【スペック】全長×全幅×全高=4680×1695×1485mm/ホイールベース=2650mm/車重=1530kg/駆動方式=4WD/2リッター水平対向4DOHC16バルブターボ・インタークーラー付き(260ps/6000rpm、32.5kgm/5000rpm)/車両本体価格=304.8万円(テスト車=332.8万円/BBS製鍛造17インチアルミホイール+スポーティパック(リヤドア・リヤクォーター・リヤゲート濃色ガラス&ハイマウントストップランプ内蔵ルーフスポイラー)+LEGACYマッキントッシュ・サウンドシステム=25.0万円/スパークイエロー・マイカ=3.0万円)

スバル・レガシィツーリングワゴンGT-B“S-edition”(4AT)【試乗記】

本物志向 2003.02.26 試乗記 阪 和明 スバル・レガシィツーリングワゴンGT-B“S-edition”(4AT) ……332.8万円 “スポーツワゴン”の代名詞となった「レガシィツーリングワゴン」。その最もスポーティなグレード「GT-B E-tuneII」を、さらに磨いたモデル“S-edition”が登場した。ビルシュタイン製ダンパー、対向4ピストンブレーキキャリパー、そしてクイックになったステアリングをもつニューグレードに、『CG』編集局長阪和明が乗った。

マニア泣かせの充実スペック

家族で遠出するときに、いわゆる“ミニバン”を使うひとが多いのではないだろうか。ミニバンはたしかに多くの人が乗れ、荷物をたくさん積めるだけの空間はある。けれど、運転する身になってRVを選ぶなら、セダンから派生したステーションワゴンがイイ。運転における気持ちよさは明らかにミニバンより上だし、適度な速さを求めるのなら絶対にステーションワゴンである。しかも、それがスポーティな性格を備えていて、リーズナブルな価格で手に入るなら理想的。「レガシィ・ツーリングワゴン」は、個人的に理想に近いRVの1台だと信じている。
今回紹介するレガシィ・ツーリングワゴンは、「GT-B “S-edition”」と呼ばれる特別仕様車。なにが特別なのかというと、走り屋御用達とまではいわないまでも、ファン・トゥ・ドライブを望むドライバーを熱くさせるだけの“スパイス”を効かせた点だ。

特別仕様車のベースとなったのは、ビルシュタイン製ダンパーを備えるなど、スポーティに仕立てられた「GT-B E-tuneII」。走行性能、運動性能をさらに高めるべく、フロントブレーキには対向4ピストンキャリパー、前デフにはヘリカルLSD(MT車)が奢られる。さらに、ラック&ピニオンのステアリングのギア比が、従来の16.5から15.0に速められた。つまり、元々スポーティなクルマのスポーツ志向をより強めたのが“S-edition”なのだ。加えてアルミパッド付きのペダル類、ダークグレイのヘッドライトベゼル(ノーマルはブラック)、MDプレーヤー&6連装CDチェンジャー一体オーディオを採用するなど、独自の装備をまとうのも特徴である。

懐の深さ

試乗車は4段ATモデルだったが、走り出しての印象は「とにかくよく走る!」ということ。2リッター・2ステージターボの水平対向4気筒「EJ20」ユニットはスムーズに吹け上がり、260psのパワーは伊達じゃない。鋭い加速を見せる。そのうえ低中速域でのトルクが申し分ないので、街なかでもエンジンは扱いやすくて気分がいい。4000rpmを超えるあたりから聞こえる独特のボクサーサウンドも、耳触りどころか「スバルらしいBGM」と、心がなごむ。

クイックレシオのステアリングやピシッと締め上げられたサスペンションのおかげで、常用域でも操縦性は俊敏だ。ハンドリングのレベルも高く、高速道路でも箱根のようなワインディングロードを舞台にしても、安心して飛ばせる“懐の深さ”を実感できるのがよい。4ピストンキャリパーがもたらす強力なストッピングパワーも、オンザレール感覚で山道を駆け抜けるための大きな武器になる。長い間培われ熟成の域に達した感のある4WDシステムもまた、スポーツドライビングに彩りを添えている。


 
スバル・レガシィツーリングワゴンGT-B“S-edition”(4AT)【短評】

あくまで硬派向け

唯一の欠点というか、最後まで馴染めなかったのが乗り心地だ。とくに低速で硬いのだ。突起を通過する際、路面からの突き上げはかなり不快な部類に入るだけでなく、60km/hほどでは路面の細かな振動が絶えず伝わってくる。一昔前のドイツ車のようにひとたび鞭を入れスピードを上げれば、それまでの硬さがとれて、じつにしっくりとしたフラットな乗り心地に変化していくものの、普段の生活のなかではいささか硬すぎだ。

とはいえ、総じてレガシィ・ツーリングワゴン“S-edition”が、なかなかの実力の持ち主であることは否定しない。低速での乗り心地の悪さに目をつむれるくらい、ハイペースで走らせれば楽しいこと請け合いだ。まさに本物志向のスポーツワゴン。ドライビングに硬派な向きには、断然お薦めの1台である。

(文=CG阪和明/写真=CG荒川正幸/2003年1月)

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