというと、走り屋御用達とまではいわないまでも、ファン・トゥ・ドライブを望むドライバーを熱くさせるだけの“スパイス”を効かせた点だ。
特別仕様車のベースとなったのは、ビルシュタイン製ダンパーを備えるなど、スポーティに仕立てられた「GT-B E-tuneII」。走行性能、運動性能をさらに高めるべく、フロントブレーキには対向4ピストンキャリパー、前デフにはヘリカルLSD(MT車)が奢られる。さらに、ラック&ピニオンのステアリングのギア比が、従来の16.5から15.0に速められた。つまり、元々スポーティなクルマのスポーツ志向をより強めたのが“S-edition”なのだ。加えてアルミパッド付きのペダル類、ダークグレイのヘッドライトベゼル(ノーマルはブラック)、MDプレーヤー&6連装CDチェンジャー一体オーディオを採用するなど、独自の装備をまとうのも特徴である。
懐の深さ
試乗車は4段ATモデルだったが、走り出しての印象は「とにかくよく走る!」ということ。2リッター・2ステージターボの水平対向4気筒「EJ20」ユニットはスムーズに吹け上がり、260psのパワーは伊達じゃない。鋭い加速を見せる。そのうえ低中速域でのトルクが申し分ないので、街なかでもエンジンは扱いやすくて気分がいい。4000rpmを超えるあたりから聞こえる独特のボクサーサウンドも、耳触りどころか「スバルらしいBGM」と、心がなごむ。
クイックレシオのステアリングやピシッと締め上げられたサスペンションのおかげで、常用域でも操縦性は俊敏だ。ハンドリングのレベルも高く、高速道路でも箱根のようなワインディングロードを舞台にしても、安心して飛ばせる“懐の深さ”を実感できるのがよい。4ピストンキャリパーがもたらす強力なストッピングパワーも、オンザレール感覚で山道を駆け抜けるための大きな武器になる。長い間培われ熟成の域に達した感のある4WDシステムもまた、スポーツドライビングに彩りを添えている。
![]() |
あくまで硬派向け
唯一の欠点というか、最後まで馴染めなかったのが乗り心地だ。とくに低速で硬いのだ。突起を通過する際、路面からの突き上げはかなり不快な部類に入るだけでなく、60km/hほどでは路面の細かな振動が絶えず伝わってくる。一昔前のドイツ車のようにひとたび鞭を入れスピードを上げれば、それまでの硬さがとれて、じつにしっくりとしたフラットな乗り心地に変化していくものの、普段の生活のなかではいささか硬すぎだ。
とはいえ、総じてレガシィ・ツーリングワゴン“S-edition”が、なかなかの実力の持ち主であることは否定しない。低速での乗り心地の悪さに目をつむれるくらい、ハイペースで走らせれば楽しいこと請け合いだ。まさに本物志向のスポーツワゴン。ドライビングに硬派な向きには、断然お薦めの1台である。
(文=CG阪和明/写真=CG荒川正幸/2003年1月)

阪 和明
-
トヨタbZ4XツーリングZ(4WD)【試乗記】 2026.8.29 「トヨタbZ4X」にワゴンのようなロングボディーを持つ「ツーリング」が登場。ただ長くなっただけではなく、今回試した4WDモデルではパワーもアップ。乗り味にも微妙な影響を及ぼしているから見逃せない。経路充電を試しつつ、370km余りをドライブした。
-
BMW 120オリジナル(FF/7AT)【試乗記】 2026.8.25 BMWの主要モデルに新グレードの「オリジナル」が設定された。位置づけとしては新たなエントリーグレードということになるが、BMWらしさを損なうことなく装備を厳選し、価格を抑えたのがポイントだという。「1シリーズ」の「120オリジナル」の仕上がりをリポートする。
-
トライアンフ・スラクストン400(6MT)【レビュー】 2026.8.25 カフェレーサーの本場である、イギリスのトライアンフがリリースした「スラクストン400」。車名のとおり、カジュアルに楽しめる400ccクラスのマシンではあるのだが、その実物からは、エントリーモデルとは思えない本物の香りが漂っていた。
-
スズキeスカイ プロトタイプ(FWD)【試乗記】 2026.8.24 スズキが満を持して世に問う、軽規格の新型電気自動車「eスカイ」。軽乗用車の本質である、生活の足としてのちょうどよい性能を追求したという一台は、どのようなクルマに仕上がっているのか? 2026年秋の正式発表を前に、プロトタイプモデルに試乗した。
-
DS N°8エトワールAWD(4WD) 2026.8.22 DSオートモビルから登場した、新時代の旗艦モデル「N°8」。完全新設計のシャシーにアクティブサスペンションを組み合わせた電気自動車(BEV)は、往年の“ハイドロ”を思わせる乗り味と人車一体の走りを備えた、稀有(けう)なサルーンに仕上がっていた。
-
NEW
スポーツカーに未来はあるか?
2026.9.1あの多田哲哉のクルマQ&A年々、開発環境が厳しくなるといわれるスポーツカーは、この先も存在しうるのか? トヨタのエンジニアとしてさまざまなスポーツカーを開発してきた多田哲哉さんに“未来のスポーツカー像”を聞いた。 -
NEW
トヨタGRヤリスRZ“ハイパフォーマンス”+エアロパフォーマンスパッケージ【試乗記】
2026.9.1試乗記2020年のデビュー以来、間断なく進化を続けてきたコンパクトスポーツの「トヨタGRヤリス」。一般ユーザーの間ではもちろん、コンペティションの世界でもチューニングのかいわいでも光を放つ一台は、2026年モデルでどう進化したのか? その走りを報告する。 -
NEW
“自然を連想する車名”の名車特集
2026.9.1日刊!名車列伝暑さが和らぐ一方で、台風シーズンとも呼ばれる9月。その風をはじめ、星座、景観など自然を連想させる名前が与えられた、世界の名車を日替わりで紹介します。 -
興味があるのはたったの3割!? 自動車業界を揺るがすSDVやAIって本当に必要なの?
2026.8.31デイリーコラム自動車も、スマホのように機能がアップデートできるようになる! ……ということで注目されるソフトウエアディファインドビークル(SDV)だが、日本のユーザーの多くが「いらない」と思っていることが判明! 急速に進むデジタル技術の、必要性について考えた。 -
第343回:おやじ、涅槃で待つ
2026.8.31カーマニア人間国宝への道清水草一の話題の連載。ちまたでの評判がよく、売れ行き好調の新型「日産キックス」に試乗した。その出来はカーマニアをも満足させる評判どおりのもので、新車購入のきっかけにもなった。え? 購入したのはキックスではない? -
アウディQ3スポーツバックTFSIクワトロ150kWアドバンスト(4WD)【試乗記】
2026.8.31試乗記フルモデルチェンジした「アウディQ3スポーツバック」に試乗。プラットフォームやパワートレインこそ従来型の改良版ではあるものの、内外装のデザインやインフォテインメント、効率性のすべてにおいて大幅な進化を遂げたという。その仕上がりやいかに。

































