プジョー206スタイル(5MT/4AT)【試乗記】
シューズを鳴らすように 2003.02.15 試乗記 プジョー206スタイル(5MT/4AT) ……168.0/178.0万円 1996年11月に「306スタイル」が登場して以来、ベーシックなプジョーとして、独特の魅力を発してきたグレード「スタイル」。2003年1月10日に、待望の「206スタイル」が発売された。webCG記者の報告。
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My first Peugeot
2003年1月22日、「プジョー206スタイル」の試乗会が横浜で開かれた。プレスブリーフィングで説明を受ける。
「フォルクスワーゲン・ポロ 4dr」198.0万円、「オペル・ヴィータGLS」190.0万円、「ルノー・ルーテシア1.4RXT」185.0万円、「シトロエンC3 1.4」182.0万円、そして1月10日に発売された「プジョー206スタイル(4AT)」が175.0万円。いうまでもなく、1.4リッター級輸入5ドアハッチとして「もっともオトク!」ということである。ステアリングホイールの位置は右のみ。4段ATほか、5段MTモデルも用意される。165.0万円。
ちなみに、いまをさかのぼることひとまわり以上、1990年には、206スタイルの先輩にあたる「プジョー205XS AUTO 5dr」が、なんと214.0万円で売られていた。「ウッソー!」……じゃなくて、「ありえなーい!」って感じ。当世風に言うと。
206シリーズのこれまでのボトムレンジ「XT」に変わるグレードとして導入された「スタイル」は、単なる廉価モデルではない。“シンプル&スタイリッシュ”な生活を云々と、ネーミングに関して講釈をたれる必要がないほど、装備は充実する。「エアコン」「パワステ」「パワーウィンドウ」は当然として、「前席ダブルエアバッグ」「盗難防止イモビライザー」「ISOFIX対応チャイルドシートアンカー」「集中ドアロック/キーレスエントリー」「リアワイパー」、小生意気にも……否、小粋な「リアスポイラー」も標準装備。
1999年型「XT」からの追加装備としては、「前席左右サイドエアバッグ」「熱線反射フロントウィンドウ」「リアシート3点式シートベルト&ヘッドレスト(いずれも中央席含む)」が挙げられる。さらにボディ側面の「Styleバッヂ」、はともかく、ドライバーズシートに、座面の高さを調整する「シートリフター」が付いたのがウレシイ。206スタイルは、販売チラシの「My first Peugeot」というキャッチコピーが、素直にうなずけるエントリーモデルである。
Your first Peugeot
ボディカラーは「チャイナブルー」「アルミナムグレー」「ルシファーレッド」の3色。選択色の少なさは、リーズナブルな価格とのトレードオフということだ。別の色がほしいヒトは、上級グレードをあたるか、特別仕様車を気長に待つしかない。
内装は、「アンドラ」と名付けられたファブリック。チャイナブルーに組み合わされる青基調と、それ以外の赤基調が用意される。ドアトリムやグローブボックスの色が合わされ、前後ともシートは黒い生地で囲まれる。なかなかシャレた室内だ。
と、褒めておいてなんだが、206シリーズのドライバーズシートは、個人的にはどうも居心地が悪い。「高すぎる着座位置」「低すぎるスカットル(ダッシュ上面)」「角度が急すぎるAピラー」……そう感じるのは、身長165cmリポーターの、座高高すぎ体型のせいかしらん? 救世主(?)と期待したシートリフターだったが、調整スタート地点の標高が高いので効果はなかった。
5段マニュアルのスタイルに乗って、走りはじめる。3本スポーク、やや小径なステアリングホイールがほどよくスポーティ。ギアボックスは、上級車種「307」のそれと同じで、たとえば1.6リッター(108ps、15.0kgm)を積む307スタイルと比較すると、5枚ともギアの歯数は同じで、しかも206スタイルは1.4リッター(74ps、12.2kgm)モデルにもかかわらず、最終減速比は高く設定される。
では、206はトロくてツマらないかというと、そんなことはない。車重1000kgと、307より200kg以上軽いウェイトが奏効するのだろう、みなとみらい21を、キュッキュッとシューズを鳴らすかのごとく、小気味よく走る。シフトストロークは長めで、ギアチェンジに際して特に機械的な高い精度は感じられないが、でも、クラッチペダルを踏み、レバーを繰り、ステアリングを切るのが楽しい。「406スポーツ」のときも感じたのだが、ヨーロッパでは(おそらく)ごく普通のクルマが、日本では実に活き活きと感じられる。右ハンドル仕様だから、安易に「パリのエスプリ」「カフォオレ」「石畳」と連想を進めることはできないが、それでも“ニッポン向けフレイバー”少なめモデルとして、「Your first Peugeot」にオススメだ。
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売れ筋との差額で……
一方、実質上のメインモデルとなるオートマ206スタイルには、別の驚きが待っていた。「AL4」と呼ばれる、PSAグループ(プジョー・シトロエン)、ルノー共同開発のフレンチATがグッとよくなった。シフトタイミングが自然になり、減速−停車時のシフトダウンが洗練された。
プジョージャポンの方によると、昨2002年、PSAグループのトランスミッション担当エンジニアが本国から派遣され、日本の交通事情を体験、かなり本格的にスタディして帰ったという。「日本からのフィードバック情報を、実感として理解してもらった」そうで、「頻繁なストップ&ゴー」「渋滞」そして「左足ブレーキ」が、注目ポイントだったようだ。
その結果がすこしずつに表れているわけで、シフトプログラムの改善はソフトウェアの問題だから、これまでの206も、なんらかの整備を受けたおりにオートマがバージョンアップする、かもしれない。
「キックダウンが、まだちょっと鈍いんですよねェ」と別のスタッフは言っていたが、「もう充分でしょう」というのがリポーターの本音だ。これ以上、日本車になってどうする。
暴論はさておき、206スタイルAT車のギア比はほかの206、307と同じ。ファイナルは1.6リッターの206(307スタイルと同じ)よりむしろハイギアードで、もちろん絶対的にはさして速くないけれど、ドライバーの欲求には過不足なく応える。
結論。足グルマとして「スタイル」を購入し、206販売の27%を占める“売れ筋”1.6リッター「206XTプレミアム」との差額20.0万円でパリに行くのが賢い。同26%(!)の「206CC」との差100.0万円なら家族旅行も可能だ。206スタイル、屋根、開かないけど。
(文=webCGアオキ/写真=清水健太/2003年2月)

青木 禎之
15年ほど勤めた出版社でリストラに遭い、2010年から強制的にフリーランスに。自ら企画し編集もこなすフォトグラファーとして、女性誌『GOLD』、モノ雑誌『Best Gear』、カメラ誌『デジキャパ!』などに寄稿していましたが、いずれも休刊。諸行無常の響きあり。主に「女性とクルマ」をテーマにした写真を手がけています。『webCG』ではライターとして、山野哲也さんの記事の取りまとめをさせていただいております。感謝。
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